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ボリビア「フィールド・スタディ(A)」実施報告

教員による海外フィールドスタディ報告 : 原後雄太 

濃厚なヒアリングの日々を終え、標高4,200メートルでの記念撮影

2003年度春学期における「フィールド・スタディ(A)」は、南米大陸の中央に位置する内陸国であるボリビアで実施した。ボリビアは、アマゾン源流の熱帯低地から中部渓谷地帯、標高4000メートルを越えるアンデス山系に位置するアルチプラノ(高原地帯)まで60近い異なった生態区分と、ケチュア人・アイマラ人・アマゾン地域の先住民族ほか50を超える民族が居住するきわめて多彩な生物多様性と社会文化的多様性をもった国である。

現地の2週間にわたる滞在期間中、アマゾン源流域のトリニダ州・サンタクルス州と高原地帯のラパス州を調査対象地として、おもに先住民族と地域の小農民に焦点をあて、住民組織やNGO・大学・研究機関などを訪れ、関連する歴史や法制度・政策の策定・運用状況などのほか、伝統的な文化や土地利用システム、近年導入されてきている持続可能な農業や森林管理を目的としたプロジェクトなどに関するヒアリングを行い、実際のプロジェクト現場を視察した。

参加学生(12名)のまとまりもよく、かつての狩猟採集民であるシリオノ人の集落訪問や意見交換会、ベニ大学やボリビアカトリック大学などでの学生交流会や懇親会なども通じて、きわめて貴重なフィールドワークと体験学習を得ることができ、好意的な評価を得た。

実施プログラム: 2003年8月30日—9月14日 

8月30日 (土) マイアミ経由 午後 18:30 成田発(AA154) -16:00 シカゴ着
17:29 シカゴ発(AA154)-21:30 マイアミ着
23:20 マイアミ発(AA922) 
8月31日 (日) ベニ州
トリニダ市
午前 05:45 ラパス着
08:40 ラパス発(LB811)-09:20 コチャバンバ着
09:50 コチャバンバ発(LB840)-10:35 トリニダ着
午後 マモレ河畔で昼食
オリエンテーション会議
9月1日 (月) ベニ州
トリニダ市
午前 ベニ州発展のための調査記録センター
(CIDDEBENI)の訪問・ヒアリング、ベニ州
小農民連盟の訪問・ヒアリング
午後 ベニ州先住民族センター(CPIB)の訪問・ヒアリング、ベニ州先住民族女性センター(CMIB)の訪問・ヒアリング、モホ先住民工芸品センターの訪問・ヒアリング
9月2日 (火) ベニ州
トリニダ市
午前 シリオノ法定先住民地域内イビアト村訪問、イビアト村視察・森林管理プロジェクト・養蜂プロジェクトの視察・ヒアリング
午後 パタデアギラ村の訪問・視察、林業・養鶏プロジェクトの視察
9月3日 (水) サンタクルス州
サンタクルス市
午前 小農民世帯の訪問・ヒアリング
午後 サンタクルスへ移動
9月4日 (木) サンタクルス州
サンタクルス市
午前 ボリビア東部先住民族発展センター(CIDOB)の訪問・ヒアリング、CIDOB・先住民地域計画コーディネーターとの会議・ヒアリング
午後 イゾゾグ上流・下流カピタニア組織の訪問・ヒアリング
9月5日 (金) サンタクルス州
サンタクルス市
午前 サンタクルス州農牧業研究所の訪問・ヒアリング、持続可能な森林管理プロジェクト(BOLFOR)の訪問・ヒアリング
午後 WWF-Boliviaその他NGOの訪問・ヒアリング
9月6日 (土) サンタクルス州
サンタクルス市
午前 コンセプシオン・デグアラヨ森林管理計画の訪問・ヒアリング
午後 環境保全プロジェクトの訪問・ヒアリング
9月7日 (日) サンタクルス州
サンタクルス市
終日 自由行動
9月8日 (月) ラパス州
ラパス市
午前 ラパスへ移動
午後 自由行動
9月9日 (火) チチカカ湖 午前 アイマラ人・ティフアナク村の訪問・視察、ティフアナク村・温室栽培プロジェクトの訪問・ヒアリング、アイマラ大学の訪問・視察、社会生産プログラムの訪問・ヒアリング
午後 チチカカ湖地域の先住民村落の訪問・村落開発プロジェクトの視察・ヒアリング、チチカカ湖・アイマラ人村落の訪問・視察
9月10日 (水) ラパス州
ラパス市
午前 先住民村落・村落開発プロジェクトの訪問・視察
午後 チチカカ湖地域の村落開発プロジェクトの訪問・ヒアリング
9月11日 (木) ラパス州
ラパス市
終日 観光・自由行動
9月12日 (金) 機中 終日 06:00 ラパス発(AA922)
9月13日 (土) 機中 終日 機内
9月14日 (日) 日本 午後 14:00 成田着

