学生による履修報告 : 佐々木真吾
今回、このフィールドスタディCに参加して、自分なりに観察して感じた中国、また2週間で得られた収穫を、レポートにまとめていきたいと思う。
まず、日本から北京に到着して一番初めに感じた事は、空気が汚いという事だ、ある程度予想はしていたものの、実際現地に降り立ってみると、日本に比べて空気が埃っぽい感じだった。それもそのはず、中国は黄砂の影響を日本よりも多く受けるし、領土が広いぶん自動車も多く走っているからだろう。
北京に関して1番の原因としては、北京オリンピックのための建設工事からくる粉塵が空気を明らかに汚くしていると感じられた。実際バスで北京市内を回っているときも、建物を壊している所や、新しく建設途中のビルなどが、嫌というほど眼に入ってきた。
また、それと同時に感じたのが、目まぐるしいほどの経済成長をしているということだ。北京オリンピックの影響で、いち早くビジネスチャンスを掴んだのは不動産業だろう。先ほども言ったように、様々な建物を建設する際、その市場を牛耳っているのは不動産業界だけだ。また驚くべき事はそれだけではなかった、建設スピードも並みのものではないという事だ。天安門広場に行った際、広場の中で1番大きいとされる商工会議所の建設期間が約2週間と聞いた時はさすがに驚いた。なんでも、その建物を建てるのに、中国の建設業界のプロフェッショナルがそろいにそろって建設したといっていたが、それでもそのスピードには恐れ入った。
北京オリンピックの影響で経済成長しているのは不動産業界だけではなく、メディア業界、サービス業界など、その他にも色々とあるが、街中で一番目に付いたのが、オリンピックの物販促進物だ。観光客向けに造られた専門店で割合良い値段で販売されていた。それらの専門店が上げる収益も馬鹿にならないだろう。路上でいわゆる安い値段のバッタモンが売られているくらい注目の的だという事だ。
また、市場調査として大手スーパーマーケットのカルフールに行ったが、感想として、物価の違い以外は日本のスーパーマーケットとなんら変わりがないと思う。日本でスーパーというと食料品しか取り扱っていない感じだと思うが、それ以外にも電化製品・衣料品・薬品など色々な商品も豊富で、品揃えも充実していて、とても便利なものだった。
しかし、商品を取り扱う上で、一つ疑問に感じたのが、いわゆる海賊版の販売である。中国では海賊版を取り締まるという概念がまるでないように感じられた。日本のDVDや、ゲームソフトなどが、日本で買うより格安の値段で売られているのを見ると、しっかり規制していかなければならない問題なのではないかと思った。それ以前に意識の違いからくる問題なのかもしれない。
意識の違いの面を追って見てみると、日本と中国では歴然としている。一つは交通ルールの違いである。これは軽いカルチャーショックを受けたといえるだろう。中国に到着して最初は横断歩道一つ渡るのも命がけだった。それは、交通ルールに関してまったく無知であったし、ドライバーは歩行者に対して危険の及ばない運転をするものだと思い込んでいたからだろう。しかし、その考えはすべて払拭された。車が止まるのではなく、歩行者が車を止めてまで道路を横断するという意思がなければ、横断歩道を渡ることができない。これが中国の感覚では普通なのだ。だから、横断歩道は赤信号でも平気で渡ろうとする人々でその意味を成していない。現地のガイドさんが言うには、決して走って渡ってはいけないそうで、走って渡ると逆に車が止まらないので轢かれてしまうそうだ。ゆっくり渡る事で、今自分は道路を渡っていますよと言う事を、ドライバーに伝えなければならないと言う。日本の交通ルールから考えると、笑ってしまうほど曖昧なルールが実際中国では成り立っている。要するに暗黙の了解と言う事だろう。
車の運転も車間距離の狭さや追い越し、割り込みなど何でもありの状態だ。実際、2週間の中で1度、車同士の事故を目撃したが、何とも言いがたい事故であった。
中国の道路からクラクションの音が減るのは、国民の意識レベルが上がるまで相当な年数がかかると予想されている。
