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2017.03.24

贈る言葉

ご卒業・ご修了おめでとうございます。

卒業にあたって以下のメッセージを伝えたいと思います。本学での4年間あるいは大学院での時を有意義に過ごされたことと思っております。

 

数十年前、同僚教員の地元の中華料理店が中華鍋ひとつでなんでも作ってしまうのをカウンター越しに見て感動を覚えた記憶があります。このようななんでも料理する「鍋」については、沖縄の音楽グループであるBEGIN(ビギン)の歌曲のなかにも、「オバー自慢の爆弾鍋」という一曲があります。この歌は、古くて黒い鍋でなんでもおいしく作ってくれる食堂のオバーが主人公で、その鍋は戦後何もない時期に、オバーが裏の畑に落ちていた爆弾を拾って鍛冶屋に行って作ったというものでした。人の命を奪う爆弾をオバーは人の命を活かす鍋に変えた。オバーは一人で六人の子どもを育て上げるかたわら、誰彼の区別なくおいしいものを食べさせてきた。BEGINは、「これがオバー自慢の爆弾鍋さ」と歌い上げます。「まずは栄養つけてから」という歌詞もオバーの人への温かさを感じます。

江戸期あるいはそれ以前から、戦中戦後を経て今日まで、沖縄は搾取され、多くの犠牲を払ってきました。また現在でもそうです。そのなかで、このようなオバーの物語が歌われることは、感慨深いものがあります。また、爆弾を調理器具に変えてしまうことには凄みさえ感じます。

オバーのようにさまざまな問題も受け入れ、自分自身で考え、しかし根本ではゆるがない人物像は、本学の教育理念である“Do for Others(他者への貢献)”につながる資質であると考えます。

 

皆さんも、それぞれの学部・研究科での学びやキャンパスライフを通じて、素材を選び、まとめていく力を培われたと思います。卒業後、皆さんは学校と言われる環境から離れて、より多様な人々に出会うことでしょう。順風ではない場面も待ち構えているでしょう。しかし、オバーのような逞しさをもって人と交わり、命を大切にし、他者への貢献を成し遂げられることを願っています。