フランス文学科  /  大学院  /  2017年度の担当教授と講義内容

2017年度の担当教授と講義内容

博士前期課程

演習Ⅰ
朝比奈弘治
【講義概要(春・秋学期)】春学期は水と文学――基礎編。流れる水、淀んだ水、荒れ狂う水、包み込む水、雨、霧、涙・・・さまざまに姿を変える水は生命の源であるだけでなく、人間の想像力の重要な源泉のひとつでもあり、昔から多くの芸術作品のモチーフとなってきた。この授業では水を主題とする文学作品の抜粋を原文で読みながら、水をめぐる想像力のあり方について考えるとともに、テーマ批評の実践も試みてみたい。扱う作品はラマルチーヌ、ヴェルレーヌ、ランボーなどの詩、シャトーブリアン、ル・クレジオなどの散文作品、またメーテルランク、ジロドゥーなどの戯曲を予定している。秋学期は応用編。春学期の授業で検討した「文学と水」のテーマを頭に置きながら、19世紀フランスの小説作品を読んでみる。詩やエッセーとは異なり、小説では具体的な世界のなかで登場人物が行動するありさまが特定の視点から語られてゆく。そうしたテクストにおいて、たとえば「水」というテーマは、どのような役割を演じることができるのだろうか。授業ではまずモーパッサンの短編「水の上」、ついでフローベールの長編『感情教育』を読む予定。
演習Ⅱ
石川 美子
【講義概要(春・秋学期)】フランスにおける自伝作品(回想録、自伝、日記、エッセー、自伝的小説)をルネサンスから現代まで概観し、抜粋で読んでゆく。それぞれの作品と同時代に描かれた自画像についても考える。とくに、モンテーニュ、ルソー、スタンダール、シャトーブリアン、ジッドなど(自画像としては、デューラー、レンブラント、ゴッホなど)について詳しく見てゆく予定。春学期は、自伝の定義にはじまり、ルネサンスから19世紀までの作品を考察する。秋学期は、20世紀から現代の作品について見たあとで、学生自身が選んだ自伝作品についての発表をしてもらう。
演習Ⅵ
湯沢 英彦
【講義概要(春・秋学期)】Marc Jimmez, L'esthétique contemporaine, Klincksieck, 2004 を用いて、現代において美術作品を論じるときに必要な、基礎的な「美学」の諸概念について理解してゆく。ただし参加者の興味関心や研究課題に応じて、授業テーマは柔軟に変更してゆく。
演習Ⅷ
慎改 康之
【講義概要(春・秋学期)】西洋において自己について真理を語るという実践がどのようにして行われてきたのかを考察する。春学期は、ミシェル・フーコー「自己の技術(Les techniques de soi)」(1982年)を読みながら、古代ギリシアからキリスト教初期に至るまでの実践を探る。秋学期は、『悪をなし真実を言う(Mal faire, dire vrai: Fonction de l'aveu en justice)』を中心に扱いながら、司法の実践において「告白」が果たす役割を問う。
特殊研究Ⅱ
有田 英也
【講義概要(春・秋学期)】アニー・エルノー研究。日本でも初期作品がいくつか翻訳紹介されているエルノーが、実母を回想した小説『恥(La Honte)』を精読する。国際シンポジウム記録集を通じて、どのような関心と研究視角がすでにあるのかを知り、春学期は授業中の発表(1回)、秋学期は執筆(執筆)に繋げる。
特殊研究Ⅲ
田原 いずみ
【講義概要(春・秋学期)】フランス語の時制体系を様々な角度から考察する。特に時制に関わるアスペクト、ムード(法)の問題、各時制の特性、“語り”に用いられる時制の特徴を中心に扱う。重要な先行研究についても、講読、ディスカッションを通して理解する。
特殊研究Ⅳ
長谷 泰
【講義概要(春・秋学期)】本授業を大学院での通常の講義や参加者各人の専門的研究の枠をはずれた場にしたい。よって特別のテーマやテクストを前もって与えることはしない。参加者の読みたい、知りたいテクスト(文学にかぎらない)を一つか二つ、徹底的に読みこなし、しかも速読のコツを会得し、そこから、たとえ各自の専門分野外のテクスト、テーマであっても自己の土俵に引きいれて、各自の準備している論文の思考材料に接続しうるだけの応用・発想力を養うための実践的な場にしたい。要するに、基本的な読む力の養成(それがなければ、テクストに即した新たな視点や論点もおのずと発想されてくることはない)、医学なら基礎医学にあたるものがこの授業の内容である。
特殊研究Ⅴ
岩切 正一郎
【講義概要(春・秋学期)】春学期は20世紀フランス演劇から、Giraudoux(ジロドゥ)の'La Guerre de Troie n'aura pas lieu'(『トロイ戦争は起こらない』(1935年))を読む。秋学期はAnouilh(アヌイ)の'Antigone'(『アンチゴーヌ』)を読む。
特殊研究Ⅶ
巌谷 國士
【講義概要(春・秋学期)】シュルレアリスムの歴史的・国際的・遊戯的研究。シュルレアリスムについて、またシュルレアリスムとかかわりのあるさまざまな時代と地域の文学・美術・文化・生活について、できるだけ多角的に自由に研究する。参加者が問題を提起し、それをもとに講義と談話をおこなう。授業時間以外にも、必要な場合には講演やシンポジウムへの参加、美術館・博物館・図書館の見学、映画・演劇の観賞、遊歩・小旅行などを試み、広い視野と理解力・類推力・構想力の獲得をめざす。今年度の一応のテーマは「旅」「文明」「野生」「芸術」などとする。
特殊研究Ⅷ
畠山 達
【講義概要(春・秋学期)】演習形式で文学作品の抜粋の音読、翻訳をする。その際、作者、歴史的背景、全体の中における抜粋した箇所の重要性を確認する。
留学準備演習
LEVY Jacques H.
【講義概要(春・秋学期)】物語、フィクションや文体の問題を論述の対象にした、最も重要とされているいくつかの論文を丁寧に読んでいく。同時に、近年、言語学、ナラトロジーや文芸批評においてどのような傾向や議論が見届けられるのか、幅広く紹介していく。