「巨匠ピカソの源流ーアルタミラからゴヤへー」

開催日 2007年10月13日(土)
時間 14:30-16:30(終了予定)
会場 明治学院大学白金校舎本館1201教室
主催 芸術学科
講師 大髙保二郎
講座概要 スペインは、何よりも「美の国」である。その美は、いわゆる西欧的、ギリシャ的、ルネサンス的な理想美からすれば逸脱した姿に映るであろう。心地よいもの、優美なものを期待すれば裏切られるかもしれない。スペイン人の目は根源的にレアリストの視線である。悲しみや怒り、戦慄や醜までも表現の対象として芸術の地平を拡げたのはスペイン美術の功績と言えるだろう。それは総じて、ヨーロッパとは一線を画するその風土と独特な歴史的環境から形成されたのである。もしスペイン美術を料理に譬えれば、ミックスサラダかパエーリャの、素材がむき出しで雑多に混じりあう姿や味であるに違いない。
そのスペイン美術を代表し、スペインの魂を体現したのがパブロ・ルイス・ピカソ(1881−1973年)である。彼の創作活動は「剽窃の画家」と批評されるように、古くはアルタミラの先史洞窟壁画から近くは現代美術の最新の動向にいたるまで、古今の限りない先行作品を渉猟しつつ、最後は自ら独自の芸術を築き上げていった。「人類の美術史の総復習」と言われる由縁がそこにある。ピカソは模倣を独創に変える「かたち」の手品師であったのかもしれない。
正確に数え上げることは不可能だが、彼の手がけた作品数は絵画、彫刻、素描、版画、陶器などを含めれば7万、8万点ともされる。それらの主題のほとんどは「日常身辺への凝視・省察」を基盤として育まれ、肖像、宗教、神話に及んだとしても、結局は「愛(エロス)と死(タナトス)」の二大概念に収斂していく。「芸術は発明ではなく、発見することなのだ。」(ピカソ)
その精神の根底には、常にイスパニア魂が流れている。ピカソ芸術は何度も変貌を繰り返したが、ルーツを探れば画家の祖国スペインの姿が浮かび上がる。闘牛、磔刑、セレスティーナなどで、それらは「パッシオン」(受難から情熱へ)に要約されるだろう。
内戦終結後、フランコ総統への敵対意識から二度と祖国の土を踏むことはなく、しかしフランス国籍も取得しようとはしなかった。「私は流浪においてスペインを代表するのだ。」
今年2007年は、ピカソの独立宣言たる《アヴィニョンの娘たち》の制作から100年、反戦平和の記念碑《ゲルニカ》から70年という記念すべき年である。
本講座では、ピカソ91年の生涯をスペインという視座から辿ってみよう。
講師紹介 1945年香川県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程、マドリード大学哲・文学部大学院博士課程満期退学。跡見学園女子大学、上智大学を経て現職。専門はバロック美術およびスペイン美術史。主な著書に『ピカソ美術館 戦争と平和』(集英社、1992年)、『世界美術大全集バロックⅠ�』(共著、小学館、1994年)。主な監修執筆に『プラド美術館』(全5巻、日本放送出版協会、1992年)、「ピカソ 愛と苦悩—《ゲルニカ》への道」展(東武美術館、1995年)、「ピカソ 天才の誕生」展(上野の森美術館、2002年)、「ピカソクラシック1914-1925」展(上野の森美術館、2003年)、「ピカソ身体とエロス」展(東京都現代美術館、2004年)、「プラド美術館」展(東京都美術館、2006年)。近著に『ゴヤの手紙—画家の告白とドラマ』(岩波書店)。
入場無料

お問い合わせ先

芸術学科共同研究室
e-mail : art@ltr.meijigakuin.ac.jp
Tel. : 03-5421-5380 Fax. : 03-5421-5502

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