次の意識の違いとして、抗日戦争に対する中国と日本の考え方である。
抗日戦争記念博物館を見物するまでは、中国人は反日教育されていて、きっと日本人に酷い感情を抱いているのだとばかり思っていた。しかし、それは大きく間違っていた事にこの抗日戦争記念博物館で気づかされた。自分も含め今の若い学生達はきっと学校の勉強だけでしか知らない、上っ面だけの知識で、中国を批判しているということに。
それは、盧溝橋事件から始まり、抗日戦争が勃発し、南京大虐殺など、もう二度と同じ過ちを犯してはならないよう、尚且つ歴史を深く知って忘れないよう、戒めるための博物館なのであって、中国が日本を批判するために造った物ではないのだ。歴史を振り返った上で、博物館の最後にあたる、最近つくられたというブースには、全世界の平和を願うという意味が込められているそうだ。この意味を教えてもらったとき、自分がいかに勉強不足だったかを思い知らされた。
また、中国の意識の中で驚いた事は、地球温暖化を予防する対策として、どの街でもエコロジーを心掛けているという事だ。発展途上国なだけに、消費されるエネルギーの量は計り知れないが、北京では排気量の基準がみたされない車は道路を走ってはいけないという政策や、交通量の調節、工場からでる煙や排水の洗浄化など、様々な政策に取り組んでいる。北京だけではなく四川省の成都でも同じようなエコロジー政策を取り入れ、エネルギーの節約を行い、利用効率を上げることに意識を高めているようだ。そのため浪費を重ねるような企業には罰を与えるなど、エコロジーに関しては厳しいところがある。成都では最近、天然ガスが発掘され、最大限に利用するための方法を模索中とのこと。また、四川省内部に原子力発電所を建設するという案が出たらしいのだが、エネルギーの無駄づかいになるため、建設には反対しているそうだ。そして、意外にも私用車の利用率は1位の北京についで2位が成都とだと言うのだから驚いた。現在、成都でも排気ガスを多く出す車は街を走れなくなっている。
もっと身近なところのエコロジーで言うと、ホテルのルームサービスだろう。
どのホテルでも同じようにエコロジーに気をつかっていて、使い終わったバスタオルなど、使用者が替えようと思わなければ、替える事はなくなっている。普通ホテルなのだから、1回使ったものは、全て替わっているというのが、私たちの中では当然に感じていたが、細かなところでもエコロジーは大切なのだという事を、身をもって体験する事ができた。このホテルのサービスは現在、一部の日本のホテルでも、行われているそうだ。
この様に西部大開発によって中国の内陸部も経済発展による様々な問題点が浮き彫りになってきているが、その問題の解決のため試行錯誤で問題に取り組んでいるという状況だ。今後、経済の中心地として、ライバル関係にあたる成都と重慶がどのような動きを見せるのか非常に楽しみである。
話はかわるが、文化の違いとして、中国には9月10日に老師の日(先生の日)といって生徒が先生を敬うためプレゼントするという日がある。ちょうどフィールドスタディ期間にこの日がかぶっていて、先生に感謝の意味を伝える事ができたので、とてもうれしかった。これは、是非、日本も導入すべきである。中国では先生と生徒は家族のように、より深く付き合うという事が普通なのだそうだ。北京大学にいて感じたことだが、中国の人は勉強熱心で、何事にも意欲的なのである。それはきっと教えを請う立場をわきまえているし、何より先生を大切に思っているのだ。日本はこれを見習わないといけないのではないだろうか。
最後になるが、この2週間のフィールドスタディを通して、改めて、仲間の絆を確認できたことが、私自身何よりの収穫である。中国という異国の地で、共に悩み、共に感動することができる仲間の素晴らしさに触れ、自分がいかに狭い世界にいた人間なのだという事を痛切に感じることができた。上海、最後の夜に200万ドルの夜景を全員で見た時、感動して想わず涙がこぼれそうになった。それはきっと、このフィールドスタディでかけがえのないものを手に入れる事ができたからだと、私は信じている。