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聖書和訳デジタルアーカイブスと明治学院

明治学院大学図書館長 秋月 望

J. C. ヘボン(James Curtis Hepburn, 1815 - 1911)は幕末の激動期に、医療活動を行い、ヘボン塾を開き、『和英語林集成』を編纂して刊行したが、宣教医として来日したヘボンにとって、聖書の和訳こそは日本でなすべき大きな使命であった。新しい国家体制に移行し、未だ日本語の文体・語彙も定まらない中で、階層や年齢・性別を超えて多くの日本人に聖書の御言葉を伝えられるかたちで訳出する作業は、多くの困難をともなうものであった。教派をこえた宣教師や日本人信徒の共同作業で進められた初期の翻訳の成果は、単にキリスト教の布教・伝道の面だけにとどまらず、明治維新期の日本における近代西欧の思想や制度、価値観の受容に多大の影響をもたらすものとなった。その後、近代の日本語環境が整った大正時代には新約聖書の改訳が行われ、さらに戦後になってからは現代日本語に則した口語訳聖書の出版があり、1987年のプロテスタントとカトリック共同の訳が『聖書 新共同訳』として訳出され今日に至っている。

こうした聖書和訳の歴史の中で、ヘボンをはじめとして奥野昌綱、井深梶之助、フルベッキ、植村正久など、さらに戦後の都留仙次、村田四郎、吉田泰など、明治学院の関係者がそれぞれの時代の翻訳事業で大きな役割を果たしてきた。そのため、明治学院大学図書館には聖書和訳に関連した貴重な資料が残されており、明治学院の旧神学部から移管された資料を所蔵する東京神学大学図書館の資料を合わせると、日本における聖書翻訳の歴史を体系的に把握することができる。

「聖書和訳デジタルアーカイブス」は、これら聖書和訳に関する資料を3万2000枚を超えるデジタル画像として公開するものである。これによって、従来、容易にはアクセスできなかった資料を閲覧しながら比較研究を行うことが可能になった。

明治学院大学図書館では、すでに「和英語林集成デジタルアーカイブス」を公開しているが、今後とも所蔵する貴重書コレクションを研究者に公開し、多方面からの研究が可能となる環境の醸成に努力していきたいと考えている。

ヘボン塾から数えて150年の節目に、近現代の先人たちの努力の結晶である和訳聖書のデジタルデータを利用していただく環境を提供することができるようになり、そこから生み出される優れた学問成果に少しでも寄与できるとすれば、これに勝る喜びはない。

明治学院と聖書和訳

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明治学院は横浜居留地のヘボン塾・ブラウン塾・先志学校などを淵源とし、築地の東京一致神学校・東京一致英和学校(築地大学校)のミッションスクールとして成立し、全てが合同して現在の明治学院となった。

特に東京一致神学校と明治学院神学部の果した役割は歴史的に大きく、聖書和訳にあたっては、幾多の人々が参加し主軸となって働いた。

この明治学院大学図書館の聖書のコレクションと、明治学院神学部が日本神学校に発展するときに移管し現在は東京神学大学図書館が所蔵している貴重な聖書を、デジタル化により合わせて公開できることになり、また日本聖書協会の協力により『聖書 新共同訳』のテキストも参照できるアーカイブスとして制作することができた。

アーカイブスの目的と制作

このアーカイブスは聖書和訳の概略史と代表的聖書が閲覧できるサイトとして企画され、約32000枚の資料画像を収納している。

  • ・聖書和訳年表により、聖書和訳と時代の動きがつかめる。
  • ・聖書和訳年表記載の聖書について、明治学院大学図書館所蔵検索(OPAC)と関連検索を通じて、全国各館の所蔵状態が判明する。
  • ・年表から代表的聖書の閲覧ができる。
  • ・検索閲覧画面より聖書の書・章・節を指定し、その聖句がどの聖書でどのように和訳されているかを比較しながら検索できる。
  • ・聖書和訳史概説やトピックスにより聖書和訳の理解を深められる。

このデジタルアーカイブスは大学図書館の学術目的に制作した。いまだ改良を施す必要もあると考え、随時更新をしていきたい。

聖書をご寄贈くださいー非所蔵聖書を求めています

残念ながら古い聖書には時代の中に埋もれ本学図書館に所蔵していない聖書があります。また聖書和訳に関する貴重な原稿や資料などもまだ存在すると思います。このような資料がございましたらぜひ本学図書館にご一報いただければ幸いです。

『聖書和訳』デジタルアーカイブス制作奥付

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公開日 2013年12月25日

  • 企画・制作:明治学院大学図書館
  • 協力:明治学院歴史資料館
  • 資料協力:東京神学大学図書館・日本聖書協会・明治学院大学キリスト教研究所
  • 進行管理:鈴木直子(図書館資料管理課)
  • 制作スタッフ:中川宏美(資料管理課)・松岡良樹(明治学院歴史資料館)
  • 画像撮影:株式会社 堀内カラー
  • Web制作:株式会社 一星企画
解説作成のため参照した資料
  • ・豊田実『日本英学史の研究』岩波書店 1939
  • ・豊田実『バイブル邦訳の由来』惇信堂1946
  • ・重久篤太郎『日本近世英学史』教育図書1941
  • ・『近代日本キリスト教文学全集 聖書集』教文館1982
  • ・海老沢有道『新訂増補版 日本の聖書 聖書和訳の歴史』日本基督教団出版局 1981
  • ・鈴木範久『聖書の日本語 翻訳の歴史』岩波書店2006
  • ・『植村正久と其の時代』教文館 1937-41
  • ・『門脇文庫日本語聖書翻訳史』 門脇清・大柴恒著 新教出版社 1983
  • ・『日本キリスト教文献目録』創文社 1965
  • ・日本聖書協会『聖書翻訳研究』
  • ・日本聖書協会『日本聖書協会100年史』1975
  • ・日本聖書協会『日本聖書協会125年史』2001
著作権:

『聖書和訳デジタルアーカイブス』明治学院大学図書館 2013
本アーカイブスより画像や写真などを利用されたい方は、ご連絡ください。

『聖書 新共同訳』©共同訳聖書実行委員会、日本聖書協会1987,1988
新共同訳の利用については日本聖書協会にご相談ください。

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