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安部正義と日本最初のオラトリオ《ヨブ》

キリスト教と音楽とはいうまでもなく密接な関係を持っている。

「オラトリオ」とは17~18世紀に主としてヨーロッパで発展した宗教的・道徳的な内容を題材とする劇音楽である。一般に合唱や管弦楽を編成に持つ大規模な作品であるため、宗教曲における「横綱」のようなイメージもある。

オラトリオは現在でも、クラシック音楽の主要ジャンルの一つとして愛好され、日本ではヘンデルの《メサイア》がよく知られる。

1928年(昭和3)安部正義は明治学院高等商業部教授に着任し、音楽の授業や礼拝の奏楽などを担当した。このとき、かねてより強く共感を抱いていた旧約聖書『ヨブ記』の音楽化を決意し、1930年から作曲に着手した。戦時中は空襲により防空壕に入るときも、作曲中の楽譜やスケッチ帳を肌身離さず持っていたという。

1944年(昭和19)、安部は明治学院を定年退職し翌年に終戦を迎えた。この頃、約15年の歳月を経て、ついに完成したのが「オラトリオ《ヨブ》」であり、日本最初のオラトリオ誕生の瞬間である。

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曲は完成したが出版は遅れ、1965年12月、安部が74歳のときに《ヨブ》のピアノ・ヴォーカル・スコアが刊行された。2年後の1967年5月、池宮英才(1924~2003)を常任指揮者に迎えていた「明治学院大学グリークラブ」が、学院のバックアップのもと白金チャペルを会場として、この日本最初のオラトリオの全曲初演を敢行した。

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全曲とその解説は明治学院歴史資料館資料集第9集として2012年に刊行され、
明治学院大学機関リポジトリに収録されている。

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