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岡部 真一郎

「細川のリア王 イギリスでも好評」

細川俊夫のオペラ「リアの物語」の英国初演が1月から2月にかけて、ロンドン、ロイヤル・オペラのリンベリー・スタジオで行われた。シェークスピアの「リア王」に基づき鈴木忠志が台本を執筆したこのオペラは、98年、ミュンヘンで初演され、話題を集めたもの。作品の成立に深くかかわりを持った鈴木自身の演出による密度の高い舞台は、その後、東京などでも上演されている。

 昨年春から英国各地で開催中の「ジャパン2001」フェスティバルの一環をなす今回の公演は、英国の若手、ハリー・ロスの新演出。満員の地下鉄に始まる舞台は、現代日本をイメージし、もろもろの軋轢のなかで苦悩する個人を描く。

 リアは、サラリーマン。エドガーはホームレスとして登場する。シェークスピアのみならず、細川のオペラに照らしても、かなり意図的、あるいは恣意的な読み換えだ。シェークスピアの国であればこその発想とも言えようが、演劇的な説得力にはいささか欠けるものだった。

 音楽面では、細川の繊細にして力強いスコアが耳目を引いた。C・ロウランズ、M・ロブソンらのキャストをG・ロウズのタクトが手堅くまとめていた。地元紙の反応もおおむね好意的。客席には、英語が自然に響く声楽の書法に対する称賛の声もあった。

 併せて、室内楽作品を集めたミニコンサートが催されるなど、これまでの独仏などに加え、英国でも、細川の活躍の場は、これから増えそうな気配だ。

(『朝日新聞』2002年3月13日 夕刊)

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