北京大学対外交流センター 実施報告
教員による「フィールド・スタディ C」報告 : 宋立水
テレビなどでもよく目にする天安門広場で
2005年度の「フィールド・スタディC」は、経済学科と経営学科の学生計18名と引率の教員2人で、8月27日~9月10日の15日間で行われた。例年と同じく、今年度のプログラムも北京大学との共同運営によって、北京、承徳、上海、蘇州の四つの地域で実施された。学生達が北京において、北京大学側から提供された中国経済、政治、企業、文化等諸問題についての特別講座を受け、さらに、開発区国有企業、外資企業、大学企業、農家、マーケット等についての見学・調査を行った。北京大学滞在期間中、太極拳を学ぶことができ、また、中国人学生と外国人留学生との交流を深めた。承徳市は清の時代にかつて第二の政治中心と言われた歴史のある町であり、市の3分の1程は世界文化遺産の避暑山荘によって占められた。承徳市に行った時、市の発展委員会の責任者の協力を得て承徳市経済産業の現況及び今後の発展戦略・ビジョンについて調査・考察した。北京から上海への移動は、約12時間程の列車を利用した。上海滞在の1日半の間に、上海浦東開発区を見学し、また、伊勢丹、日本ファションを集めているWA!!についてマーケティングの視点から考察が行われた。東方ベニスと言われる蘇州においては、旧市街と開発新区を見学した後、経済技術開発区管理委員会を訪問し、開発区の責任者から開発区と経済開発についての講義を受けて、さらに日系企業の現地駐在責任者へのインタービューも出来た。北京の近くの承徳市と比較してみれば、承徳市は外国資本の受け入れが、上海近くの蘇州よりはとっくに少ないため、産業発展状況は蘇州とかなり違い、中国経済における外資の存在意味を良く理解できた。
ちなみに、北京、承徳、蘇州、上海滞在中、故宮博物館、宜和園、円明園、万里の長城、避暑山荘、小ブダラ宮、普寧寺、獅子林、寒山寺、豫園等々の世界歴史文化遺産・名所遺跡をも見学できた。
ハードなスケジュールを組んだ15日間の現地考察では、学生達が中国の社会・経済・文化について様々な体験によって理解を深めたと同時に、社会的経済的な地域相違性についての観察もできた。これらの普通の観光旅行では絶対得られない貴重な体験は、学生達には、今後の学生生活にとっても或いは中国社会と経済と文化への理解を深めることにとっても、重要な刺激材料になると思い、もちろん、学生を引率した我々教員にとっても、様々な刺激を受けながら考えさせられる貴重な機会でもあった。
教員による「経営学特講 (フィールド・スタディ) 」報告 : 西原博之
「経営学特講(フィールド・スタディ)」は、経営学科で最初に開講されたフィールド・スタディ科目である。今回は宋教授が担当する「フィールド・スタディ(中国経済現地研究)」に同行し、経営学科からは11名の学生が参加した。 本講義の訪問場所は、北京、上海及びそれらの近郊である。前半は北京大学に滞在し、経済・経営環境の理解に不可欠な中国の政治経済、農業、民族などの講義を北京大学の先生から受けた。他方、キャンパスでは早朝に太極拳の指導を受けたり、北京大学の学生や留学生と交流を図った。
一方、キャンパスでの活動をはさみ、現地の企業、商業エリア、経済開発区などを見学・調査した。また、人格形成や価値観に影響を与える文化、歴史などの理解を深めるため、近郊の名所、旧跡だけでなく、近くの農村にも足を運んだ。後半の上海へは、広大な中国大陸を実感するために夜行列車で移動し、市街地及び蘇州の経済開発区などを訪れた。
2008年は北京五輪、2010年の上海万博の開催が決定し、両都市は超高層ビルの建設ラッシュや街の賑わいから、経済成長を謳歌している様子がうかがえた。中でも北京五輪に関しては、既に街でイベントや協賛企業の広告活動が行われていた。他方、街でニセモノが堂々と販売されていたり、貧困層の人がコピー商品を路上で売り歩く姿も多く、中国国内の経済格差など、市場経済の進展に伴う社会問題を垣間見ることができた。
実施プログラム: 2005年8月27日—9月10日
| 8月27日 (土) | 午後 | 14:55成田出発 17:30北京到着後北京大学へ |
| 8月28日 (日) | 午前 | 北京大学始業式 北京大学学生の案内による大学見学 |
| 午後 | 講座 : 中国文化について 頤和園見学 | |
