大学生として学ぶ消費者法
角田真理子
新入生の皆さん。ようこそ、明治学院大学法学部へ。
皆さんは、学生であるとともに消費者でもあります。多くの学生は、在学中に成人を迎え、一人の消費者として独立するという大事な時期を過ごすことになります。この年代を狙った悪質商法も多く、ここで消費者法を学ぶことは、学ぶ分野としてだけでなく賢い消費者として自立するという経済生活上も大きな意味を持つことになるでしょう。
明治学院大学法学部は、今後ますます重要な分野となる消費者法を総合的に学べるカリキュラムが用意されている数少ない大学のひとつです。基本的なカリキュラムの他、中央官庁から消費者法の立法または執行担当者等を招いて講義をしてもらう授業や、昨年度からは消費情報環境法学科の学生向けの消費者団体や地方消費者行政の現場を対象にしたインターンシップもはじめるなど更に充実を図っています。また、昨年度から消費生活アドバイザーや消費生活専門相談員といった消費者関連資格取得のための課外講座も実施しています。
消費者法は、身近な問題を通して興味が持てたり、多方面からアプローチができたり、また、さまざまな分野に広げていくことができる法分野です。クレジット関連の判例分析を例にあげると、新聞の記事や身近な人の被害経験から関心を持ったという人もいますし、また、検討する際、ただ判決文を読んだだけでは取引の仕組みや実態がなかなか分からず、クレジットの仕組みや種類のほか、規制の経緯や業界の実情などを調べて行くうちに消費者信用全体の問題や外国の法制などにも興味が広がったという人もいます。
私は、この大学に来る前は、独立行政法人の国民生活センターに長年勤務し、主に消費生活相談対応などの実務を行ってきました。また、実務家として複数の大学で非常勤講師として消費者法を教えてきました。そこで法律問題を事例から解決するという思考方法と消費者関連を中心とした情報の収集と分析の手法を身に付けて来ました。大学で学ぶということは、与えられてやるのではなく自分で探求して行くことであり、ただ答えを求めるのではなく考える過程を大切にすることです。皆さんとともに、これまでの経験を生かしてともに学んでいくことをとても楽しみにしています。
最後に、導入として適当と思われる手軽な本をいくつか紹介しましょう。
『火車』宮部みゆき(新潮文庫)、『空とぶタイヤ』池井戸潤(講談社文庫)、『消費者はなぜだまされるのか』村千鶴子(平凡社新書)、『消費者金融』宇都宮健児(岩波新書)など。特に、『火車』は、お勧めの一冊ですからぜひ読んでみて下さい。