藤森 二郎
Jiro Fujimori 藤森 二郎さん 1979年 法学部 法律学科卒
藤森さんは1975 年に明治学院大学法学部に入学しました。
今は「フランスパンの神様」フィリップ・ビゴからのれん分けを認められた「ビゴ東京」を率いて5店舗を展開するシェフ・パトロンです。明学在学中はさまざまなイベントや他大学との交流を先頭に立って企画・実施するなど、学業以外でも活躍。
実は今盛大に催されている明学の「あのイベント」も、藤森さんの発案で始まったものでした……

明学は今も藤森さんを惹きつける。その理由とは…。

クリスマスツリーの装飾を発案

私は出身が東京の目黒です。明治学院はもともと地元で馴染みのある大学で、入りたい大学のひとつでした。1975年に法学部に入学、1979年に卒業。早いもので、それからもう30年以上が経過しました。
当時の大学は、勉強するというよりも「面白そうなところ」でした。私の少し上の世代は加山雄三の〝若大将シリーズ〞の影響を受けていたのですが、私も兄や姉がいたから、その世界をよく知っています。大学は、若者が思い思いに青春を楽しんでいるところ、という私のイメージは、そこから来ていたかもしれません。それに私は、何より「美しい世界」が好きでした。明治学院は、名前こそ地味ですが、都心の、それも芝白金という一等地にあって、記念館やチャペルの建物は風格があり、憧れていました。私は入学後の通学路も、できるだけ気持ちがよく、私が美しいと思える道を選んでいました。それがたとえ遠回りでも、そこを歩きたかった。
美しいものといえば、思い出が1つあります。入学式の時に、チャペルの横の大きな杉の木を見て、この木がクリスマスツリーになったらさぞ美しいだろう、と思ったのです。そして、3年後に本当に実行しました。仲間を募り、モールや電飾を買って飾り付けたのです。喝采を浴びると思っていたのですが、学生部に怒られ、飾りもすぐに撤去されてしまいました。しかし、翌年から大学公認になり、今も別の場所にはなりましたが続いています。最近は「点灯式」も行われ、大学外でも評判のイベントになっていますが、その先鞭を付けたものとして、うれしく思っています。

大学で学んだフランス語が活きた

高校時代、私はカナダにホームステイしていた時期があります。そのホストファミリーと生活した中で、とても印象深いことがありました。毎週週末になると、その家のご主人が、エプロンを付け、腕まくりをして、家族のためにスコーンやクッキーを焼いてくれるのです。そしてできあがると、お茶を入れ家族でテーブルを囲んでそれを食べる。なんて素敵な家族なのだろうと思いました。私は大学卒業後、フィリップ・ビゴという「フランスパンの神様」と呼ばれるフランス人のところに弟子入りを志願し、認められてビゴのもとで料理やパン、菓子作りの修業を続けました。私をこの世界に導いたのも、あの高校生の時の体験だったかもしれません。その後大学ではフランス語も履修したので、その語学の勉強も現在の仕事にとても役に立っています。

同窓と分かるとすぐに打ちとける

明学は規模が大きすぎないところが魅力だと常々思っています。在学中は、全学部が一カ所にありましたし、在学生は、みんなが何となく身近な存在でした。社会に出てからも、同じ明学出身だと分かると、「何年卒? 学部は? サークルは?」と、話が盛り上がります。これが1学年に数千人あるいは1万人以上いるような大学だったら、それほど親密にはならないでしょう。今私の会社でお願いしている税理士さんは明学の後輩ですし、保険関係を扱ってもらっているのも後輩、商売上のお付き合いも、明学の先輩や後輩がたくさんいます。そして今でも私は、年に3回、4回と大学を訪ねます。
明学はアットホームで、家族的な付き合いがずっと続く学校です。私はパンや菓子の事業をしているので、今度、同窓生で「食の会」を作ろうという話をしていますが、いつまでも同窓としての絆を意識していられるところは、明学の大きな魅力でしょう。
高校生時代にホームステイ先で知った和やかな家族の暮らし。こぢんまりとした明治学院のアットホームな雰囲気。卒業後も続く同窓生との親しい付き合い……卒業後の半生を、私はフランスパンやケーキづくりに捧げてきましたが、それも、それを囲む家族の笑顔を見ていたかったから、そのために何かお役に立つことがしたかったからだ、といえるかもしれません。
すべての家族に、いつも笑顔があるように。「家族」と「家族への思い」こそ、明学で私が手に入れた人生のキーワードです。

藤森 二郎

1956年東京・目黒生まれ。1979年明治学院大学法学部法律学科卒業。横浜のパティスリーを経て、かねてからの憧れだったフィリップ・ビゴを訪ね弟子入り。1989年、ビゴよりのれん分けを認められ独立。現在、鷺沼、田園調布などに5店舗を展開するシェフ・パトロン。2006年、フランス政府より農事功労賞シュヴァリエを受賞。日本におけるフランス料理、パン、菓子界のトップアルティザン(職人)の一人。
http://bigot-tokyo.co.jp/