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コラム「キャンパスCLINIC」

季節の移ろい

白金通信2007年4月号

  白金通信は今回リニューアルしました。その記念すべき第一号に書かせていただくことは、とても光栄なことです。私たち、健康支援センターのスタッフは、身を引き締めて、皆さんが健康な学生生活を送るために支援をしていきたいと考えています。
  さて、4月は何かと浮き浮きする季節ですね。桜の花に代表されますように様々な花が一挙に開花します。春爛漫ですね。そして、季節の移ろいは早く、あっという間に葉桜になり、新緑の季節を迎えることになります。一瞬の輝きであるからこそ、より美しさを感じるのでしょうか。永続するものであれば、感慨も薄れるのかもしれません。
 この季節感は、この土地に住む人々にかなり特有のことのように思います。私たちは、季節の移ろう様を楽しんできました。「儚さ」をむしろ美的要素の一つとしてきたようにさえ思います。ところで、この微細な変化に気づくことが、実はとても大切です。季節の移ろいによって培われた、この感覚を大切にしたいと考えています。
 日々の生活が一見単調に見えても、実はそこには変化があり、次の展開が用意されているのです。秋から冬、そして春に至る過程をみていますと、秋には既に春の息吹が用意されているのです。この自然の営みは感動的ですらあります。人の世も同じです。とてもつらい思いをしていても、実は、その間に、飛躍への芽が出る用意がされているのです。
 しかし芽が出る保証はありません。この冬は異常な暖冬でしたが、狂い咲きがみられました。花も季節感を失ってしまうのですね。春になる前に咲いてしまうと、昆虫もいないし、愛でる人もいないし、季節外れは侘びしいものです。
 厳しい冬があってこそ、素晴らしい大輪の花が約束されるのかもしれないのです。今の困難さは、将来への肥やし(ご存じないかもしれませんが、昔は臭い肥やしがあったのです)になるのです。この肥やしを大切にしたいと思います。大輪を結ぶには、臭い肥やしが必要なのです。すべてきれい事にはいかないものですね。
 この1年にいろいろなことがあると思います。今、絶好調という方もいるでしょう。上向きになってきたという人もいるでしょう。絶不調という方もいるでしょう。下り坂という人もいるでしょう。あるいはアップダウンが激しいという方もいることでしょう。波があるのが自然だし、人生最後に帳尻があうものです。
 学生時代は、あっという間に過ぎてしまいます。失敗してもいいから、是非いろんなことにチャレンジしてください。



心理相談担当校医 島悟

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