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コラム「キャンパスCLINIC」

呼気中一酸化炭素濃度測定してみませんか!

白金通信2006年6月号

 今年の五月の連休は、すがすがしい晴天に恵まれました。その間の土曜日、朝の電車は空いていて、ボーッと青空を眺めての心地よい通勤でした。次の駅で隣に座った若い女性、一生懸命鏡をみて、お化粧を直していました。女性から漂う鼻を突くようなタバコ臭、きっと自分では気がつかないのでしょうね。さわやかな朝の気分が一瞬でどこかへ飛んでいきました。
 タバコの煙には二百種類以上の有害物質が含まれています。中でも一酸化炭素は健康有害性が大きいと言われている物質の一つです。横浜、白金健康支援センターに、スモーカーライザーという器械があります。
 禁煙マラソンに参加された方は毎回測定しますから、ご存知と思いますが、この機械で呼気(吐く息)中の一酸化炭素濃度を測定することができます。
 測定方法は大きく息を吸い込んで十五秒間息をこらえた後に、マウスピースをくわえて、ゆっくりと機械に息を吹き込むだけです。
 タバコの煙には、有毒ガスである一酸化炭素が自動車の排気ガスに匹敵するくらい含まれています。この一酸化炭素は酸素に比べて血液中のヘモグロビンとの親和性が二百倍以上強く、肺毛細血管中のヘモグロビンと容易に結合してしまいます。通常、ヘモグロビンは酸素を運ぶ役目をします。しかし喫煙者のヘモグロビンは有毒ガスである一酸化炭素を運んでいるわけです。血中酸素濃度は低下し、酸素が不足し、心臓にも負担がかかります。一日二十本の喫煙者の酸素濃度低下は、非喫煙者が二千メートル級の山に登ったのと同じくらいのレベルです。このように喫煙は気がつかないうちに、慢性の酸素欠乏状態を作り出します。
 また、ヘモグロビンと結合した一酸化炭素は気がつかないうちに、血管内皮を障害するとともに善玉コレステロールといわれているHDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進させます。長年の喫煙は心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患による死亡率を上昇させます。
 この有害物質である一酸化炭素、いったい喫煙するあなたの呼気にどのくらい潜んでいるのでしょうか?
 この度、呼気中一酸化炭素濃度測定を両キャンパスで公開実施することになりました。ぜひ、この機会に、測定してみてください。
 高値を示し、警告アラームが鳴れば、ドキッとするでしょう。そこで、禁煙してみようと決断するか、それはそれ、これはこれと吸い続けるか、それはあなた次第です。
 でも、禁煙すれば速やかに測定値は下がり、その効果を数値で確認することができます。
 禁煙は、こうした一日、また一日の積み重ねです。そしてある日、ふっとした時に、自分にはタバコは必要のないものと確信することができるのです。
 あなたにもそんな日が必ず来ると信じ、ちょっと試してみませんか?

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白金:5月31日、6月1日(12時~15時)
横浜:6月5日、8日(12時~15時)




健康支援センター 保健師 佐野幸子

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