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フランス「フィールド・スタディ(B)」実施報告

教員による海外フィールドスタディ報告 : 大村真樹子 

「2008年度 フィールド・スタディB 実施報告 ~フランス・ワイン産業の多面性を垣間見て」

ブルゴーニュワイン員会のテイスティング・ラボにて

2008年度フィールドスタディBは2009年2月15日から24日まで全10日間の日程で、「フランス・ワイン産業の持続性」をテーマに23名の学生がそれぞれ独自のトピックに取り組んだ。 農業大国フランス、中でもワイン産業は生産高・雇用といった経済的側面からも、歴史・文化的側面からもフランスにとり非常に重要なセクターである。その複雑な産業を「国際市場競争力」と「環境」という二つの側面からの『持続性』から考察することを本フィールドスタディは目的とした。今回はボルドー、ブルゴーニュといった、経済的・歴史的に特に重要な産地を周り、最後にパリを訪れるといった移動の多いプログラムであった。

ボルドーでは、シュヴァル・ブランやムートンといったフランスワインの等級格付けの頂点にあるシャトーを始め、サンテミリオンの生産者組合、ロートシールドの工場等を訪問し、専門家の方々から各地の土壌や気候等(“テロワール(terroir)”)の特性や、各生産者のワイン造りに対する独自の取り組みやこだわり、環境問題に対する考え方や取り組みを学んだ。また、実際の澱引き作業を見学する機会にも恵まれた。(余談だが、初めて味わうワインが第1特級Aクラスのシュヴァル・ブランのワインというのは、何とも贅沢な話である。)また、ボルドー・ワイン委員会では、ボルドーの生産地の特性、市場戦略や環境対策・温暖化対策を学んだ。

ブルゴーニュでは、ディジョン商業高等学院(ESCD: Ecole Superieure de Commerce de Dijon)で、ブルゴーニュワイン市場と日本市場の分析に関する講義を受けた。また、ESC学生によるテイスティング伊呂波の発表、本学学生による「日本市場におけるブルゴーニュワイン」に関する発表があり、学生同士活発なコミュニケーションが取られた。ブルゴーニュ・ワイン委員会の講義では、輸出先としての日本の重要性を再認識させられ、また、温度・湿度も管理されたラボのようなテイスティングルームで、色の見方、香りの嗅ぎ方等を学びつつ、委員会により選抜されたブルゴーニュを代表する味わいのワインをティスティングするという貴重な機会にも恵まれた。

ボルドーとは異なり、小規模のドメーヌでワイン生産が行われておいるブルゴーニュ。訪れたシモン・ビーズの日本人マダムからは、フランスの社会保障制度の弊害から、季節労働者の境遇まで、非常に興味深いお話が伺えた。学生にとっては通訳なしでワイン造りの話を伺う貴重な機会でもあり、畑の葡萄を愛しみ手間暇掛けた後の果実がワインであるということが実感として伝わったようである。シャトー・ブシャールでは、100年以上前のワインも貯蔵された広大な地下のワイン蔵を訪れた。

そしてパリ。フランスワインを特徴付ける原産地統制名称(AOC: Appellation d’Origine Contrôlée)を取り仕切る、国立原産地呼称研究所(INAO: Institut National de l’Origine et de la Qualité)を訪問し、本フィールド・スタディの締め括りともいえる「フランスワイン産業と持続的発展」に関するレクチャーを受けた。ここでは改めてフランス経済のおけるワイン産業の重要性と、地方ごとに大きく異なる現状の問題と将来に関する考察を伺うことができ、AOCというフランス独自のシステム(似たようなシステムは他の欧州諸国にもあるが)の重要性と落とし穴についても学んだ。

ただ、非常に遺憾なことに机に突っ伏している学生が数名いた。当初は食中毒かと心配したが、前日の夜、ホテルでお酒を飲み大騒ぎをしていた後遺症と判明した。私自身が事の経緯を知ったのは全くの別ルートからであり、学生からは最後まで一言の報告もなかった。テイスティング以外は禁止されている飲酒を行うことも言語道断だが、ホテルで大騒ぎをして他者に迷惑をかける結果になったということ、私が重要だと念を押しておいた最終日のセミナーであのような失態を見せることになったこと、そして事件について誰一人として私に報告しなかったこと、どれもが非常に遺憾であり、良識を疑われる行為である。

本フィールドスタディは、ワイン造りの歴史と奥深さ、そして今後続くであろう進化を、生産・販売流通・制度策定に関わっている多方面の方々のお話と実地見学から伺い知ることができた貴重な体験であった。しかし、「終わりよければ全てよし」というが、この場合は「終わり悪ければ全て悪し」といったところだろうか。1年以上かけて準備してきた「充実したプログラム」というそれまでの私の認識が、一挙にかき消された。私自身は学生を信頼していただけに、それが裏切られたショックはかなり大きかった。参加学生にとっては有意義なフィールドスタディであったであろうし、実際、非常に良いレポートを書いた学生もいた。しかし、最終説明会で念を押されたように、本学を代表して勉強・研究に来ているという自覚を一貫して持つべきであった。また、活発な質問もあったが、同時に非常にうるさく何度も注意される学生もいた。彼らにとっては一度きりの訪問でも、その行動が来年度以降のフィールドスタディに影響を与えることは容易に想像がつくであろう(実際に私も何度かそう念を押していた)。帰国後、各自レポートとともに反省文を提出させたが、私自身、来年度の教訓としたい。改めて、今回協力をして下さった方々には感謝の意と、ご迷惑をかけた方々にはお詫びの言葉をお伝えしたい。学生達にはこのフィールドスタディで得た知識のみならず、こうした経験を糧に、責任ある行動がきちんと取れる大人として成長してもらいたい。

