コラム「キャンパスCLINIC」

ヒトの能力「大局観」

白金通信2010年4月号

 毎年同じようにやってくる春の訪れですが、そのたびに新鮮な気持ちにさせられる時期でもあります。みなさまはどのようなお気持ちで迎えられたでしょうか。今日はヒトの能力について少し改めて考えてみたいと思います。

 情報技術のめまぐるしい進歩によってコンピューターの処理能力も加速度的に高まっているのはご存知の通りです。買い物もネットで通販、しかも配達状況の確認や受け取りの時間もネット上で調整したりできますね。私も本をネットで購入し、近くの書店では売っていないような専門書も最寄のコンビニに届けてくれ、帰宅時に受け取ったりします。利用するたびにその便利さに驚くほどです。

 しかし、よくよく考えてみると、デジタル情報社会の現代であっても、運転手つまりヒトの手によって、多量の物流を支えている現状があります。配達状況も運転手が携帯端末に入力することによって、我々が便利に利用できています。まだまだ世の中、ヒトの手によって支えられているのですね。

 物流以外の方面も見てみましょう。「大局観」。囲碁や将棋でよく使う言葉ですが、簡単に言えば「広い視野で観察し、問題の本質を見抜く能力」と言えるのではないでしょうか。「記憶力」「計算力」「繰り返し作業」のエキスパートであるスーパーコンピューターをもってしても、囲碁や将棋の世界では名人達にはまだまだ簡単には勝てないようです。勝ったとしても、ヒトひとりに対し、非常に大げさなスーパーコンピューターを数台使っていたり。こうしてみると改めてヒトの能力の高さを知るわけです。

 ところが、ストレスをため込んでしまうと、この「大局観」に支障が出てきます。これは誰しも一度や二度は経験があるのではないでしょうか。たくさんの問題が重なって何から手をつけていいか分からず、気持ちだけ焦っているわりに時間だけ空しく経って、ますます焦る…。こんな時うまく「大局観」が使えると、これは後回し、これは今は手を抜く、これは間違いが許されない、これは気合で乗り切る、…という具合に力の使い方加減をコントロールできることがあります。

 新しい春をお迎えと思います。この先、いろいろな壁にぶつかることもあるでしょう。その時にはちょっと冷静になって一歩引いてみる。そしてヒトならではの得意技「大局観」を使ってみると、解決策が見つかるかもしれません。では、楽しく充実の学生生活を!

 

心理相談担当校医 高野知樹