芸術学専攻 (博士前期課程・博士後期課程)
MAJOR OF ART STUDIES

時代に合った柔軟な発想、広い視野を培う専門領域を学ぶ

芸術学専攻は、音楽学研究コース、映像芸術学研究コース、美術史学研究コース、芸術メディア論研究コースの4専修からなります。学生は、それぞれの専修における研究を深めてゆくと同時に、専修以外の領域にも視野を広めながら研鑽を積むことができます。例えば、映画、ヴィデオなどの映像芸術は、美術、そして音楽と相互に極めて深い関係にあります。ですから、いかなる専門的な研究も、関連する諸芸術への幅広く柔軟な視座なくしては成り立ち得ません。既存のジャンルの概念を超える例も数多く見出される近年のアートシーンの活況は、このような広い視野からの研究の必要性と必然性を強く裏付けています。本学の芸術学専攻は、各コースに高い水準の講座が用意されているという点で、大変にユニークな専攻です。その総合的な広がりと深さは、芸術学の専門的な研究を志す者にとっては、理想的な環境を提供するものでしょう。第一線で国際的な活動を行う教員たちによる多彩な科目の履修を通し、豊かな知識に基づきながら、芸術を自由にとらえ、考えることのできる、幅広い視野を持った人材の育成を本専攻では目指しています。卒業後の進路としては、研究・教育職はもとより、このような柔軟性を活かしたさまざまな職種が考えられます。美術館・博物館の学芸員、ホール・劇場の芸術監督、プロデューサーなど、企画・制作の現場を率い、支える仕事、さらに、放送・出版関係などのメディアに関わる仕事の可能性も開かれています。

TOPICS

芸術メディア論研究コースについて

芸術メディア論研究コースは、文学部芸術学科芸術メディア系列(2006年度開設)に対応し、2010年度より開設されました。芸術学専攻の中で、もっとも若く新しいコースです。目指しているのは、芸術とメディアに関わる他に類を見ないユニークな学びの場となること。特に重視するのが領域横断的なスタンスです。美術や音楽、映像といった既存の領域と密接に連携しながらも、既存の枠組みに収まりきらないような、これまで必ずしも「芸術」とは見なされてこなかったような諸現象も積極的に扱っていきます。そこには、例えば身体表現や舞台芸術から、広告や放送・新聞・出版・ケータイ・インターネットなどに関わる諸課題、コスプレ・マンガ・アニメ・ゲームなどのいわゆるサブカルや、メディアアート、都市や建築、テーマパークや観光といった種々の領域が含まれます。ほとんど「何でもあり」といってよいほどです。このような特徴は、「芸術」や「メディア」を、一般に考えられているよりもずっと広く、ずっと深く捉えようとする姿勢に根ざしたものです。それぞれの現象を別々に眺めるのではなく、それらの中心にある「コミュニケーション」に注目する。コミュニケーションとは、単なる情報伝達とは違い、さまざまな層を伴ってひとつの場を立ち上げます。その場を成り立たせているものが広い意味でいうメディアであり、「身体」や「物質性」などが鍵を握っています。デジタルテクノロジーによって隅々までメディア化された現代社会において、文化や人間の可能性を「芸術」という観点からあらためて問い直していくこと。それこそが芸術メディア論研究コースの追究すべき課題だといえるでしょう。この課題に、教員と大学院生とが力をあわせて挑戦していきたい。ぜひ一緒に! という気持ちをお持ちのあなた。私たちはあなたをお待ちしています。現場経験者など意欲ある社会人も歓迎します。

給付型奨学金制度(学生海外研究奨励金)

文学研究科(英文学専攻・フランス文学専攻・芸術学専攻)博士後期課程に在籍する学生の研究支援を目的として、各年度6名に博士論文執筆のための海外における研究費用の一部(1人10万円、または20万円)を奨励金として給付します。

インタビュー


西 美弥子
芸術学専攻
博士前期課程2013年3月修了

国内外で美術史を学んだ経験が美術館職員の仕事につながった

現在、国立新美術館の研究補佐員として、各種展覧会の企画・運営をしています。大学院時代の専門は、16世紀、ルネサンス期の西洋美術。ドイツ人画家、子ハンス・ホルバインが描いたイギリス王、ヘンリー8世の肖像画について論文をまとめました。肖像画が描かれた背景を調べると当時の政治や社会情勢が見えてきます。一つの作品から数百年前の人が何を思っていたのかを追究できるのが、美術史研究の面白さだと思います。私が大学院進学を決めたのは、学部3年次にイギリスへ語学留学をして、現地でハンス・ホルバインの作品に魅せられたからです。徹底的に研究をするために、英語やドイツ語の参考文献も必死で読み込みました。博士前期課程修了後、私はイギリスの大学院に留学して、さらに西洋美術史の研究を深め、帰国後、学会発表の機会に恵まれました。これは、指導教授からのアドバイスがあったから実現できたこと。幅広い教養と国際感覚を持った先生たちに囲まれながら、国内外で美術史の見識を広げた経験は、現在の仕事で大いに役立っています。

