学生による履修報告 3
12日間のフィールド・スタディを終えて今実感していることは、私の想像を超えた中国の大きさと自分の小ささである。出発する前の中国のイメージは、ニュースなどの情報機関で得たものしかなく、あまり良いものではなかった。そのため中国に行く日が近づくほど不安が募っていった。しかし、いざ中国での生活を送ってみて感じたことは、周りの人の温かさと日本と変わらない街並み、高層ビル群のとても奇麗な夜景、素晴らしい自然、発展していく経済、触れたもののほとんどが私のイメージと異なるものばかりだった。中国の良いところも悪いところも見ることができ、充実した時間を過ごすことができたと思う。
北京や上海の大都市と韓村河などの農村の格差や言葉の違い、地域ごとの食生活の違いなど様々なことを体感することができた。特に印象に残っていることは交通事情である。自転車大国から自動車大国に変わった中国であるが、大都市では人口が多いため交通量も激しい割に交通規制が緩いと感じた。北京では常にクラクションが鳴り響き、車線をまたいでの走行や歩行者無視の右折、市街の道路はほとんど渋滞している状態だった。他の地域では信号機にカウントダウンがついており、中国人の性格が表れていると感じた。トロリーバスや路線バス、地下鉄を利用することによって渋滞解消を考えているそうだが、利用者は多いもののやはりまだまだ車を利用する人の方が多いという。この渋滞の問題は今後の課題だと言われているが、広い中国でどこまでバスや地下鉄の路線を広げるかがポイントではないかと思った。北京はここ10年間で急成長している街で、予想よりも様々な店で賑わっており街として成り立っているように見えたが、公衆トイレの不清潔さや接客のレベルの低さが際立っているように感じた。また、ショッピングモールや出店で日本のチェーン店やアニメーションのキャラクターグッズが置いてある店をいたるところで目にした。日本のアニメーションはかなりの人気があるそうで、今回ガイドをしてくれた方々や大学で知り合った生徒も観たことがあると言っていた。偽物の商品も多くあり、初めは抵抗があったが今ではなくなっている。様々な人がいる場所には様々な物があるのだから仕方がないと思うようになっていた。感覚が変わっていくのが自分でわかった。
農村は都会とはかけ離れていた。川で洗濯物や食事の後片付けをする光景は現在でもあるのだと知り驚いた。文化遺産として残っている宏村は今では観光地になっており、多くの人が出入りするのでゴミが目立った。村が池で囲まれており、橋が一本だけ外から村に向かって架かっている。このように作ったことによって交通が不便で外部との接触が少なくなるため、何年もの間昔のままの形で残っているのである。村の収入源は観光客向けのお土産や食事の提供であった。自給自足で生活を送っている人も多くいた。1年中気温の高い村で空調は無く、家の下に水が流れるようになっており部屋の中はとても涼しかった。この村は活気があったが、観光地ではない他の村はひっそりとしており寂しさを感じた。見るからに都会との格差が大きいと感じたが、それはこの村で生活するうえでは全く問題の無いことだろうし、皆各々の収入でやり繰りができているわけで、格差問題はあるがそれに見合った生活を送っているのだから何がどのように問題なのかと思った。生活水準は住む場所によって変わるのは当たり前ではないかと感じた。
また、798芸術区、泰康路田字坊、新天地は魅力的な場所だった。798芸術区と泰康路田字坊はある区画にギャラリーや雑貨屋がひしめき合っており、日本にはない風景でとても現代的だった。798芸術区では写真や絵画、彫刻や像がいたるところにあり互いに個性を見せつけあっているような感じがした。あまりにも区画が大きかったためすべてを見ることができなかったが、陶器や国境を越えた絵画や理解しがたいアートが数多くあった。そこは若者がとても多く、今の若い人たちは芸術に関心のある人が多いのだろうと思った。上海にある新天地は日本の六本木のような街だった。物価が高く綺麗な格好をしている人が目立ち、様々な人種がいて別世界のように感じた。上海は来年万博が開催されるため街が少しずつ綺麗になっており、これから新天地のような場所が増えていく予定になっている。中国でこのような綺麗な場所があると思わなかったので、驚いたがとても嬉しい気持ちになった。街に出るとタバコやゴミが地面に落ちておりとても汚い感じがしたが、新天地は全くそんなことはなく同じ中国とは思えなかった。整備されており治安もよく居心地が良かった。これからこのような場所が増えると思うととても楽しみである。
今回のフィールド・スタディで中国の経済成長はとても大きいと感じた。上海の高層ビル群や万博のために街の古い建物を綺麗にする作業など、国の経済力があるということが良くわかった。日本と比べるとまだ中国は改善するところがあると思うが、その今の日本をつくったのは私ではないし、むしろ日本も改善すべき点がたくさんあるのではないかと思った。それが何かは分からない、何もできないし気づくことのできない自分がとても小さく感じた。けれど今の段階で素晴らしい経済成長を遂げている中国という国に行くことができたことは、確実に将来の自分にとって良い糧になると思うし、経済についてもっと知りたいという意欲に繋がるきっかけとなった。このフィールド・スタディに参加することができたことは本当に良かったと思うし、万里の長城や黄山の登山、企業見学などなかなか体験できないことを実現させていただいたことはとても貴重なものばかりだった。今回お世話になったたくさんの方々に感謝している。