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コラム「キャンパスCLINIC」

本当は恐い海外の感染症の話し

白金通信2017年7月号

  間もなく始まる夏休みに、海外へ行こうとしている学生・職員も多いと思います。しかし先進国へ旅行するならともかく、アジア・アフリカへ行くなら、危険な感染症を頭に入れての行動や準備が必要です。

下着の替えのご用意を?
 
国内で診断される赤痢・腸チフス・コレラなどの恐い下痢感染症患者は、アジアからの帰国者がほとんどです。もちろん皆さんは、現地で生水や生の食べ物は口にしないと思いますが、氷・アイスクリーム・皮をむいた果物・手洗いの水などには油断しがちです。現地の人たちが平気で食べていても、騙されてはいけません。彼らは子供の頃から多種の病原菌を口にして、鍛え抜いた胃腸の持ち主です。日本の安全な食に馴れきったあなたの胃腸のために、未開封のペットボトルで水を飲み、皮付きの果物を食べ、持参したウエットティッシューで手を洗い火の通った食材を食べましょう。

海外の蚊は恐ろしい
 
2014年夏に新宿・渋谷の公園のヤブ蚊に刺されて70人以上のデング熱ウイルス患者が国内発生した事件がありました。アジア・南米等の流行地で蚊に刺されてデング熱を発病したまま日本に入国した誰かが、新宿・渋谷の公園に立ち寄って、日本のヤブ蚊に刺されたのでしょう。ウイルス入りの血を吸ったこの蚊は、公園にきた日本人を次々刺してアウトブレークが起きたのです。蚊の媒介する感染症は、ブラジルで大流行しアジアでも感染が拡がっているジカ熱やマラリア・黄熱など多数あります。マラリアや黄熱は当たり前のように死者のでる恐い感染症です。流行地へ行くなら刺されないように、最低限虫除けローションや防虫剤を用意しましょう。
 麻疹(はしか)は初夏に子供の間で大流行した感染症ですが、2015年に日本は「麻疹排除状態」の国と認定されてから国内株での発生はありません。しかし今年3月にバリ島で麻疹に感染した大学生が、山形の自動車学校に入校後診断されました。その間の空港・新幹線・自動車学校で接触した若者数十に感染させたのです。薬のない麻疹に罹らない唯一の対処法はワクチンの2回接種です。2回目がまだなら渡航前に済ませましょう。愉しいはずの旅が、暗転して空港から病院に直行することになりませんように心よりお祈りします。

 

 

尾形英雄(校医)