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ドイツ「フィールドスタディ(D)」実施報告

教員による海外フィールドスタディ報告 : 服部圭郎 

シャーロッテンブルク城にて

 今回のフィールドスタディDは、昨年に続き、ドイツのノルドライン・ヴェストファーレン州を訪問した。日本の大学、しかも経済学部の学生がなぜ、今、ドイツを勉強するのか。それは、ドイツが世界でも最も経済的には日本と類似点が多い国であるからだ。日本と同様に第二次世界大戦にて敗戦し、国土が荒廃した中から、製造業を産業の中核として位置づけることで復興を果たす。そして、日本と同様に産業構造、人口構造の変革という中、工業地帯の衰退、年金問題、少子高齢化の問題などを抱えている。このような課題にドイツが、どのように対応するのかを知ることは、日本の問題を相対的に位置づけることを可能とし、多くの示唆を得ることが期待されるのである。
 また、ドイツはヨーロッパ諸国の中で、日本と昔から相性のよい国であった。明治政府は近代国家をつくるうえで、イギリスそしてドイツ(プロシア)から多くの知見を得ている。森鴎外がベルリンに訪れたことなどを始めとして、多くの明治時代の文化人はドイツを範としてきた。第二次世界大戦で枢軸国として戦ったという、世界的には後ろめたい歴史を共有しているし、その後も、多くの人的交流が進んでいる。特に最近では、香川選手をはじめとして多くの日本人選手がドイツのブンデスリーガで活躍しているが、その背景にもドイツと日本の文化的親和性があるとも推察される。
 特に、今年度のフィールドスタディDでは3月の原発問題をクロースアップしたいと考えている。これは、今、若い学生達にとって原発問題とエネルギー問題こそ喫緊、かつ長い将来に渡っての問題になると思われるからだ。なぜ、ドイツで原発問題かと思うかもしれないが、それは、ドイツが今回の福島第一原発の事故でも極めて強く反応をし、また「日本人のような秩序を守り、かつ優秀な国民がいる国でこのような事故が起きてしまったことは、人類が原発を持てないことの証左である」という評価をしたこと。また、福島第一原発からの放射能シミュレーションを文科省がデータを持っていたのに公開しなかったのに、ドイツでは気象庁そしてシュピーゲル誌が公開し、また日本よりはるかに激しい原発反対のデモが行われていることなどからである。ドイツはEUの中でも環境政策に積極的に取り組み、化石エネルギーからの脱却、住宅における省エネルギー化の取り組みなどに先進的に取り組んでいる。福島第一原発の事故を受け、今後、エネルギー政策をどのように進めていけばいいのかを検討する必要がある我が国においても、ドイツは多くの知見を与えてくれる事例であると考えられるからだ。
 このような問題意識をもって、実施したフィールドスタディであったため、視察場所も風力発電、バイオマス発電といった再生可能エネルギー関連や、環境共生型住宅などを訪れた。また、これら以外にもケルン大聖堂を訪問したり、伝統的家屋が残るヘッティンゲンや自転車都市としてよく知られるミュンスター、3泊のベルリン旅行を実施するなど、限られた日程の中で、濃密なスケジュールを学生はこなした。日本に閉じこもっているだけでは、なかなか獲得できない視座を彼らはこの2週間で得られたのではないかと思う。

実施プログラム: 2010年9月5日—9月19日 

9月5日 (月) 成田空港第二ターミナル マレーシア航空カウンター:
(第2ターミナル3階出発階 <B> 向かって左。かなり奥)
集合時間11:00。
MH71 13:30 (Narita) – 19:45 (Kuala Lumpur)
MH16 Kuala Lumpur (23:55) – Amsterdam (6:35)
駅でユーロレイルの認証を行います。
9月6日 (火) Schiphol Platform 1-2 (7:44) – Utrecht Central (8:17) ICE3525
Utrecht Central (8:29) – Duisburg HBF (10:06) ICE105
Duisburg HBF (10:15) – Dortmund HBF (10:52)
ホテルにてチェックイン。その後、本フィールドスタディのヤン・ポリーフカ氏からの簡単なオリエンテーションが行われます。
9月7日 (水) ドルトムントからベルリンへの移動+ベルリンの都市再開発
ドルトムントからベルリンへ鉄道移動
ベルリン市役所都市計画学科への現地ヒアリング
都市ガーデニングの視察
9月8日 (木) カール・マルクス通りの再開発事例
(ベルリン都市再開発公社へのヒアリング)
ベルリン西部へのマスタープランに関して
(ベルリン西部都市開発公社へのヒアリング)
9月9日 (金) ベルリン縮小のマッツアン地区への視察
ベルリンの新たなIBAプログラムのプロジェクト、
エンペルロフ空港への視察
9月10日 (土) ベルリンからドルトムントへの移動+ブンデスリーガ
ベルリンからドルトムントへ鉄道移動
ブンデスリーガ観戦(ドルトムント対ベルリン戦)
9月11日 (日) ドルトムント大学に行き講義+ドルトムントの再開発事例視察
ドルトムント大学にて、ルール地方の状況についての講義
9月12日 (月) エコ・センターの研修
午前:エコ・センターでの講義
午後:エコ・センターの研修
風力発電機(ドルトムント)と地域電力供給コンセプト(DEW)の視察
9月13日 (火) エコ・センターの研修
午前:(株)Naturstrom による偽りの無い100%再生可能エネルギー供給と未来への投資
午後:(予)採石場跡利用したエコ住宅地(ベックム)
9月14日 (水) エコ・センターの研修
午前:ドイツでの暮らし(ボーフム大学 _渡辺=レーグナー先生)
午後:褐炭露天掘り(ガルツヴァイラー )、ケルン旧市街、ケルン大聖堂
9月15日 (木) エコ・センターの研修
午前:セミナー
午後:プラスエネルギーハウス 、垣根、防風林の循環間伐によるバイオマス発電
9月16日 (金) 午前:イノベーションシティプロジェクト
午後:ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群(世界遺産)視察、ドルトムント市内ビール醸造所。
班ごとに、フィールドスタディの成果をエコ・センターの所長および永井さんに報告。
9月17日 (土) ドルトムントからアムステルダムへの移動日
ドルトムント(10:37)ー デュースブルク駅(11:10) ICE517
デュースブルク駅(11:26)— アムステルダム中央駅(13:47) ICE218
アムステルダム — Gaasperplas Metro Station (地下鉄53)
(自由時間—希望者はアムステルダムの市内観光)
9月18日 (日) ホテルは8時30分にチェックアウトして出発
Gaasperplas Metro Station – アムステルダム中央駅
— スキポール空港
MH17 12:00 (AMS) – 6:05 (KUL)
9月19日 (月) MH70 11:00(KUL)− 19:10 (NRT)
19:30 成田空港解散

学生によるレポート 

PHOTOレポート 

伝統的な街並みが保全されているヘッティンゲン

バイオマスに力を入れるシュタインフルトにて

 

世界遺産のケルン大聖堂にて

ベルリン市役所にて再開発計画のモデルをみる

 

ブランデンブルク門にて

ベルリンの壁にて

 

地元のドルトムントのブンデスリーガの試合も見ました。香川も活躍しました。

ドルトムントのゼロ・エネルギー・ハウスにて

 

風力発電がいかに経済的に優れているかがよく理解できました