学生による履修報告 1
学生レポート 1
10日間で見た今の「中国」
[フィールドスタディの概要]
1.場所:中国 北京、曲阜、南京、上海
2.期間:8月4日から
3.運営:明治学院大学経済学部&北京大学対外交流中心
私は、今回の中国訪問が2回目であった。前回はちょうど4年前の北京オリンピックが開催された2008年である。当時私は高校生で、学校の姉妹校交流プログラムで天津と北京を訪れた。3月18日から27日の9日間の滞在で中国の文化体験、姉妹校との交流とともにオリンピックの準備で真っ盛りの中国の風景を観察することができた。帰りには26日に新しくオープンしたばかりの第3ターミナルを利用し、真新しく広々とした空港に旅最後の驚きをもって旅を締めくくった。
今回は、大学生として中国の社会経済の現地調査を目的とし、北京・曲阜・南京・上海の4都市を回った。2008年の北京オリンピックも、2010年の上海万博も終わっている。中国の経済成長率は低下の傾向で、ヨーロッパの金融危機もある。そういった状況の中、中国は4年の間にどう変わり、現在の中国はどういう姿をしているのか、とても知りたかった。前回は天津と北京しか見れてなかったが、今回は北京から上海と見ることができ、広大な国土を持つ中国だから一概に言えないけれど、北と南の地域性の違いも観察することができた。さらに、長年勉強して来た中国語でより現地の人たちとよりコミュニケーションを取ることができたことは一番うれしかったことであった。
この調査報告書は、そういった現地で直接体験・経験した記憶やフィールドスタディ中の記録資料、現地で購入した文献などを参考にしたものである。後日参考にしたものは最後のページに参考資料として出典などを記述した。
1.各都市の特徴
中国の都市は、広い道路、大きい建物で都市機能がぎゅっと凝縮されているのではなく広く広がっている印象を受けた。土地が広く、人口が多いことからキャパシティーを考えた造りになっていると思われる。そして公園が非常に多いと感じた。夜に体操をする人たちやフォークダンスをする人たちがいて、公園で小さい地域のコミュニティーが出来上がっていたことに中国人のとっての公園の存在感を感じた。
北京:
長い歴史の中で幾度も首都として置かれた北京は、故宮を中心として囲碁の碁盤のように東西南北真っ直ぐに道が作られている。故宮を前にある、広々とした天安門広場の周りには国家大剧院、人民大会堂、国家博物馆があり、まさに中国の中心、北京の中心であることがわかる。そのスケールの大きさから中国の国家権力のすごさも感じ取ることができる。そして天安門の前にある大きい道路は東西に真っ直ぐのびており、この道路を中心に繁華街が形成されているようだった。ショッピングモール・百貨店が連なり日本の銀座のような王府井、零細商店が集まっている秀水街マーケット、若者が良く行くと言われる日本の渋谷のような西单もすべてこの一本道に並んで位置している。そして、そういった繁華街の外れには所々胡同と呼ばれる庶民の住宅街が広がっており、昔ながらの細い路地に平屋の住宅が並ぶ。
北京大の近くには中关村という日本で言えば秋葉原のような街があり、道端で中古のパソコンやディプレーなどの取引をしている人や両手に家電製品を持って出てくる人たちもみることができた。
北京の中心地から外れ、空港の行く高速道路の芸術家たちが集まる798艺术区は、非常に新鮮だった。今まで見てきた北京と似合わないようなその一角に本当に驚いた。国家主導ではなく芸術市民が主体となっている798芸術区ではギャラリーやカフェが並び、比較的表現の自由が認められているという。
曲阜&南京:
曲阜はいかにも観光中心、孔子中心として栄える田舎町という印象を受けた。まだ開発の途中のようだったが、やはり観光地優先で綺麗に整備されているように見えた。六朝古都である南京は全体的に開発が進んで整備された新都市の雰囲気があった。夫人廟の周りは観光客向けに小さいお土産屋さんが並んでいる一方、地元の人がよく来る繁華街、デートスポットのようでブランド店も多く見かけえた。南京の国民政府総統府では、共産党一色の北京とはまた違う雰囲気を感じた。
上海:
見回った4都市の中でやはり一番都市化されていたのは上海である。イギリスやフランスなどの租界があり、ヨーロッパ風の建物が並ぶ。バンドエリアのそういった建物と向かい岸の浦东新区には高層のタワー、ビルが立ち並んでいる姿や、新天地の様は綺麗だなと思ったが一番伝統的な中国の姿が感じられなかった場所でもあった。それでも预园、田子方は中国の古い建物を利用したお店が立ち並び中国らしさを感じることができた。田子方はもともと住宅街だったこともあり、庶民的な感じがとてもいい雰囲気を醸し出していた。
