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大学生活で得られるもの

宮地 基

 皆さん、入学おめでとう。これから始まる大学生活に、皆さんはどんな期待を持っているでしょうか。中には、とにかく卒業証書さえもらえればそれで良いと思っている人もいるかもしれません。でもちょっと待って下さい。もちろん真面目に単位を取れば卒業証書はあげますけれど、大学生活で得られるものほそれだけではありません。そこで、私の大学生活をふり返って、どんなものが得られるのか考えてみましょう。

 今から34年前(もうそんなに前なのか!)私が大学に入った時、絶対に法律の専門家になるんだと心に決め、そのために必要な専門的知識を学ぼうと思っていました。確かに、4年間全力で勉強に打ち込めば、将来専門的な職業に就くために十分な知識識能力を身につけることができるでしょう。

 しかし、私が実際に大学生活で得た一番大切なものは、多くの友人でした。限られた地域から生徒が集まっている高校までの生活とは違い、大学には日本全国から、あるいは少数とはいえ海外からも学生がやって来ます。スポーツ、サークル活動、あるいは遊びの場で、他の大学の学生たちとも知り合う機会はたくさんあるでしょう。出身地も、階層も違う多くの人間が、同級生として、あるいは先輩後輩として対等に付き合うことができるのが大学生活の一つの魅力です。皆さんの一生の財産となる友人が必ず見つかると思います。中には、生涯の伴侶を見つける人もいるかもしれません。

 今からふり返ってみると、大学生活の最大の魅力は、「歴史と現在の空気を同時に呼吸する」ことができることだと思います。ここで「歴史」とは、勉強の科目のことではなく、有史以来人類が行ってきたすべての活動の記録のことです。大学では、自分の専攻分野だけではなく、あるゆる分野の本を読み、記録を見つけてこれまでの歴史を吸収することができます。その気になれば、自分たちで独創的な活動をしたり、新記録にチャレンジして、人類の歴史に新しい一頁とはいかなくても、一文字くらいは付け加えることができるかもしれません。また、大学では現在の学問の最先端の研究も行われています、授業の場でも、図書館でも、その成果の一端に触れることができるでしょう。さらに大学生の行動は、勉強であれ、遊びであれ、恋愛であれ、現在の文化風俗の最前線を担っています。昔さんの行動が、そのまま現代の文化を形作っていくのです。大学とは、そこに居るだけで歴史と現在の空気が身体の中にしみ込んでくる。そしで自分のはく息がそのまま新しい歴史と現在の部になる、そんな所だと思うのです。

 私は、そんな大学の魅力に取りつかれ、とうとう大学の研究者になってしまいました。これから始まる大学生活が、皆さんにどって、また私にとっても有意義な時間となるように期待しています。

 最後に、私の専門分野である憲法に関心のある人に一言。日本の憲法は今、一つの大きな岐路にさしかかっています。国際情勢が大きく変わり、「国際貢献」を旗印にして現在の憲法の見直しを叫ぶ声が大きくなっています。しかし、今の憲法が存在している背景には、それなりの歴史的な理由があります。なぜ今の憲法ができたのか、そして今の憲法がどんな役割を果たしているのか。日本の憲法の歴史と現在を良く理解した上で、将来の憲法のあるべき姿を考えでほしいと思います。日本の憲法の将来を最終的に決めるのは、政治象でも学者でもなく、一人一人の国民なのです(意法96条参照)。