第2回 (2006年5月13日)
「 安(かながわ外国人すまいサポートセンター)

現在、日本で生活する外国人登録者数は約200万人とされているが、日本政府の外国人政策は、依然として同化と管理の大きな柱の下で進められている。
在日コリアンの現況、そして彼らを取り巻く多くの問題もこのような政策の中で存在しているばかりか、むしろ在日コリアン政策に基づき他の外国人への政策が取り続けられていると言っても過言ではない。
戦後、在日外国人とりわけコリアンに対する日本人の意識が大きく変化する中で変化の兆しを見せない国の方針に沿いつつも如何にアイデンティティを保持しながら日本で根付き、そしてこれから生きて行こうとしているのかオールドカマー、ニューカマー両方のコリアンの現況を探りながら今後如何に住民としての地位を確保して行こうとしているのか考えて行きたい。1. 在日コリアン(韓国・朝鮮人)
2005年12月31日現在、神奈川県で生活する在日コリアンの外国人登録者数は、 34,205人である。県内の外国人登録者数の約21.7%に当たる。また、横浜市内にすむ在日コリアン外国人登録者数は、15,851人で県内の在日コリアンの約半数が横浜で生活している事になる。在日コリアンの多くは、戦前から日本に住み続けてきた人たち、またはその子孫で一般にオールドカマーと呼ばれている。オールドカマーの殆どが日本での生活を余儀なくされた人たちであり、現在も日本の住民として認められているとは言い難い。
1980年代以降、日本政府が国際難民条約を批准することにより、出入国管理令を出入国管理及び難民認定法と改正され、外国人が職を求めて来日するようになった。このような人たちの中に韓国からの移住者も多く含まれ、オールドカマーに対しニューカマーと呼ばれる韓国人が存在することとなった。すでに多くの人たちが日本に定住せざるを得ないような状況に置かれており、オールドカマーを取り巻くのと同じ社会的問題の中で暮らしている。
○在日コリアンの国籍について
在日コリアンの国籍は、日本による朝鮮の植民地化(1945年8月15日前)、日本の敗戦による日本国籍からの排除(1945年8月15日以降)そして、東西対立、南北朝鮮の分断化によるコリアン内での分裂(1948年8月15日、9月9日)、サンフランシスコ講和条約以降(1952年4月28日)、日韓条約締結による偏った在日コリアン政策(1965年以降)、出入国管理及び難民認定法改正による変化(1980年代以降)などまさしく国家政策や国際政治、対立構造、法律の改正などにより翻弄され続けた歴史を持つ。
1945年から現在までのその変化と在日コリアンへのインパクトを検証したい。2. 横浜に住む在日コリアンの現況について
生活、教育、医療、制度上の視点から在日コリアンの状況を考える。
永住資格を持ち多くの義務を果たしているにも拘らず、就職、住まい、教育においては、まだまだ偏見や差別が根強く残り、医療、保険・福祉制度上で取り残されている問題点も少なくない。
このような生活という視点から在日コリアン達の社会参加、参政権の問題についても考えてみたい。3. 在日コリアン−市民として如何に生きるか−
在日コリアン達が日本で生活し始めてからすでに100年余りの時が経とうとしている。しかし、他の外国籍市民が日本に渡ってきた背景とは異なる歴史を持つ者としてコリアン問題の本質的解決が急がれており、これはコリアンだけの問題ではなく、多文化共生の実現を果たすためにも焦眉の問題だと考えられる。
2001年南北コリアが共同で発表した「南北共同宣言」以降、長く続いた対立構造を打ち破り、総連、民団の2大組織が歩み寄ろうとしている。
このような中で、同化ではなく自らの文化を守り、継承しながら日本人市民、外国籍市民が手を取り合い地域の住民として暮らすにはどうするべきかという問いに対し、如何に違いを認め尊重して行くべきなのかという課題を提起するに留まらざるを得ないが、多くの市民達が地域で様々な実践を展開中である。在日コリアンが本国と日本を結び、そして市民としての地位を確保し、心地よく生活することができる環境が整えられることは、日本と朝鮮半島そして、中国をも含む東アジアの平和の実現へと繋がると信じるものである。
講師略歴
1957年 東京生まれ
1980年 東京の朝鮮大学校政治経済学部卒
1994年〜 横浜市国際交流協会市民通訳ボランティア
1998年〜2002年 外国籍県民かながわ会議委員第1,2期委員
2000年〜運営委員
2001年〜かながわ外国人すまいサポートセンター理事
現在、NPO法人 かながわ外国人すまいサポートセンター副理事長
2002年〜神奈川県医療通訳制度通訳者・コーディネーター
2004年〜共生のまちづくりネットワークよこはま代表
2004年〜2005年 横浜市国際性豊かなまちづくり検討委員
2004年 在日コリアン女性のためのホットライン「ちゃめ」副代表
2004年〜在日朝鮮人人権協会理事
−「 安(ペイ アン)先生のプロフィール−
専門分野多文化共生社会の実現のための市民活動
論文・著書「外国籍市民の自立が地域を変える」、『地域が育む人権−今問われている人権のあり方とその課題』、神奈川県教育文化研究所「人権と地域」調査研究委員会、2005年 「共同体の中の在日外国人とNPOの実態」(韓国語)、韓国学術振興財団 起訴学問課題、世界韓民族ネットワーク国際学術会議発行の世界韓民族ネットワーク韓商、教育、文化 「かながわ外国人すまいサポートセンターの活動について」、月刊住宅4月号