学生によるレポート : 関口 尚子 

自分の頭と体で考え、感じながら学ぶこと

フィールド・スタディとは、特定分野に関して、文献から得る二次情報ではなく、自ら現地に赴いて体験することを通じて、直接的な一次情報を得ることを目的とするカリキュラムです。野外調査を通じて多くの情報を得ることができました。

私たちのプログラムでは、原後先生の「資源管理」をテーマに、ボリビアで農村地域を対象にして、環境保全と自立的な社会開発を行う持続可能性を持った発展に着手している様々なプロジェクトを視察しました。

ボリビアという国は南米の中央部に位置し、アマゾンという自然資源に恵まれた土地があります。しかし経済的にはいまだ発展途上にあり、そのため多くの木材や天然ガスなどの資源が海外に輸出されており、不適切な開発や土地利用の結果、森林消失が起こっています。環境破壊への対策として、資源を適切に管理することで森林再生と経済的発展を行う方法をボリビアは模索しています。

私たちはそうした取り組みをローカルなレベルで実践している住民組織やNGO団体への聞き取り調査を行い、先住民族や小農民の住む農村地域を訪問しました。それを通して、アマゾン地域の生態系や環境問題、社会経済、政策課題などについて学習しました。またボリビアの高原地帯(標高4000メートル)であるアンデス地帯のアルチプラノのラパスにも滞在し、チチカカ湖やティワナク遺跡を見学し、アルチプラノの先住民族文化や社会開発や環境保全の学習も行ってきました。

私たちがこの旅で得たのは情報だけではありません。現地の人々や団体との交流、意見交換を通じて異文化に触れ合い、多くの貴重な体験ができました。時には車のパンクやデモによる道路封鎖などによって予定通りにいかないことのありました。動き続ける時間と歴史の中で、私たちは一記録者としてその地に立ち、その空気と大地と人々と出会う経験を通じて、自らの頭と体で考え、感じ取りながら学んでゆくことができたのだと思います。この貴重な体験こそが、今後の人生観や考え方をより柔軟にしていくのではないかと思います。

PHOTOレポート 

アマゾン熱帯低地に位置するベニ州のシリオノ先住民地域にて。集落内の資源管理プロジェクトを視察し、村民たちと交流会を開いた。

首都ラパス市内の風景。ティワナク文明や遺跡やボリビアカトリック大学を訪れ、古代の土地利用システムや農村開発プロジェクトを視察した。

 

標高4000メートルのアルチプラノ(高原地帯)の風景。かつて灌漑用水の整備と水の蒸散作用などを利用した農業システムが発達し、100万人規模の人口を養った土地利用システムなどを学習した。

濃厚なヒアリングの日々を終え、標高4,200メートルでの記念撮影。広大な大地に沈む夕陽と立ち上る満月、宝石箱のようなラパスの夜景に酔いしれた。

 

先住民族や小農民・労働者らの反政府デモ風景。ボリビア離陸後、死者80名の騒乱事件と大統領の辞任事件に発展。南米の政治不安を目の当たりにした。

国立ベニ大学の学生たちとの交流風景。若者同士で意気投合し、後日クラブで再会。サルサ・メレンゲなどのラテンダンスではじけた。