南下するにつれて道端に捨てられたごみが少なく、綺麗でお洒落な街という印象を受けた。これには、南と北の環境や文化の違いがあるようだ。北は比較的乾燥した空気で水が少ない、南は水が豊富であるため、北は埃っぽいこと。水が少ないため頻繁に体を洗う習慣がない北の文化と水が豊富で暑い気候から頻繁に体を洗う南の習慣との差だ。そして香港、上海などの南の地域は、外資が多く入っており、外国の文化や流行が入りやすいことが上海が北京よりも洗練された都市に思える理由であろう。中国に住む友人からは上海っ子は北京を田舎だと言っているらしい。
そして、中国の新幹線;中国鉄路高速からの風景から、中国の農村も見ることができた。果たして原子林はあるのかなと疑問に思うほど、通り過ぎていく木々は列になって並んでおり、人工的に植樹されたものだった。そして、広大な畑とその大半がトウモロコシ畑であったこと。このようなところでつくられた農作物が中国国内及び世界の食料事情を担っているのだろうと思うと中国の人手のすごさを感じた。
レノボの工場でインターンをするフランス人、従業員の人から暇な時はmsnをと言われた。機械みたいに動く現場の人達。でもオフィスの人の方が収入が多い現実。nhk事務所長の高学歴の働き方。
2.中国経済の特徴
フランチャイズされたお店が以前より増えたように思えた。しかし、飲食店においてはほとんどが個人のお店だったり、中華料理屋が大半であり、洋食のファーストフード店のKFCやマクドナルド、ピザハット、カフェのスターバックスなどが逆に目立つほど。まだイタリアン料理も浸透していない様子。でも、北京より上海の方が多様な料理と企業が出しているお店が多くあるように感じた。
衣料品店の中で現地でよく目に留まったのは、韓国の俳優イ・ミンホがモデルをしていたSemir森马というブランドであったが、韓国のブランドと思いきや実は中国のブランドであった。韓流が好きな若い世代をターゲットにしていたようだ。そのほかにも中国のユニクロと言われる美特斯邦威ㆍMetersbonweもよく見かけた。
以下、中国で外資として日本・韓国のどういった企業が進出しているのか、現地で見かけた企業を書き留めた。
[外資]
①韓国系
北京では外国人が多いという五道口で比較的多く韓国系のお店を見ることができた。北京大からも近い五道口は大学の密集地で留学生が多く、恐らく割合韓国の留学生が多いことから韓国系のお店が多かったのだと思われる。それから、北京の繁華街の王府井や上海の街でもところどころ見かけることができた。以下、旅行中見かけたお店一覧である。
飲食:
・CJグループのカフェA Twosome Placeとビビンバがメインのレストランbibigo
・SPCグループの製パン屋のParis Baruette
流通:
・韓国新世界のディスカウントストアで国内1位を誇るEmart
・ロッテ百貨店
ファッション:
・多数のブランドを持つEland
・シンプルなデザインの衣類を売りにしているBasic house
ホテル近くにあったEmart曲阳路店は実は中国進出 第一号店であったようだ。構造は韓国とほとんど一緒であったがスーパーに近い形態であった。韓国では大型の店舗で生鮮食品、加工食品のみならず家電や衣類なども販売している。しかし、帰って調べてみると昨年27店舗あった中で11店舗を処分するほど経営がうまくいっていない様子。北京の王府井にあったロッテ百貨店1号店も経営不振で処分という形になったそうだ。相次ぐ韓国流通企業の経営不振の理由は、後発者としての弱点と文化の差。そして、韓国式を固持し、現地化が上手く行えていないということだそうだ。
②日系
北京ではそんなに見かけなかったが、やはり上海での進出の割合が多かったように思う。どこにでもあったのは、ユニクロだった。どの地域にもユニクロはあちらこちらにあったことに、いかにユニクロが中国にとことん力を入れているかが感じられた
飲食:
・吉野家
・和民
・サイゼリア
・上島コーヒー
流通:
・イトーヨーカドー
ファッション:
・ユニクロ
その他:
・タイヤのメーカー ブリジストン
・宅急便のクロネコヤマト
サイゼリア、クロネコヤマトは意外のように覚えた。日本企業がイタリアンの飲食店を展開しているのは、不思議ではないか。でも、先ほど述べたようにイタリアンが浸透していない中国において、安く気軽に食べれるサイゼリアは中国でのイタリアン普及に持って来いの飲食店なのかもしれない。サイゼリアが中国でどういった展開をしているのかを調べると、サイゼリアは進出成功と言われるほど好調で、やはり価格の安さを売りにしたことが成功に繋がったようだ。
[見学先]
