コラム「キャンパスCLINIC」

メタボについて

白金通信2008年7月号

 最近「メタボ」という言葉を良く聞きますが、その意味をご存知ですか?「メタボ」はもともと「メタボリック症候群」の省略で、「メタボリック症候群」とは食べたものからエネルギーを取り出す過程や結果で出てくる病気の一群ということになりますが、しかし日本では実際には「内臓肥満症候群」の意味合いで使われることが多いです。

 以前は「脂肪細胞」は単に余剰のエネルギーを蓄える細胞としか見られていなかったのが、近年は内臓脂肪から「血圧を上げるホルモン」「インスリンの作用を邪魔して血糖を上げるホルモン」「動脈に働きかけて動脈硬化を進展させるホルモン」などが出るということが判ってきました。つまり内臓脂肪が蓄積すると、ウエスト周りが大きいリンゴ型肥満になり、高血圧、糖尿病、高脂血症を併発する傾向が強くなり、これらをまとめて内臓肥満症候群と名づけました。メタボリック症候群(内臓肥満症候群)の怖いところは血圧や高脂血症、高血糖などの動脈硬化のリスク因子各々は医者が「大したことない」という程度の軽いものであっても、これらが重積すると動脈硬化を進展させるリスクが非常に高くなることにあります。しかもこれらのリスク因子は単発で起こるよりも内臓肥満をベースに持った人に重積して現れ易いという特徴があります。現在日本人の死因の1/3が心筋梗塞や脳卒中を中心とした動脈硬化性疾患です。動脈硬化とは血管の壁が分厚くなり、血管の内腔が狭小化して、最後には閉塞します。動脈硬化自体は血管の自然の加齢現象ですが、普通の加齢の過程以上に動脈硬化が進むと動脈硬化症といわれます。この動脈硬化を起こす原因としてメタボリック症候群を注視しているのは生活習慣を変え、痩せる(=ウエストを細くする)事により動脈硬化を予防できるからです。

 現在皆さんは20歳前後だから好きなものを好きな時に好きなだけ食べてもあまり太らないでしょうから今ひとつピンと来ないでいると思います。でも会社に就職したり結婚してライフスタイルが変わるや否や体重があっという間に10kg太ったりしますし、また中年になって新陳代謝が落ちているのに若い時と同じような食生活をしている段々余剰の代謝産物が貯まって太ってきます。それにつれ20歳台では正常範囲の検査値でも35~40歳位で異常値が散見されるようになり、それを放置すると40~45歳で動脈硬化に関係する所見、例えば心電図異常や眼底写真や胸部レントゲン写真での動脈の蛇行・石灰化=動脈硬化が出てきます。一度出来上がった動脈硬化は元に戻りません。予防は結局若い頃から始められるかにかかっています。
 
 さて、皆さん、人生一度限り。あなたの肉体にどのような老いのコースを辿らせるおつもりですか?

校医 朝比奈崇介