教育目標
1863年、横浜の地にヘボン塾が創設されました。これが明治学院大学の源流です。ヘボンの活動は、キリスト教の伝道にとどまらず、医療奉仕から文化事業にまで及ぶ広範多岐なものでした。そして、その根本にある精神は、社会的弱者へのあたたかい眼差しと、孤立していた日本文化を世界へと開き、つなげてゆくことにありました。ヘボン塾もその精神の発露のひとつです。
史料によれば、草創期の学院には英語はもちろん、哲学から自然科学、スポーツに至るまで幅広い教科がおかれていました。それらの教育科目のめざすところもまた、社会的現実に対する関心の養成と国際的視野での社会・文化貢献に集約できるでしょう。世界を知ることは、自らを外側からみつめる視点を獲得することにほかなりません。そしてそれは社会の現実を自らの問題として引き受け、その解決のプロセスに参加する意志を育むことでもあります。
21世紀の明治学院大学の教育も、ヘボンが志したものをその本質において継承します。“Do for Others”はその宣言です。そして教養教育センターは、明治学院共通科目教育を通してその一端を担いたいと思います。
明治学院共通科目は、外国語習得をはじめとする基礎的レッスン科目と、世界の多様性を知るための諸講義科目により構成されていますが、その目指すところは、世界に偏在する他者の声に耳を傾けつつ、自らの立場を正確に発信することの必要性を伝えることにあります。環境問題、ボランティアといった今日的な学際科目の充実にも力を注いでいますが、それも社会の現実を知ることと、そこへ自らをつなげてゆくような生き方の価値に気付いてほしいからにほかなりません。
私たちの教育目標は他者との共生を目指す人間教育です。ことばだけの青白い書斎人を育成するのでもなければ、自省を知らない暴力的な正義漢を育成するのでもなく、学生個々が現代にふさわしい市民的教養を備えた人間となるための手助けをすることにあります。
ヘボンにはじまる教育の伝統は、トップエリートの養成だけに求められるものではありません。柔軟に自己を保ちながら社会を支えてきた良質な市民の輩出もまた、大学として誇るべき社会貢献のひとつです。現代にふさわしい教養教育の一翼を担うべく、教養教育センターはヘボン塾の原点を見据えていたいと考えています。 |