学生証交付式が行われました
明治学院大学では、この度の東日本大震災の影響を考慮し、入学式を中止するとともに、授業開始を5月6日といたしました。
その関係で法学部でも、予定されていた歓迎行事はすべて中止することとなりました。
そのような中で、まずは学生証交付式が学科別に4月12日と14日に行われました。
当日は、渡辺学部長の挨拶と、学科主任による学生生活へのアドバイス、春学期の日程など簡単な説明がありました。
なお、詳しい学科別ガイダンスは、政治学科が4月27日、法律学科・消費情報環境法学科が4月28日に開催されます。
新入生の皆さんは、もれなく参加して下さい。 ~法学部~
| はじめに、渡辺充法学部長のご挨拶がありました。 | |
| 法律学科主任畑先生より説明がありました。 | |
| 消費情報環境法学科主任の近藤先生より説明がありました。 | |
学生証交付式全体の様子です。 |
新入生の皆さん、こんにちは。
法学部長の渡辺です。
まずはじめに、今回の大震災で被害に遭われた方に対し、黙祷を捧げます。(黙祷)
本来ですと、4月2日に入学式が行われ、授業開始もその翌週ということでしたが、今回の未曾有の災害で、特に1年生の諸君が勉強の場となる横浜キャンパスは、計画停電の対象地域となっており、やむを得ず、授業開始を5月6日といたしました。
大学としては皆さんの安全を第一とした処理であります。思い出に残るチャペルでの式典を開催できず、申し訳なく思っております。どうかお許しをいただきたい。
さて、皆さんは本日、学生証の交付を受けましたが、法学部生として、これから4年間、いろいろなことを学んでほしいと思います。
ローマ法の格言に、「法は知らざるをもって対抗せず」というものがあります。
すなわち、法を「知らない」ということは、法上の義務や責任行為に対する言い訳にならないし、違反行為を逃れることができないという意味です。
随分おそろしいことを言った格言です。
ところで、各法律の適用対象となる世界では、具体的にいろいろな事件が起きていますが、私の専門は租税法です。
いま、皆さんにこんな問題を投げかけます。
「金持ちに高い税金を課し、貧しい人々に再分配することは公正でしょうか?」
法の世界では、どんな法も「公正」「平等」を問題とします。
一見、この再分配のテーゼは、公正なように思われます。医療・福祉・年金・教育等に対し高額所得者がお金をだすことは、むしろ「美徳」でさえあります。
しかし、そうした所得再分配のための課税は一つの強制であり、国家における私有財産の侵害=盗みであるとする議論があります。いわゆるリバタリアン=自由至上主義者の主張です。
さて、皆さんは、どちらの主張に与しますか?
そして、この問題を法=租税法はどのように解決するのでしょうか?
また、政治はどのような答えを国民に用意するのでしょうか?
この回答は、今後4年間の宿題にしておきます。
今の例はほんの一例です。
皆さんは、このようなテーゼを教授とともに議論できる、ワクワクしてきませんか?
それが大学です。それが法学部なのです。
ところで、皆さんは覚えていますか?
鎌倉八幡宮境内にある大銀杏が強風で倒れたのは、昨年の3月10日でした。かろうじて残った根から「ひこばえ」と呼ばれる新芽が出て、1年後の今、2メートルに成長しております。倒れても、復興し、立派に成長を始めております。
また、ここに一冊の本があります。パール・バックの『The Big Wave』(和題『つなみ』)という本です。
パール・バックは1938年、アメリカ人女性として初めてノーベル文学賞を受賞しました。その彼女は一時期、日本に滞在しており、実際に経験をした“津波”をもとに、この作品を書きました。
その中で主人公の一人であるキノという少年が、火山の噴火とつなみの恐怖、生活していく上ので不安について、「日本で生まれて損をしたと思わんか?」と父親に問います。これに対し父親は毅然として次のように答えます。
「人は死に直面することでたくましくなる。だから、私たちは死を恐れない。死は珍しいことではないから恐れはしない。ちょっとぐらい遅く死のうが、早く死のうが、大した違いはない。だが、生きる限りはいさましく生きることだ。命を大事にすること、美しい木や山や、そう、海でさえどれほど綺麗であるかが分かること、仕事を楽しんですること、生きる為の糧を産み出すものだから。そういう意味では、私たち日本人は幸せだ。私たちは危険の中で生きているから命を大事にする。私たちは、死を恐れたりはしない。それは、死があって生があると分かっているからだ。」
この戦後最悪の社会状態の中で大学に入学した皆さん、その双眸はしっかり将来を見据え、まっすぐに未来を見つめて下さい。
最後に、私の好きな言葉の一つをプレゼントしましょう。Walt Disney(ウォルト・ディズニー)の言葉です。
“If you can dream it, you can do it.”という言葉です。
夢と希望をもち、法学部に入学した皆さん。もし、今、あなたが将来に対しある夢を抱いているなら、それを夢見ることができたなら、それは必ず叶えることができるのです。どうぞ目標に向かって、邁進して下さい。
以上、入学にあたり、歓迎の挨拶とさせて頂きます。 -法学部長 渡辺充-