| 8月29日 (月) | 午前 | 太極拳 明清商業街・前門市場見学 |
| 午後 | 太極拳 講座 : 中国の財政問題 | |
| 8月30日 (火) | 午前 | 太極拳 講座 : 中国の財政問題 |
| 午後 | 故宮博物館・景山公園見学 王府井商業地区から自由活動 | |
| 8月31日 (水) | 午前 | 太極拳 北京大学の企業 (北大未名生物集団) 見学 神道見学 農家で昼食 |
| 午後 | 定陵見学 抵什刹海から自由活動 | |
| 9月1日 (木) | 午前 | 太極拳 北京経済開発区見学 |
| 午後 | 自由活動 | |
| 9月2日 (金) | 午前 | 太極拳 国有企業 (首都鋼鉄) 見学 |
| 午後 | 抗日戦争記念館見学 盧溝橋見学 北京雑技団観賞 | |
| 9月3日 (土) | 午前 | 北京から承徳へ移動 |
| 午後 | 承徳市旅遊局局長と懇談及びインタビュー「承徳市の経済発展の現状と発展戦略」 | |
| 9月4日 (日) | 午前 | 世界文化遺産 : ラマ教聖地小ブダラ宮、仏教聖地大仏寺見学 |
| 午後 | 世界文化遺産 : 避暑山荘見学 夕食後自由活動 (ラマ教のショー観賞、マッサージ体験) | |
| 9月5日 (月) | 午前 | 承徳から北京へ。途中世界文化遺産、万里の長城を登る。 |
| 午後 | 北京大学到着 | |
| 9月6日 (火) | 午前 | 北京現代 (自動車メーカー) 見学 円明園見学 |
| 午後 | 講座 : 中国企業の問題 北京を出発、夜行列車で上海へ向かう | |
| 9月7日 (水) | 午前 | 上海到着 浦東開発区見学 |
| 午後 | 金茂タワーに登る 南京繁華街見学 夕食後上海雑技団・夜景観賞 | |
| 9月8日 (木) | 午前 | 上海から蘇州へ 蘇州工業園区見学 |
| 午後 | 蘇州工業園区管理委員会責任者訪問、インタビュー、懇談 | |
| 9月9日 (金) | 午前 | 寒山寺・拙政園見学 |
| 午後 | 蘇州から上海へ 到着後自由活動 | |
| 9月10日 (土) | 午前 | 豫園見学 自由活動 |
| 午後 | 15:30浦東国際空港出発 19:15成田到着・解散 |
学生によるレポート「フィールド・スタディ C」 : 鈴木 梢
今まで日本で授業や本、メディアでしか知らなかった中国という国を、この目で、この耳で、舌で、鼻で、そしてこの肌で確かめるため、私たちは少しの不安と大きな期待を胸に中国へやってきた。
中国では2週間に渡って北京・承徳・上海・蘇州を訪れた。北京では北京大学の寮で生活し、大学の先生方による中国文化や政治、経済についての講義を受けた。北京滞在中は自動車工場や、工業地区の企業を見学したり、商業地区を歩き北京の街の雰囲気を味わった。このような経済的なものだけでなく、北京大学の学生や先生方の案内で頤和園や天安門広場・盧溝橋・神道などを見学した。
上海ではまず立ち並ぶ近代的な高層ビルに驚いた。同じ中国の大都市であっても北京と上海ではまったく異なる雰囲気を持っていた。上海には外資系企業が目立ち、街の景観は欧米風であった。しかしその一方で北京、上海ともにこのような近代化や豊かさを象徴する高層ビルのすぐ横には古く質素な建物が並んでいた。また、街の中心部には物乞いや地方から出稼ぎに来ている労働者が多く、中国国内での経済格差が感じられた。
今回見学した中で特に印象的だったのは万里の長城である。果てしなく連なる山々にどこまでも続く長城を見て、広大な土地や長い歴史、さまざまな意味での中国の大きさを感じ、感動した。
カルチャーショックは途切れることなく続き、異文化の中で日本という国を客観的な観点から見つめなおし、新しい日本を発見することができた。
買い物をする時など、言葉が通じない異国の地で意思疎通を図ることはたやすいことではなかった。しかし言葉が通じないからこそ現地の人とは真っ直ぐ向き合うことができた。日本では中国=反日のイメージが濃くあるが中国の人々は皆親切で、優しく接してくれた。靖国問題や歴史認識の問題で中国と日本は長い間すれ違っているが、政冷経熱といわれるように中国の急激な発展により日本は隣国でもある中国を決して無視することはできない状況になっている。これから政治的にも両国が歩み寄れることを切実に願う。
