コラム「キャンパスCLINIC」

古の免疫から学ぶこと

白金通信2010年3月号

 免疫を簡単に説明しますと、疫(病気)を免れること、細菌やウィルスなど病原菌から身体を守る機能をいいます。みなさんも私もお母さんから生まれてきました。赤ちゃんの頃、病気になりにくく、熱を出しにくいのは、最初の半年間、母親の免疫力を譲り受けて、病原菌と戦ってきたお陰です。その後、2歳までに、成人の免疫機能と同じ働きが出来るようになりました。私たちは、母体の中で顕微鏡でしか見えないちっちゃな卵から、わずか十月十日でスイカのように大きくなり、心地よく守られた場所から、今見えない外敵(病原菌)がいる環境で生活しています。この病原菌も自然界の自然なもので、時として病原菌との関係が恒常的に維持することが難しい時、風邪をひいたり、下痢をしたり、ニキビや吹き出物、ものもらいなど、皮膚や粘膜にサインが出ることがあります。身体の防衛を司る役割から、様々なことを学習する中で、その病原菌が一体何かを記憶し、一度記憶した病原菌を撃退しようとします。

 十万年前、アフリカにいた私たちの祖先であるホモサピエンスは、高度な免疫機能を持っていることから、絶滅せず、世界中に広がり、多様な人種が生まれました。驚くことに、十万年前からの高度な免疫の仕組みに、さほど変化はないそうです。もし免疫がなければ、私達は、毎日同じような病気に罹ったり、現在何の害もない細菌にも感染し、人類は絶滅していたかもしれません。

 『心による免疫』が最近注目されています。日進月歩の研究の結果、イメージすることや笑うことが、免疫を高めるために効果的と証明され、米国やヨーロッパでは、がんの治療として使われています。まさに『病は気から』です。体温を上げることも免疫力を高めます。お風呂で身体を温め、血液循環を良くし、心身がリラックスしているときに働く副交感神経を優位にすると、からだ全体に血流が行き渡るようになります。血液の中にある白血球の多くが免疫細胞で、骨髄から出来ています。7~8時間の睡眠で、骨髄(背骨)をゆっくり休めることも有効です。 

 十万年前の命の土台が、私たちの身体には備わっています。人類最大の遺産である免疫を維持向上させて、元気に過ごしましょう。

保健師 松本理恵