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ブラジル「フィールド・スタディ(E)」実施報告

教員による海外フィールドスタディ報告 : 服部圭郎 

アトランティック・レイン・フォレストにて

私のフィールドスタディの授業は、対象となる都市・地域経済活動の実態と、その背景にある都市・地域環境を実際その場に身を投じることによって、全身体的に捉え、大学のキャンパス内での講義と現実(フィールド)との関連性を考察する契機とするものと位置づけている。
フィールドスタディの講義を通じて、学生達には、第三者的視点をもって、経済活動が営まれる背景、条件としての都市環境、地域環境を調査、分析することによって、その関連性を理解、把握する能力を培ってもらいたいと考えている。
ここで、都市環境、地域環境とは、地勢的特徴だけでなく、広くそこでの人の生活、人の営みをも指す。そして、分析をするという主体的作業を通じて、自分のことを知ってもらう。フィールドという多くの情報に満ちている場に相対することによって、自分というフレームワークを拡張させ、広い視野で物事を考察する方法論を修得してもらいたいと考える。

今年度のフィールドスタディ(E)の、フィールド対象はブラジルのクリチバである。クリチバは世界で最も優れた都市計画が40年近くの期間にわたり実践された都市であり、それはまさに「生きた教科書」である。都市計画や都市政策は、教科書などで頭だけで理解しようとしても難しい。実際の音楽を聴かないで、評論だけではその作曲家、演奏家の偉大さが分からないよう、都市計画や都市政策も実際の優れた実例を見ないで理解することは困難なのである。

学生達は前半の1週間は、クリチバの豊かな森の中にある環境市民大学にて午前中クリチバ市の土地利用政策、都市政策、環境政策等の講義を受け、午後に街に繰り出し、それらの政策がどのように実際の社会を形作ることに成功したのかを、自分の五感を通じて理解してもらった。
週末には、クリチバから1泊の遠出でアトランティック・レイン・フォレストを訪れた。そこで、学生達は、アトランティック・レイン・フォレストの豊かな生態系の中で時間を過ごし、生態系の保全活動とそこで生活する人達の経済活動との調和をとるための難しさとその解決への取り組みを視察した。
そして、後半の1週間は、学生達は「住宅政策」、「交通政策」、「環境政策」、「緑地政策と経済効果」という4つのグループに分かれて研究活動を行った。調査活動を遂行するうえにあたっては、カトリック大学パラナ校の学生達が貴重な時間を割いてサポートしてくれた。そして、学生達は最終日にその研究成果を環境市民大学にて発表した。

今回のフィールドスタディでは多くの出会いがあった。クリチバ市長を3期務め、現在のクリチバの産みの親ともいえるジャイメ・レルネル氏や、彼の片腕として緑地政策、環境政策に取り組んだ日系一世のヒトシ・ナカムラ氏など第一線で活躍した人々から、学生達は直に話をうかがうことができた。学生達は、優れた都市計画・都市政策だけでなく、それらを実現させるうえで人が果たす役割を理解することができたと思う。そして、カトリック大学パラナ校の学生達とは、調査活動だけでなくアフターファイブでも一緒に行動し、友情を育むことができた。国境を越えて芽生えた友情は、その後の彼ら、彼女らの人生において貴重な資産になるであろう。そして、私にとっても貴重な有意義な時間を過ごすことができた。クリチバとクリチバの人々にここに深く感謝の意を示したい。

実施プログラム: 2004年2月14日—2月29日 

2月14日 (土) 日本発
2月15日 (日) 午後 15:00 クリチバ着
2月16日 (月) 午前 09:00 環境市民大学の概要説明
10:30 クリチバ市の歴史講義
午後 13:00 クリチバ市の現地ツアー
2月17日 (火) 午前 08:30 クリチバ市の環境政策に関する講義
10:30 クリチバ市の交通政策に関する講義
午後 12:00 カトリック大学パラナ校の学生達とのディスカッション
13:30 カトリック大学パラナ校の引率によるクリチバ市の現地ツアー
18:00 カトリック大学パラナ校の学生達との会合
2月18日 (水) 午前 08:30 クリチバ市の緑地政策に関する講義
10:30 クリチバ市の現地ツアー
午後 13:00 交通政策の現地ツアー
15:00 緑地政策の現地ツアー
2月19日 (木) 午前 08:30 クリチバ市の社会・経済問題に関する講義
10:30 クリチバ市のリサイクル等に関する講義
午後 13:00 クリチバ市の現地ツアー
2月20日 (金) 終日 クリチバ市の現地ツアー
2月21日 (土) 午前 08:00 汽車でセラ・ド・マールへ向かう。
10:30 モレチス着
午後 13:00 アトランティック・レイン・フォレストに関する講義と現地ツアー
2月22日 (日) 午前 08:30 パラナグア湾へ向かう
午後 15:00 パラナグア湾からクリチバ市へ
2月23日 (月) 終日 グループでの作業
2月24日 (火) 終日 グループでの作業
2月25日 (水) 午前 08:30 ジャイメ・レルネル元市長による講義
午後 13:00 グループでの作業
15:00 ジャイメ・レルネル元市長に表敬訪問
2月26日 (木) 午前 グループでの作業
午後 15:00 研究成果発表
2月27日 (金) 午前 自由行動
午後 クリチバ発
2月29日 (日) 日本着

学生によるレポート 

PHOTOレポート 

クリチバの名所「花通り」を散策し、この都市の魅力を肌で感じる。

市内の移動はクリチバ市長の計らいで、市バスを貸してもらいご機嫌な我々。

 

タングイ公園にて、我々をサポートしてくれたカトリック大学パラナ校の「イケメン」学生達と記念撮影。

午前中は森の中にある環境市民大学で、専門家達の講義を集中して受ける我々。生まれて初めてというくらい一生懸命勉強した、という声あり。

 

週末にはアトランティック・レイン・フォレストに一泊二日で出かけ、その大自然を満喫した。

 

有名な「ごみと緑の交換プロジェクト」の現場を視察し、ごみと交換するバナナをただで恵んでもらい頬張る。非常に美味い。

ファベラ(スラム)に実態を調べるため、直接住民の意見を聞きに調査に出かけ、子供達に好かれ人気者となる。

 

現存する世界一の都市計画家といっても過言ではないジャイメ・レルネル元クリチバ市長(現世界建築家協会会長)に表敬訪問をした我々。

最終日の前夜に環境市民大学で今までの研究成果を発表する。皆、少し緊張している。