私たちは日々他者との関係を生きています。しかし、私たちは他者が自分と根源的に異なる他者であることをしばしば忘れてしまいます。そして、しばしば他者を抑圧し支配しようとします。私たちにとって不意打ちでありうるような (ときに理解しがたい) 他者。普段まったく気に留めることすらない遠くの (しかし遠くから私たちの生活を支えている) 他者。私たちの関係を、これらの他者たちに開く気概と洞察こそが、現代社会に求められているように思います。
社会学の課題が、現代社会に伏在する諸問題を発見・追究し、より望ましい社会のヴィジョンを構想するところにあるならば、社会学専攻は、他者へと関係を開いていくための専門的な知識と技能の修得により、この課題に応えたいと考えます。他者との関係はどのように結ばれているのか、他者はどのように忘れられ抑圧されるのか。このような問を具体的な現象にそくして設定し、それに堅実に答えるための体系的な知識と技能の修得。これが本専攻の目標です。
多彩な社会経験が本専攻の教育・研究に積極的につなげられることを期して、1999年度に「社会人入学」の制度を導入しました。また、本専攻は、大学院社会学分野の単位互換制度に参加しており、関東の24大学の26研究科もしくは専攻での単位取得が可能です。
氏名 |
主な担当科目 |
研究指導内容 |
西阪 仰 教授 |
相互行為論研究 |
エスノメソドロジーに方向づけられた相互行為分析の一側面、とくに、身体的振舞いと発話の基本的組織について学習し、知見を得ることを目標とする。 |
水谷史男 教授 |
社会学方法論研究 |
社会学研究における方法論の概要と主要な問題点について、基本的な知識と視点を理解し学習する。 |
宮田加久子 教授 |
社会心理学研究 |
対人関係やコミュニケーションにおける課題に対して社会心理学の視点から学ぶ。同時に社会調査技法の習得、および議論・プレゼンテーションの能力の向上を目標とする。 |
松井 清 教授 |
比較社会学研究 |
マクロな比較社会分析の方法を念頭におき、欧米先進諸国のマイノリティの現状と問題について検討する。 |
渡辺雅子 教授 |
宗教社会学研究 |
日本宗教の異文化布教の実態について、各国の事例を検討し、社会学的視点から異文化布教の課題に接近する。また、異文化における質的調査の方法について学習する。 |
柘植あづみ 教授 |
医療と身体研究 |
医療と身体についての社会科学的アプローチについて、をテーマとして内外の文献研究を行う。それとともに質的調査による研究手法を習得する。 |
澤野雅樹 教授 |
犯罪社会学研究 |
ピエール・ルジャンドルのドグマ人類学を中心にして、近代に何が起こり、何を引き起し、変容させているのか、これらの問題を具体例を交えながら検討する。 |
稲葉振一郎 教授 |
社会倫理学研究 |
政治哲学・法哲学・厚生経済学を中心に、現代の規範的社会理論をサーベイする。 |
岩永真治 教授 |
都市と地域社会研究 |
都市や地域に関する社会学の議論を、新旧の古典や文献から学び、フィールド研究に結びつけていく。 |
野沢慎司 教授 |
家族社会学研究 |
現代家族へのネットワーク論的アプローチを基礎から学び、「家族・コミュニティ問題」への応用を試みる。家族に関わる様々な現象を取り上げて、既存研究の知見を批判的に検討していくことが目標である。 |
加藤秀一 教授 |
性現象論研究 |
性現象の解明に関する多様なアプローチの基礎を学ぶ。 |
浅川達人 教授 |
社会構造論研究 |
都市の社会・空間構造の理論を理解した上で、実証的に研究を進めるためのフレームワークを形成する力を身につけることを目標に、知識の習得をはかる。 |
藤川 賢 教授 |
環境社会学研究 |
環境社会学における調査の方法と報告、理論研究への接合について修得することを目標とし、先行文献を確認しつつ、新しい研究の可能性を追求する。全体でのディスカッションを重ねつつ進める予定である。 |
佐藤正晴 教授 |
メディア社会学研究 |
日本のマス・メディアの一環として20世紀日本の(特にアジア・太平洋戦争以降)の大衆文化・ポピュラー文化・娯楽・芸能について、放送・出版・広告の観点から学ぶ。 |
石原 俊 准教授 |
歴史社会学研究 |
広義の日本を中心に、マイナー化された人びとをめぐる社会変動・構造変動を、「国民」「人種」「発達―未開」「先進―後進」といった枠組みへの批判的視座を確保しつつ検討する。 |
坂口 緑 准教授 |
市民社会論研究 |
人はどのようにして市民になるのか。教育の公共性、国内外の生涯学習政策、コミュニタリアニズム思想の研究。関心のある問題はいずれもこの問いにつながっている。 |
※ 専門社会調査士資格取得も可能です。(ただし、社会調査士の資格が未取得の場合、学部に併設される授業科目を修了要件外の科目として同時に履習することが必要です。)