修了後の進路

進学、出版社、画廊、美術館、レコード販売会社、マネジメント会社、テレビ局、音楽評論家など

研究科ごとの修了後の進路(過去3年間の実績)

教授担当科目

氏名主な担当科目指導内容
岡部 真一郎 教授 音楽学演習 20世紀音楽/同時代音楽に関する多角的な視座を養うことを目標とする。
望月 京 教授 作曲・音楽理論・楽曲分析 楽譜の有無にかかわらず、あらゆる音響・音楽を分析的に聴き、時代や社会背景と関連づけながら、内包された意味を読み取ることを学ぶ。
和田 ちはる 専任講師 20世紀ドイツ音楽・音楽社会学 音楽を時代や社会の枠組みとの関連から主体的にとらえる視点を涵養する。発表、討論、小論文作成の過程から、論理的な構成力と表現力を身につける。
石川 陽一 講師 音楽学特殊講義 中世からルネサンス期にかけての音楽理論、作曲技法ならびに作品の様式に対する理解を深めることを目標とする。
樋口 隆一 講師 音楽学演習 バッハ研究を例に、音楽研究の方法論を身につける。論文執筆のための研究発表に基づく質疑応答。
斉藤 綾子 教授 映像芸術学演習 基本的に映画理論の理解を深めることを目的とする。取り上げるテーマは、日本映画、フェミニズム、メロドラマ、観客論など。テクスト分析、映画史、文化史の文脈で考察する。
門間 貴志 准教授 映像芸術学演習 戦争映画、SF映画、青春映画、犯罪映画、メロドラマからドキュメンタリー映画など、さまざまなジャンルの映画を民族・文化表象の観点から分析し、映画研究における幅を広げる。
Roland Domenig 准教授 映像芸術学演習 制作、興行、受容、批評など多面の観点から映画史を考察し、映画及び映画研究の発展を検討する。
To inquire film history from multiple perspectives such as production, exhibition, reception and critique and examine the de-velopment of film respectively film studies.
晏 妮 講師 映像芸術学特殊講義 映画の越境的性質を念頭におきつつ、作品の生成、配給、受容を社会的、文化的コンテクストにおいて考察し、比較映画史の方法論を検討する。
中村 秀之 講師 映画研究・表象文化論 主に日本とアメリカを対象として、映画の歴史的文脈と作品の独自性との関係の分析に取り組んできた。現在は精神分析的映画理論の再検討にも関心を持っている。
ミツヨ・ワダ・マルシアーノ 講師 映像学 現在、デジタルメディアとシネマとの関係性、占領期以後のアメリカ文化政策と日本映画史の関係性、post-3.11の映像文化における政治性について考察する。
大原 まゆみ 教授 西洋美術史学 近代を中心に、近世から両大戦間までのドイツ語圏の美術史を研究している。造形活動と、それを生み出す歴史との関係を特に重視している。
山下 裕二 教授 美術史学演習 個別の作家研究を通じて、日本美術史の方法論を体得する。
笠原 美智子 講師 美術史学特殊講義 現代美術や現代写真とはどのようなものか。多角的に考えながらその役割と意味を探る。
小林 祐子 講師 美術史学特殊講義 古文書解読は、日本古美術研究における不可欠のスキルである。活字化されていない江戸時代の資料を中心に講読する。
塩谷 純 講師 美術史学特殊講義 明治大正期の美術界に絶大な影響力を持った「日本近代洋画の父」黒田清輝の存在を抜きに、日本の近代美術史は語れない。その事績について、作品や資料を通して検証する。
宮崎 克己 講師 フランス近代美術史、美術交流 近代美術における日本から西洋(主としてフランス)への影響、すなわちジャポニスムと、西洋美術の日本への受容について、双方向的な視点で捉えることを研究テーマにしている。
岡本 章 教授 芸術メディア論演習 東西の多様な舞台芸術を比較研究し、その普遍性と現在性を考察するための方法論を、文献講読や学生発表を通して学ぶ。
長谷川 一 教授 メディア論・メディア思想、文化社会学 ディズニーランドやコンビニ、乗り物など具体的な事象から、テクノロジーが浸透してメディア化した現代社会の日常性を研究している。
古川 柳子 教授 芸術メディア論演習 「マス」と括られてきた個人が社会に直接発信する時代の流れを踏まえ、人間の表現活動と社会を結ぶ「メディアのデザイン」や「コミュニケーションの在り方」を探索する。
國吉 和子 講師 芸術メディア論特殊講義 現代の上演芸術およびパフォーマンスにおける身体意識について考える。
佐藤 由紀 講師 生態心理学・身体論 芝居は「見えない他者」を巡る芸術。俳優の身体によって舞台上に「何か」が見えてくる時、その本領を発揮する。そこで何が起こっているかを、生態心理学を始点として追求している。

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