川辺川ダム収用委員会における争点


  熊本一規





1.共同漁業権の帰属をめぐって  

1-1. 見解の比較

三室勇ら代理人(熊本)

共同漁業権は総有の権利であり、入会権者は関係漁民

国土交通省 (山畠・佐藤)

共同漁業権は組合が持ち、社員権としての漁業行使権を組合員が持つ

毛利正二ら代理人

共同漁業権は総有の権利であり、入会権者は組合員

1-2. 条文説明要求書

第1回条文説明要求書 ( 2002年4月2日提出)

◇国土交通省に対して 10項目の説明要求

 @国土交通省 2002年7月27日意見書における回答

  項目 1〜5,7,8については、条文から「関係地区に住所を有する」を省いて(条文をごまかして)説明。

  項目 6,9については、2002年5月24日の収用委員会で否定された主張を繰り返す。

 A 2002年8月収用委員会における議論

  熊本:「説明になっていない。条文から都合の悪い部分を省いて説明することが許されるならいかなる法解釈も成り立つではないか」、「条文をごまかさないで説明せよ」

→国交省「説明したと思うからこれ以上は議論に応じない」

◇毛利ら代理人に対して6項目の説明要求

・回答なし

第2回条文説明要求書 ( 2003年5月14日提出)

◇国土交通省に対して1項目の説明要求

・回答なし

◇毛利ら代理人に対して1項目の説明要求

@毛利ら代理人中尾弁護士5月 22日意見書で回答

A熊本 6月 20日付け意見書で反論するとともに「中尾弁護士の出席した収用委員会で議論したい」と発言→以後、中尾弁護士の出席なし。

2.漁業補償

毛利ら代理人

•  安上がりの補償はけしからん。増額すべき。

•  収用損失のみならず事業損失も支払うべき

•  補償額はダムにより減少する漁獲高(水揚げ)の8年分で 31億円になるはず。 

国土交通省

•  公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱にもとづいて算定した

•  収用の際には事業損失は支払われない。消滅補償・漁場価値減少補償は収用損失。

•  補償額はダムにより減少する純収益の 12.5年分

三室勇ら代理人(熊本)

A. ダムを止めるのが目的であり、補償の増額要求をするのは誤り、かつ恥ずべきこと。

B. 収用の際には事業損失は支払われない。事業損失は、着工前に契約を通じて支払うしかない。消滅補償・漁場価値減少補償は事業損失。

C.補償額はダムにより減少する純収益の12.5年分

3.利水事業の計画変更に伴う措置

毛利ら代理人

  利水判決に伴い利水計画が変更になるから、事業計画が事業認定申請書に添付された事業計画書と著しく異なることになり、従って土地収用法 47条2号に基づき却下すべき

国土交通省

  著しい変更ではないから却下すべきでない。

4.共同漁業権の切り替え ( 03年9月16日付け意見書、10月27日収用委員会で説明)

三室勇ら代理人(熊本)

  共同漁業権は存続期間の定めがあり、球磨川漁協に免許されている共同漁業権は 2003年12月31日をもって消滅する。収用の対象としていた漁業権が消滅するのだから、2004年1月1日以後になされる裁決は却下になるほかはない。

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