[対談2]明学から得た大切にしたいもの 海外を相手に活動するということ

いろいろな生き方をしている人と出会えた大学

藤井 藤岡さんは、はじめはバックパックでエクアドルに行かれたそうですが、どのようなきっかけだったのですか?
藤岡 ゼミの先生の友達のシンガーソングライターが、エクアドルに移り住んで森を守る仕事をしているというのに興味を持って、明学の友達と行きました。それから毎年行くようになって、4年生の時には3ヵ月間滞在して卒論を書いたりしました。
藤井 私たち大学生だと、「3年生になったら就活をして、卒業後は企業に就職する」というコースみたいなものがある感じがするのですが、藤岡さんは当時どのように感じていましたか?

ナマケモノ倶楽部共同代表のアンニャと校友の美奈子。初めて行ったエクアドルのバスの中で。

藤岡 私も入学したときは普通に就職して旅行の仕事がしたいと思っていました。でも、みんなが就活するときに、私はエクアドルの友達に作ってもらった商品を環境のイベントで販売していたり、社会との接点があって、そういう中で説明会に行くと、やっぱり自分のやりたいこととのギャップを感じていました。いろいろ世界を見てきて、大きな目で見てみると、同じ年のみんなが3年になったらスーツを着て就職活動を始めるというやり方も、文化的に寂しいなっていう思いがありました。

油谷 学生のうちにどれだけ他のところに目を向けていたか、という事にも関わってくるのでしょうか。
藤岡 そう思います。身を置いていた国際学部、文化人類学という学問は、外の世界のことをじっくり見て自分たちの文化を見直すというのがすごく重要なことなんです。だから個人的な直感を大事にできたんだと思います。一番決定的だったのが卒論のフィールドワークをしたエクアドルで、今までの社会の在り方を疑って別の方法を模索している人たちに出会ったことです。学問や先生を通して多様な生き方をしている人とリアルに出会えたっていうのが一番大きいんじゃないかと思います。

ボランティアは学ばせてもらえる場

上/森の染料で染め綯われた糸でできたサイザル麻の手づくり小物。
下/エクアドルの自然の恵みと愛情が詰まったフェアトレード商品と、ハチドリ印のエコグッズ。

油谷 エクアドルとのフェアトレードは、藤岡さんが提案をして、日本でビジネス化するという流れだったのですか?
藤岡 最初はやっぱり学生なので、現地の人も誰一人として私をビジネスウーマンとして見てくれないんですよね。バックパックを背負ってスペイン語がよく分からなくて、私たち(エクアドル)の文化を知りたがっている面白い女の子の友達として見ている。でもそれが良くて、普通は一般の旅行者が入り込めない工場の内部にスパイスとか持ち込んで楽しみながら一緒に試作品を作ったり、子どもを山で遊ばせてお茶を飲みながら、私の持っている水筒入れをサイザル麻で編んでみたりなど、同世代の生産者と、一緒にいい時間を過ごしながら、ものを作るってことから始められました。やがて年間計画を出したり、生活基準の衛生管理を取り入れたりと発展したけど、最初は自分たちの荷物に入れて一緒に飛行機で持って帰ってこれるものから始めたんです。それに対して報酬が出るわけじゃないのでボランティアでしたけど、当時は「ボランティア=学ばせてもらえる場」だと思っていました
油谷 就活を終えてから考えると、ボランティアって「崇高な行為」みたいに言われることが多いなって感じたんです。でも私は、就活のためではなくて自分を高めるためのボランティアが良いなと思っていて。そこに気づけるってすごく幸運なことだと思いました。

上/サリナス村のチョコレート工場のメンバーたち。商品開発や衛生管理マニュアル作りなどを一緒に取り組んで8年になります。
下/slowwatercafeのオリジナル、ノアの箱船というナッツやベリーをのせたチョコレート。

ワクワクできることを人に伝えたい

油谷 藤岡さんの話を聞いていると「巻き込み力」がすごくあるなと思いました!どうしたらそういう風に人と出会えるのですか?
藤岡 特に今の日本社会はそうだと思うのですが、場が生まれにくいと思うんです。でもボランティアはそうではなくて、経済的なことを抜きにして、人と人が必要としてるところに場が生まれたりする。そういうところに出かけて行って出会う人はちょっと特別ですよね。
藤井 藤岡さんが活動する中で、一番大切にしていることは何ですか?
藤岡 美味しいものとか美しいものとか、自分がワクワクできることを人に伝えたいということ。エクアドルで権力に屈せず、森を守ろうと決めた人に共感するからつながって一緒に仕事がしたい。つながることで、お互いにとって文化や暮らしを高められる場を国内でも大事にしたいと思います。

いろんな人に出会って理想を大きく作る

藤井 明学での思い出や思い入れのある場所はありますか?
藤岡 思い出の場所は、国際学部の8号館のラウンジですね。用がなくてもみんなでよく集まってご飯食べたり、夢とか妄想とかを語り合ったりしてましたね。あそこの屋上は入っちゃいけないんですけど…(笑)。
藤井 明学に通って良かったと思うことは何ですか?
藤岡 やっぱり出会いですね。先生や先生の友達、仲間とか。授業を受けるという感じではなくて、大学を通して社会と関わっていたんですよね。自分たちの文化も見直せたし、こういう風な社会にしたいなというのが見えたことが明学に入って良かったなと思うことです。
藤井 最後に在学生へのメッセージをお願いします。
藤岡 絶対こうじゃなきゃいけないってことはないと思うので、人生を豊かにする出会いをして、大きく自分の理想を作っていけるといいと思います。どこの会社に就職したい、とかでなく、こんな風に暮らしたいとか、こういう世界にしたい、というような。
油谷藤井 今日はありがとうございました!

■対談を振り返って……

今回の対談を経てボランティアの意味について改めて考えさせられました。お話を伺って、藤岡さんがエクアドルという遠く離れた土地で得た小さな種を周りの人たちと地道に「もっとより良く、楽しく」という好奇心を持って活動を継続されてきた結果が現在の活動へと繋がっていること分かりました。「ボランティア」は崇高なイメージを持たれがちのように感じますが、もともとの語源は「自由意志」であると言います。もっと自由で、開かれていて、それを継続し、自分自身が楽しむ。そのことが結果的に誰かのためになる。それがボランティアの本来の姿であるのではないかと感じました。情熱をもって一つのことに取り組み続けるOB・OGの方々がいることを誇りに思い、自分自身もそのようになりたいと思います。(油谷 渚)

藤岡亜美さん

卒業生

藤岡亜美さん

2002年国際学科卒。NGOナマケモノ倶楽部共同代表。
スローウォーターカフェ有限会社代表。
学生時代、エクアドルの生産者とともに活動をはじめ、
卒業と同時に起業しフェアトレードを展開。
現在は宮崎県に拠点を移し、森の農業にも取り組んでいる。

  • 油谷 渚

    現役明学生

    油谷 渚

    (経営4年)

    ボランティア団体MGパール代表。学生によるオリジナルアクセサリーの製作・販売を通して森林破壊の激しいマレーシア・ボルネオ島の現状を伝えながら、売上を寄付し、森林保全に取り組んでいる。

  • 藤井花織

    広報委員

    藤井花織

    (社会4年)

    進行を担当しました!

※学生の所属学部、団体、学年は取材当時のものです。

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