・北京燕京啤酒集团は中国で最も大きいビールメーカの一つで、たった30年あまりでビール世界シェア8位(2010年)になった。ちなみに同じ中国の青島ビールは世界5位、9位と10位には日本のキリンとサッポロがぞれぞれ占めている。燕京ビールは現在3つの目標を掲げている。①2015年にはビール消費量800万キロリットルを目指し、世界シェア6位入りを目指す。②国内はもちろん国際市場においてもさらに成長し、燕京ビールのブランドの国際化を進ませること。③ビールを主戦力としながら、ビールで得たノーハウをつかってミネラルウォータや飲料、バイオテクノロジーを使った食品や製薬製品なども力を入れ、新しい分野での市場開拓も目標にしている。
北京工場ではビール製造の過程を見学した。製造はすべて自動化されており、製造・分析などの機械のほとんどはドイツ製やアメリカ製、日本製のものを使っているという。作業はすべてマニュアル化されており、科学的な製造工程によって安定した品質を保っている。一通り見学した後は、ビールの試飲をさせて頂いた。非常にすっきりした味でおいしかった。その後、工場内の購買部でお土産として菊の香りのビールを2本を10元で購入。日本に持ち帰って家族で飲んだら、ビール独特の臭みが無くすっきりしておいしいと好評であった。
印象が大変よかった燕京ビールであったが、世界4大ビールメーカーが世界シェアの50%以上を占めている状況の中で、国内でどう青島ビールを競争し、それと同時に国際市場でいかに目標を達成させるのか。そして、日本では知名度が低い燕京ビールであるが、キリンとサッポロを抜いていることに、日本のメーカーはどう世界シェアを伸ばしていくのかが非常に気になるところである。
・上海大众汽车は、中国の上海汽车集団とドイツのフォルクスワーゲンの半々の合資でできた合弁会社で、中国初の外国の自動車メーカと設立した合弁企業である。ドイツ語でVolkswagenとは国民車という意味を持つことから、フォルクスワーゲンは中国語で大众(大衆)と名称になり、上海大众汽车となった。上海大众汽车はフォルクスワーゲンとフォルクスワーゲンの傘下にあってチェコのブランドであるSKODAの2つのブランドを製造、販売している。そして中国全土に800もの販売店を持っていると同時にフォルクスワーゲンブランドのサポートセンターTech CareとシュコダブランドのサポートセンターHuman Touchを通してカーライフをサポートするサービス店舗をも展開している。
上海の工場では鋳造と塗装、組み立てなどの工程を見学することができたが、撮影禁止と技術の守秘義務に同意するサインを求められた。製造工程は大体40~45%で自動化されているというが、中国人の賃金が安いため最もコスト効率の良い割合だそうだ。車種によって国産率は違ってくるが大体80%以上は中国で作られているよう。日本ではフォルクスワーゲンというと値の張る高級車のイメージがあるが、タクシーとしてよく売られる車種は10万元(約130万円)以下。日本では輸入車、中国では国産車の意味合いが強いので値段が違うのだろう。そして、合資は一応期限があるようだが、契約更新で期限を延ばしている。やはり、フォルクスワーゲンは合弁したことでいち早く中国市場に乗り込めたことは正解で中国市場は魅力的だったのだろう。
3.まとめ
短い間、ハードスケジュールで行われたフィールドスタディはとても長かったように覚える。少なかった自由時間の間もどんな中国を見ようかと強行に回っている自分がいた。たった10日間であったけれども、いろんな顔の中国を見れたように思う。未だに強請る乞食みもたくさん見た、一方で、上海の高級高層ビル郡。伝統的な中国の街並みがある一方で、都市化された街並み。今がまだ発展途中だからこそ、昔の中国らしさと今の中国らしさがあって、それがとても魅力的に見える。
世界経済が良くない中で、それでも中国は成長し続けるのであろう。
参考資料
・「[이슈]롯데•이마트 중각 사업 안 풀리네…한국서 까르푸 실패 교훈 되새겨야」
매경 이코노미 제1663호(12.06.27~7.03일자)기사
「[イッシュ]ロッテ・Emart 中核事業 うまく行かず…韓国でのカルフールの失敗の教訓を活かさなければ」メギョンエコノミー第1663号(12.06.27~7.03)の記事
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=110&oid=024&aid=0000038578
・「サイゼリヤ、中国進出成功の裏にある二つの「常識外な戦略」」2011/04/18(月) 11:01 森川慎一郎・サーチナ総合研究所研究員
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0418&f=column_0418_009.shtml
・「世界の4大ビールメーカー、市場シェアの半分以上を占める=調査会社」2010年 02月 9日 11:03 JST ロイター
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnJS862134520100209