実施プログラム: 2008年2月15日—2月24日 

2月15日 (日) 午前 成田発(AF275)
午後 パリCDG着
パリCDG発 ― ボルドー着(AF630)
ボルドー空港 ― ホテル着(専用車)
9月16日 (月) 午前 サンテミリオンへ(醸造所見学、セミナー&テイスティング)
1.Chateau Cheval Blancシュヴァル・ブラン セミナー
“土壌学とワイン生産” M. van Leeuwen
午後 2.Chateau Figeacシャトー・フィジャック M. Faye
3.Saint Emilion Union de Producteurs サンテミリオン 生産者組合 Mme. Callen
2月17日 (火) 午前 メドックへ(醸造所見学、セミナー&テイスティング)
4. Mouton Rothschild Saint Laurant ムートン・ロートシルト サンローランの会社を訪問 セミナー
 “ムートン・ロートシルトの環境対策” Mme. Venencie; 生産工程見学 M. Robinau
5. Chateau Pichon Longueville Comtesse de Lalande
シャトー・ピションロングウィル・コンテス・ド・ラランド Mme. Guillame
午後 6. Chateau Mouton Rothschildシャトー・ムートン・ロートシルト 訪問 Mme. Murriel
2月18日 (水) 午前 ボルドーワイン委員会 (BIVB) セミナー: “1. ボルドースタイル、2. ワイン委員会の今日の役割:経済、研究、プロモーション、3.環境対策:温暖化、消費者” Mme. Marbot
午後 市内 ― ボルドー空港へ
ボルドー発 ― リヨン着(AF7811)
リヨン発 ― ディジョン着(専用車) 
2月19日 (木) 午前 Ecole Superieure de Commerce de Dijon ディジョン商業高等学院 セミナー:
セミナー1. “ブルゴーニュワイン市場動向”Mme. Brouard;
セミナー2. “テイスティング講義&テイスティング”ESCD学生;
3. 本学学生発表“ブルゴーニュワインの日本の市場動向”
午後 サヴィニ・レ・ボーヌへ(醸造所見学&テイスティング)
1. Domaine Simon-Bise et Filsドメーヌ・シモン・ビーズ Mme. Simon-Bise
Domaine de la Romanée Conti ロマネコンティ畑見学
2月20日 (金) 午前 ボーヌへ
ブルゴーニュワイン委員会セミナー:
セミナー1“ブルゴーニュワインと経済” M. Jungmann;
セミナー2“テイスティング講義とテイスティング”M. Martin;
3. 本学学生発表 “ブルゴーニュワインの日本の市場動向”
午後 (醸造所見学&テイスティング)
2. Buchard Pere et Filsブシャール・ペール・エ・フィス Mme. Lavirotte
2月21日 (土) 午前 ディジョン発(専用車)
午後 パリ着
自由行動
2月22日 (日) 午前 モンサンミッシェル視察
午後 モンサンミッシェル視察
2月23日 (月) 午前 国立原産地名称研究所(INAO)セミナー
“フランスワイン産業と持続的発展” M. Briand
午後 パリ観光(3h)・自由行動
ホテル発-パリ空港へ
パリ発(AF278)
2月24日 (火) 午前 フライト(AF278)
午後 成田着

学生による履修報告 

PHOTOレポート 

シャトー・シュヴァルブランでテロワールに関する講義を受ける学生達

シュヴァルブランで記念撮影

 

シャトー・フジャックを視察

歴史あるシャトーフィジャックの外観

 

ワイン名産地サンテミリオンの世界遺産の町並み

サンテミリオン生産者組合の巨大な醸造蔵

 

世界的ブランドワインを作るロートシルトの研究所・醸造所

雄大な河の恩恵を受けるボルドー(メドック地区にて)

 

シャトー・ピションロングヴィル・コンテスにて

シャトー・ピションのテイスティングルームの様子

 

シャトー・ピションのすぐ裏、でも畑は隣のシャトー・ラトゥールのもの

シャトー・ピションの外で記念撮影

シャトー・ムートンで澱引きを見学

ボルドーワイン委員会でのセミナー風景

ディジョン商業高等学院での講義の様子

皆で記念撮影

ブルゴーニュワイン委員会で発表をする本校学生

ブルゴーニュのワイン畑

日本人マダム千砂さんのドメーヌ・シモンビーズにて(学生の誕生年のワインを振舞って頂きました!)

ブルゴーニュの大ネゴシアンであるブシャールの城上にてボーヌの町を見渡しながら

ブルゴーニュ名物ブッフ・ブルギニョンのランチ

かのロマネ・コンティのクロス