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コラム「キャンパスCLINIC」

料理って?

白金通信2011年10月号

最近でこそDancyuとかいう男子厨房に入る本が出てはいますが、昔は男子が厨房に入ればゴキブリ亭主と言われたものです。しかしアメリカでは家事をしないご主人のことを「COCKROACH HUSBAND」と呼ぶそうです。さすがに共働きの国アメリカでは家事をしない男性は何もしないどころか害を及ぼすと考えられるようです。

私は大学時代、単身でアパート暮らしだったのですが、一人で外食をするのが好きではありませんでした。何かわびしいからです。そしてそんなにお金もなかったので自炊が多かったです。自炊主体にすると月の食費が25000円を超えません。その頃に何を食べていたかというと、NHKの「今日の料理」という本を買ってきてそれを端から順に作っていくんです。もちろん嫌いな料理は作りません。美味しそうに見えるものだけです。

料理を通して「旬」を知る
この本の良いところは季節感があるんです。それまではトマトもナスもキュウリも年中スーパーにあるので、それがいつが旬だかわからなかったのですが、この本通りに作っていくと、さっき書いたような野菜は基本、夏に、大根や白菜は冬に作ることになります。で、トマトも冬より夏のほうがおいしいことがわかる。
ラタトゥイユって野菜の煮込み料理がありますが、もちろんトマトのホール缶を買ってくればいつでも作れます。でも夏の崩れかけた(笑)トマトを使った方がおいしい。そんなことが作っている間にわかってきます。
魚だって季節がある。冬になるとおいしくなる魚が多いけど、夏にしか買えない鮎を買ってきたりすると、一人で「ああ、日本人やっててよかったなぁ」なんてつぶやいちゃうんです。一人でてんぷらを作ると、衣のタネが大抵余ります。残しておいても美味しかないので、友人のところに押しかけて、「エビ買ってくれない?一緒に天ぷら食べようよ。」なんて。あ、それから今の妻をアパートに呼んで鯛の料理を作ったこともあります。
鯛って1匹あれば刺身、焼き物、鯛めし、ウロコの揚げ物、ハラコの酢物、など7つの料理ができます。半日かかったけど、とてもびっくりされました。

食事というのはカロリーの補給じゃないんです。季節感を感じ、ゆったりと幸福な気持ちを感じ、料理する人それを振舞われる人、そこにある気持ちを感じます。それらを感じることが、料理の大事なことじゃないかな、と思います。

 

 

校医 朝比奈崇介