今回のフィールドスタディーほど「百聞は一見にしかず」という言葉を実感したことはない。それまで日本で勉強してきた中国は、中国に到着した瞬間すべて崩れ去った。右も左もわからない、すべてが新しく感じられる中国で、今まで私が持っていた中国についての知識はなんてわずかで偏ったものなのだろうと思ったからだ。
2週間に渡るプログラムの中で私たちは言葉に言い表すことが出来ないほどたくさんの、大切なことを学んだ。経済のことだけでなく、その基盤ともなる文化、習慣、政治、歴史そして異文化の中で生活をするすべ、積極的に行動することも学んだ。この非常に貴重な経験をこれから糧とし、出発点としていきたいと思う。
学生によるレポート「経営学特講 (フィールド・スタディ) 」 : 小倉 拓也
4000年の歴史を持つ中国、高度成長期の真っ最中である中国、反日デモが叫ばれている中国、広大な大自然と巨大な農村部を持つ中国。私達18人は様々な印象と期待を胸に仕舞い、全てを自らの五感で実感するために中国へ向かった。もちろん不安もあり、旅立ったメンバーの中には、初めて15日間も家を離れる人や、初めて海外の地に足を踏み入れる人もいた。中国のことはおろか、同伴する学生同士のことすら知らない状態で、このフィールドスタディのプログラムは始まった。
私たちは、北京、承徳、上海、蘇州の4市を訪れて、本当に表現しきれないほど貴重で多大な経験をした。
北京での市場調査では、ハイパーマーケットと言われるカルフールを視察した。映画やテレビで見るどのスーパーよりも巨大なマーケットで、考察2日目にして中国の規模の違いに圧倒された。またその巨大な規模の違いは、北京大学の大学ベンチャー企業や北京経済開発区での見学を通して、会社全体の敷地面積の広さと自然を有用化しようとする姿勢からも見られた。他には、偽物ブランド商品を大きなビル1つに集約した秀水街での調査もあった。ここでも規模の違いと、中国特有と言えるのだろうか、その大胆さに驚愕だった。
同じ中国でも、上海ではまた違った一面が見られた。300メートルの高層ビル、ユニークな球状の建物、西洋風の建築物、グローバル企業の看板、まさに近代と言える全てが混在している中で、出稼ぎ労働者が多く住むたくさんの民家。そしてその隣に私たちが停泊するホテル。違和感と同時にこの貧富の格差を実感した。
中国の文化・歴史にも数多く触れることができた。天安門広場、頤和園、故宮博物館、万里の長城、円明園。数々の世界遺産を五感フル稼働で体感してきたが、特に印象的だったのは抗日記念館と、その後訪れた盧溝橋だ。周囲に無数の中国人がいる中で南京虐殺の記事を読むのは、複雑な気持ちだった。またテレビ放送での反日番組の多さを目の当たりにして、まだまだ遺恨が残ると知り、今後の自分たちはどうすべきか改めて考え直すいい機会になった。
さらに、北京から上海へ12時間の列車移動でもレアな体験ができたと思う。広大な大地と車窓からの風景・・・、は体感せず、長距離列車のワクワク感だったのか、仲間とのとても楽しいひと時を過ごした。
他にも、食文化やマナー、語学力を超えたコミュニケーションなども体験できた。朝食、昼食、夕飯も円卓での中華料理。最初は見たことない不思議な料理にみんなで戸惑ったが、教員も含めて非常に楽しい会食の毎日だった。また、食事中のマナーや中国式の乾杯なども教わった。飲み会まで円卓でできたのは貴重な体験だった。
15日間、こんなにもたくさんの経験をしたことは、人生において非常に貴重で、とても充実した時間を過ごせた。そしてこの経験は今後様々な活動に生かせるだろう。学生を尊重して自由に楽しませてくれた2人の教員に本当に感謝したい。
PHOTOレポート「フィールド・スタディ C」
テレビなどでもよく目にする天安門広場で
北京大学での朝の太極拳
北京大学での中国文化の講義の様子
神道の様子。出口が見えないほど道は長い。
首都鋼鉄の工場を見学した。
承徳では世界遺産の小ブダラ宮と大仏寺を見学した。
北京大学の寮で。
万里の長城の道は険しいものだった。
夜景の中心となる上海タワー前で。
帰国前最後に訪れた上海の豫園にて。
PHOTOレポート「経営学特講」
天安門広場にて記念撮影。
北京大学の寮での1コマ。
秀水街に並ぶ偽ブランド品。
万里の長城を目の前に。
北京動物園にて。みんなでパンダグッズ購入。
ラマ教の民族舞踊を鑑賞後。
寝台列車の中でカラオケ大会。
上海タワー前での記念撮影。
上海で宿泊したホテルの周辺。
最終日の夜の打ち上げの様子。
牛肉麺とY君。