杉本 圭子

プロフィール

仙台生まれの千葉育ち。うお座のO型。しっかり者と見られることが多いようだ、 三人きょうだいの末っ子ということもあり、根の部分ではかなり人をあてにしている部分もある。 長所は、強いて言えば楽観的なところか。短所はいつまでたっても優等生体質が抜けず、極端・過剰をおそれるところ。頑固なところ。

昭和50年代のサラリーマン家庭の例にもれず、子供のころはエレクトーン・ピアノ・習字・水泳と、ひととおりの習い事はさせてもらったが、 どれひとつ身につかず今に至る。足掛け5年半にわたることになったフランスでの留学生活では、花の都でひとつ長年の夢だったデッサンでも習ってみるか、 と24色入りの水彩色鉛筆セットを持参したものの、結局友人あてのクリスマスカードに「ひいらぎ」を描くのに使っただけ。 高校時代は数学部、化学部、卓球部、美術部を転々とした。完璧主義の裏返しか、どうも根気に欠けるようだ。

スタンダールをはじめとする19世紀フランス人作家の旅行記を専門のひとつに掲げているにもかかわらず、極端な出不精で、旅行にはかなりの決意をともなう。 方向音痴なのでひとり歩きもままならない。日本での気晴らしはデパート散策、犬猫の相手、メディアで世相、時の話題を追うことなど。 出不精だし電話も好きではないので、筆まめな友人としか仲が続かない。いったん手紙やメールを書き出すとおそろしく長くなる。 それでも、相手のことだけを思って筆を走らせる純粋で濃密な時間はかけがえのないものだと思っている。家族や友人の喜ぶプレゼントを考えるのも好き。

ゼミの内容

3年次ゼミ、4年次ゼミとも、専門の19世紀以降の作品を扱うことが多い。 3年次ゼミでは学生の発表を中心に据え、テクストや文献を読む力、テーマに沿って見解をまとめ、わかりやすく提示する力を養うことを目標にしている。 過去に扱ったテーマは「猫のいる風景」(シャルル・ペロー『長靴をはいた猫』からアニー・デュペレ『運命の猫』まで)、 「決闘の文化史」(『トリスタンとイズー』からヴェルヌ『八十日間世界一周』まで)、 「ドン・ジュアン伝説」(モリエール『ドン・ジュアン』からメリメ『煉獄の魂』まで)など。 いずれも複数の作家のテクストの抜粋をフランス語で読み、作家の独特な思考や文体の綾を味わういっぽう、 作品の背景にある社会的、宗教的、歴史的背景をさぐり、より大きな視点から検証する試みを行った。
4年次ゼミでは短編・中編小説をじっくり腰をすえて読むこともあれば、やはりテーマを定めてアンソロジーを編むこともある。 今までにとりあげた作品は、死刑制度廃止をうたったヴィクトル・ユゴーの短編『クロード・グー』、コルシカを舞台とするバルザックの情念劇『ラ・ヴェンデッタ』、 イタリアの古文書に想をえたスタンダールの情熱礼賛の書『カストロの尼』など。 概してロマネスクな筋立ての小説を扱う場合には思いっきりフィクションの世界に沈潜し、その魅力にひたるという体験をゼミ参加者と共有したいし、 逆に社会的なメッセージを伝えることを主眼に書かれている作品を読む場合には、現代的な視点からその問題に関する考察をともに深めていきたい。 テーマ別では「出会いの文学」(『ばら物語』からナボコフ『ロリータ』まで)、「川のある風景」(マロ『家なき子』、ユゴー『ライン川』)などを扱った。
4年ゼミでは同時に卒論指導にも力を入れる。いったんテーマを決めたら、本・雑誌・新聞・画像資料など、あらゆる手段を使って資料を収集し、 その中から自分なりの見解や解釈(といえるもの)を組み立てるのに有効と思われるものを取捨選択して論に組みこむすべを体得してほしい。 そのために各年度のはじめには学内図書館での資料探索のための講習を予定しており、こちらとしても必要な情報は可能なかぎり提供するつもりでいる。 過去に指導したゼミ生の卒論テーマは文学、美術、映画、近代史、植民地と移民問題、女性史など多岐にわたる。 文学を扱う卒論がとみに減っているのは寂しいが、授業ではなかなかわからない才能を卒論のなかで開花させる学生さんを見るのは、こちらとしても大きな喜び。

専門領域、現在の関心など

専門はスタンダールを中心とするフランス19世紀の小説・旅行記、および王政復古期・七月王政期の社会史。 もとはといえば『赤と黒』の主人公ジュリヤン・ソレルに恋してこの道に進んだわけなのだが、 ジュリヤンの年齢をとうにこえてしまった今となっては、学問的な関心はむしろ強烈な自意識と感受性にさいなまれ、 人間嫌いの皮肉屋としてふるまいつつも同時代人に理解されることを願ってやまなかった、この愛すべき作家と彼の生きた時代へと移っている。 「英雄」ナポレオンの時代、「革命の世紀」から、金銭と打算の支配する「愚かなブルジョワ」の世紀へ。 サロン文化の担い手であった特権階級の消滅にともなう文化と社会の大衆化に危惧の念を覚えつつ、 一方で庶民階級の秘めている厖大なエネルギーに未来への希望をつないでいたこの矛盾だらけの人物を通じ、 過渡的な時代に生きることの意味を考えるとき、私の関心は究極的には「人間」に向けられている。 時代の刻印を帯びた個人のありようをつきつめることによって、激動期の社会の水面下でうごめく多様なエネルギーの拮抗図をあぶり出してみたい。 そのような意味で、作家の社会的関心がより広くあらわれている旅行記やエッセー(とりわけ『恋愛論』)についての研究を、 最終的に小説の有機的な読みにつなげられればと思っている。

最近の著書・論文

『スタンダール変幻』(共著) 慶應義塾大学出版会 2002年6月

「『恋愛論』から『パルムの僧院』へ‐スタンダールのイタリア‐」 『言語文化』20号 2003年3月

「大聖堂の高みへ-『イタリア絵画史』の一挿話から『赤と黒』に至る青年像の変遷-」(PDFファイル | 623KB) 『フランス語フランス文学研究』83号 2003年10月

「ナポレオンと復讐(ヴァンデッタ)の島-十九世紀前半におけるコルシカの表象についての一考察」(PDFファイル | 205KB)『明治学院論叢』 フランス文学特輯37号 2004年3月

「カシミア・ショールの19世紀-モードについての一考察」 『明学佛文論叢』 第39号 2006年3月

「嫉妬という病-スタンダール『恋愛論』再読」(PDFファイル | 168KB)『明学佛文論叢』 第40号 2007年3月

「古代の逆襲―メリメ『イールのヴィーナス』試論」 『言語文化』26号 2009年3月

「『恋愛論』「断章」について」 『明学佛文論叢』 第45号 2012年3月

『くわしく学ぶフランス語の基礎』(共著)朝日出版社 2015年1月


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