第1回 (2008年5月17日)

『アフリカの森・日本の森−歴史と制度』

勝俣誠(明治学院大学国際学部教授)

 アフリカでも、日本でも、今日、森は荒廃しています。木一本がなくなる時、林がなくなる時、そして森がなくなる時、私たちはそこに人間ないしヒトがこの地球で何をしたいのかを消えていく植生の風景に読み取ることが出来ます。
 アフリカでも、日本でも、森は、かんばつや洪水や台風などの自然災害以外に、人間が自らの便利さや所得の拡大を目ざす際に危機に直面します。たとえば、住宅地に接した森は、都市の拡大とともに、さらなる住宅地として更地にされます。一家を支える換金作物の農地がより多く必要となる時、木々は倒され、農地が誕生します。工業化が進み、より多くの工場用地が必要な時も同じです。また、家庭の料理用として薪炭エネルギーに大きく頼るアフリカでは、植林なき木々の伐採で、都市や集落の周辺の木々は消えていきます。
 本講義では、こうした自然とヒトの営みの関係を現代世界でもう一度振り返り、かけがえのない地球上で、私たち人間がどう自然と折り合っていくべきなのかを「アフリカの森」をキーワードとして考えることが目的です。
 実際、森を守るのか、ヒトのためにひたすら供されるかを考える時、私たちは、地球上における自然のルールとヒトのルールの相互関係を考えざるを得ません。
 もっともその際、一見わかりやすく、しかし現状の複雑さを見えなくしてしまう自然かヒトかという安易な二分法を避けるために、アフリカの森の多様性、従って、その地域の経済・政治・社会。文化の多様性をしっかりと認識するために、日本の森林事情との比較を適宜言及する予定です。こうした問題設定を踏まえて、講義では以下の点を展開します。

 1.アフリカの森の多様性 (映像教材あり)
   −サバンナから熱帯雨林まで
 2.森と住民の生活形態の多様性 (映像教材あり)
   −所変われば品変わる
 3.森はどのようにしてなくなってきたか (映像教材あり)
   −歴史的考察: 植民地期から独立以降
   −現状   : 制度と運用
 4.森とどう共生していくか
   −日本とアフリカ

 報告書はコチラ

 

 

−勝俣誠(かつまた まこと)先生のプロフィール−

専門分野

 南北問題

論文・著書
『アフリカは本当に貧しいのか』、朝日選書(オンディメンド版 お問い合わせ先:朝日新聞 販売部03-5540-7793)、2008年
『グローバル化と人間の安全保障−行動する市民社会』編著、NIRAチャレンジ双 書、2004年
『世界の半分が飢えるのはなぜ?』訳書、合同出版、2004年
『現代アフリカ入門』(第7刷)、岩波新書、2002年
『サヘルのほとり』共編、TOTO出版、1992年