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本学は2005年秋にFD・教員評価検討委員会を設置し、その下にFD部会、授業評価部会、教員評価部会を立ち上げました。しかし、その後学内の動きは低調で、どの部会も「そもそも論」に終始して具体的な提案は生まれませんでした。このような傾向は本学に限らず他大学にも共通しているように見受けられます。
状況を打開するため、本学を含め多くの大学がFD・教員評価の指南書としていた「教員評価システム―実施のためのスタンダード・モデル」(2006年3月、私立大学連盟教員評価委員会) そのものに立ち戻って、FD・教員評価活動が立ちゆかなくなった原因を探ってみました。すると、われわれの行く手を遮っているモメントとして次の三点が見出されました。同書において、
- 教員は評価されるだけの存在として認識され、その主体性は尊重されていない。
- FD・教員評価の推進主体を教授会ではなく、教員個人に求めている。
- そもそも教員はFD・教員評価に協力しようとしない存在であるという認識を前提にしている。
以上のような同書の理解がFD・教員評価活動の定着を阻んでいると感じました。したがって、FD・教員評価をスムースに展開するためには、その三点と逆の立場に立てばよいことに気づき、
- 教員の主体性を尊重する。
- 推進主体を教員個人ではなく教授会に求める。
- 教員の協力が得られるようにFD・教員評価の意義を明らかにする。
この3点を柱にして本学のFD・教員評価を以下のように構想しました。
FD (Faculty Development) は、学科の教育目標実現を目差して、授業の内容及び方法の改善と向上を図るための組織的な取り組みです。
授業を担当するのは教員ですから、一見するとFDは教員の授業レベルの活動に限定されるような印象を与えます。しかし、教授会は、学科の教育目標を具体化するために、授業科目の体系であるカリキュラムを創ります。一方、そのカリキュラムを構成する個々の授業科目は、相互の有機的関係のなかで教育目標を実現するという役割を担っています。要するに、FDは教員の授業レベルの活動に限定されるものではなく、「教育目標⇒カリキュラム⇒シラバス⇒教育目標・・・・」という大学の教育システム特有の循環的なプロセスのなかでフィードバックさせながら、教授会が組織的に「授業の内容及び方法の改善と向上を図る」ことを含意しています。
さらに、FDの一環である教員評価については、教育目標の実現という観点から、教授会自らが評価の基準を作成し、教育目標に対する貢献度で評価するのが適当です。出来合の評価基準を外部に求めるのではなく、教員は自ら設定に関与した基準で自らの活動を評価すべきです。
FD活動に必須の授業評価についても、教授会の主体性という観点から整理すれば、本学が近年全学的に実施してきた授業評価で用いた質問項目は、学科の教育目標には関わりなく、全学科に共通する一般的なものでした。しかし、そのような授業評価では、評価結果を学科の教育の改善につなげるには限界があります。教育目標に照らしてカリキュラムが適正であるか否かをチェックするために、また、カリキュラムの意図に即して授業がおこなわれているか否かを確認するために、教授会自らが教育目標に即して質問項目作成に主体的に関与する必要があります。当然質問項目は教育目標に対応して学科ごとに異なります。授業評価の結果は教授会が組織的に分析して教育改善を提案するために用いられなければなりません。
ところで、本学は2006年度の段階ですでに学科の教育目標をホームページに掲げるなど、2007年7月31日付で公布 (2008年4月1日付施行) された大学設置基準の一部改正を先取りし、教授会の主体性を尊重するFD・教員評価の方向性を見定めていました。このような本学のFD・教員評価の方向性は、学長および教学担当副学長名による「本学におけるFD教員評価」 (2007年4月10日付) においても明らかにされ、私大連の学長会議 (2007年7月) においても「FD・教員評価の理念と目的―明治学院大学の試み―」 (『平成19年度 第1回学長会議記録』所収) として発表、他大学からも評価されています。
FD・教員評価の理念と目標を明確にしながら教育研究支援課を中心に進めてきた地道な準備が2008年度以降に実を結ぶことを期待しています。
教育研究支援課は教授会に貢献することを願ってこのFD Report を創刊しました。FD Report がFD活動推進の一助となれば幸です。今後とも教育研究支援課にご理解とご支援をいただきたくお願いします。
※「学科」という場合、教養教育センター、教職課程、専攻も念頭においている。 ※本文中の役職、組織名は冊子発行当時のものになっております。
※当ページの内容は、冊子版「FD Report」の内容をそのまま転載しています。
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