スマートフォン版を表示

2016年度 卒業式 祝辞

明治学院 学院長 小暮 修也

皆さん、大学、大学院のご卒業、おめでとうございます。ご家族の皆様、ご子弟のご卒業おめでとうございます。

2年前に日本経済新聞と日経HRが、企業655社の人事担当者に調査を行い、それを発表しました。その人事担当者が見た大学出身別の「学生のイメージ」および「大学の取り組み」について、明治学院大学出身者が「コミュニケーション能力が高い」「ストレス耐性が高い」「柔軟性、適応力がある」を総合した「対人力」において、全国の大学の中でトップであった、ということは驚きでした。全国一位というのはなかなか取れなくて、「なぜなんだろうか」ということを皆さんに聞いてまいりました。すると、多くの人は、「ヘボン博士以来の伝統ではないか」と言うのです。

まさか、150年前からの伝統が、現代にまで生きているというのは、にわかには信じられないのですが、たしかにヘボン博士は、日本初の本格的和英・英和辞典『和英語林集成』を出版し、日本と世界とをつなぐ働きをしました。その第三版で使ったヘボン式ローマ字は、現代でもパスポートを始め、道路や電車の標示にも使われていて、日本人や外国人のコミュニケーションに役立っています。ヘボン博士は、これだけでなく、医学・英学を教え、これが明治学院に発展しますし、また医師として多くの日本人の治療に当たりました。さらに、新約聖書・旧約聖書を翻訳し、教会の建設にも力を尽くしました。しかし、ヘボン博士は、「自分は普通の人間です。ただ、少し忍耐強かっただけです」と言っています。こう考えると、たしかに伝統が生きていると言えるかもしれません。ただ、現代においては、やみくもに「ストレスに耐える」ということが良いことなのか、その仕事の内容を見極めなくてはなりません。

この度、明治学院は中学・高校・大学を含めて、新たに教育ビジョンを定めましたが、そのビジョンでは「隣人と生きる世界市民の育成」という使命を掲げています。現代は、自分の国が第一、自分たちさえ豊かになればいい、そのためには国境に壁を設けるのだ、という考えが欧米そしてアジアにも出てきています。しかし、私たちにとって、隣人とは席の隣の人から、遠くの世界にいる人々に広がる言葉です。明治学院は、大学の「Do for Others」の精神に基づいて、「隣人と共に生きることのできる世界市民」をこれからも育てていきたいと願っています。

最後に、ノートルダム清心学園理事長であったシスターの渡辺和子先生の言葉を紹介したいと思います。

「比較を常にしてしまいがちな人は、劣等感の塊、または優越感の塊になりがちです。私と同じ人間は、世界広し、宇宙広しといえども、二人とおりません。私は私、人は人という『独自性』。私はこの世の中にたった一人の、名前を持った、かけがえのない“世界にただ一つの花”なのだから、ほかの人の真似をしなくてもいい。皆ユニークな一人ひとりなのです。他の人のことを尊敬しあって、習うことは習い、捨てるところは捨てていきましょう。『人はその人しか果たせない使命がある、その人しか与えることのできない愛がある』という言葉を自分に言い聞かせています。」

皆さんには、これから、かけがえのない時間を精一杯生きて、「自分らしい花」を少しずつ咲かせてほしいと願っています。これから旅立っていくお一人お一人に神様の祝福が豊かにありますように。本日は、おめでとうございます。