セクハラ・アンケート中間報告-異性の感じ方を良く知ることから

合場敬子(明治学院大学セクシュアル・ハラスメント人権委員会/国際学部専任講師 ※当時)


セクシュアル・ハラスメント人権委員会(以下人権委員会と略す)では、セクシュアル・ハラスメントの防止方策に活用するために、 教職員と学生、合わせて4000人あまりを対象に、セクシュアル・ハラスメントに関するアンケート調査を、1998年12月に実施しました。

ここでは、学生の皆さんの回答から明らかになった主要な結果について報告します。是非一読され、セクシュアル・ハラスメント(以下セクハラと略す)に対する認識を深められることを期待します。


調査の方法と回収結果

明治学院大学に在籍している学部学生の名簿から、無作為に約3000人を選び、アンケート調査票を郵送し、回答をお願いしました。ですから、全員に調査票が送付されたわけではありません。大学院生の皆さんには全員に送付しました。有効回答は、956通で、回収率は約30%でした。


調査結果の概要

1.セクハラとは?

セクハラについて「よく知っている」と答えた人は、全体の約13%にとどまっていました。しかし、全体の約7割の回答者が、「詳しくは知らないがある程度知っている」と答えていました。

詳しく知るためには、人権委員会が主催する講演会やシンポジウムがあります。これらに参加して、今あるセクハラの知識をもっと明確にしてください。


2.どんな行為がセクハラなのか?

具体的な6種類の行為について、セクハラであると考えるかどうかを尋ねた問いでは、以下の「表」に挙げた3種類の行為について、「重大なセクハラである」とする回答が多く見られました。

まず、「個人的な性体験を尋ねる」では、全体の約77%の人が、この行為を「重大なセクハラである」と考えています。続いて「女子学生の身体、服装や、性的な関係を他の人がいるところで話題にする」ことを、全体の約67%の人が重大なセクハラであると考え、「さりげなく肩 や背中をさすったり、髪に触れる」ことは、全体の約6割以上の人が重大なセクハラであると回答しています。

また、「さりげなく肩や背中をさすったり、髪に触れる」ことを、「セクハラだが些細」であるとする割合は30%に達しており、三つの行為の内で最大になっています。

これは、男性の約33%が、この行為を「セクハラだが些細」であると回答していることに起因しています。つまりこの行為の重要性について、男女間で認識の差があるということが読み取れるのです。

質問:あなたは、男性教員(または職員)が女子学生(または女性職員)に対して、学内で次の行為を行ったとしたら、どのように考えますか。

行為の種類 重大なセクハラ セクハラだが些細なこと セクハラではない
必要もないのに個人的な性体験を尋ねる 77.4% 19.5% 2.7%
さりげなく肩や背中をさすったり、髪にふれる 64.3% 30.5% 4.5%
女子学生の身体、服装や性的な関係を他の人がいるところで話題にする 67.3% 23.6% 8.2%

※注:総数956人。無回答者がいるので、各行為につき、3種類の回答のパーセンテージ合計は100%にならない。


3.セクハラはどれくらい起こっている?

この点については、明治学院大学関係者によるものと、それ以外の人によるものに分けて尋ねました。まず回答者全体の5.5%の人が、明治学院大学関係者からセクハラを受けたことがあると回答しています。

一方で、明治学院大学関係者以外の人(例えば、アルバイト先)からセクハラを受けたことのある人は、回答者全体の19.4%に達し、明治学院大学関係者からよりも高いパーセンテージを示しています。以下、明治学院大学関係者によるセクハラについて報告します。

セクハラをした人は、同級生が最も多く約32%、ついで先輩が約19%となっています。指導教授も約13%を占めていますが、学生がセクハラの行為者になっている割合の方が多く、その9割は男性でした。

一方、被害者の9割以上は女性が占めていました。したがって、一般的な傾向と同じように、明治学院大学内でも、セクハラは、男性が女性に対して行っている傾向が明らかになりました。

セクハラが起こる場所は、教室が最も多くなっていました(セクハラを受けた人全体の24.5%)。

セクハラの形態としては、「自分の身体や服装について性的なコメントをされた」(28.3%)、「自分の身体、服装や性的な関係が、他の人のいる場所で話題にされた」(28.3%%)、「さりげなく肩や背中をさすったり、髪に触れたりした」(24.5%)が顕著でした。

このようなセクハラを受けたとき、だれかに相談した人は全体の約43%ですが、逆にだれにも相談しなかった人も約55%に上っています。つまり、セクハラは依然として相談しにくいものになっています。相談した人も、その相談相手は、圧倒的に友人(約9割)になっています。


4.セクシュアル・ハラスメント人権委員会は何をするところ?

今回の調査で残念に思った結果のひとつは、人権委員会の肝心な機能が学生のみなさんにほとんど認知されていなかった点です。セクハラを受けたとき、学内のどこに相談に行けばよいかについて、知っている人は、わずか19%弱。知らない人は約80%に上りました。

知らなかったみなさん、答えは、「セクシュアル・ハラスメント人権委員会」です。大学関係者から被ったセクハラに関して、最も力になるのは、セクシュアル・ハラスメント人権委員会です。覚えてください。

さらに、人権委員会が発行している『セクシュアル・ハラスメント相談の手引き』も持っていない人が8割強もいました。図書館などに置いてありますので、是非早い時期に自分のために読んでください。


最後に

今回の調査で、セクハラに対する学生の皆さんの認識や被害の状況が明らかになりました。人権委員会では調査結果をさらに分析し、それを、セクハラがない、ひとりひとりの人権が尊重される大学環境づくりに役立てていきます。

学生の皆さんは、セクハラを受けた時、学内のどこに相談に行けばよいかを、もう一度確認してください。調査結果にも示されたように、 セクハラは相談しにくいことです。だから、セクハラを受けた人のほとんどが、友人に相談するのでしょう。しかし状況によっては、友人の力では限界がある場合があります。

セクハラ相談相手として、是非人権委員会の相談員の存在を覚えてください。秘密を守り、あなたの力になります。


相互信頼を高めて明るいキャンパスに

萩原玉味(委員長・法学部教授)

教職員、学生のみなさん、この度はお忙しい中をアンケートにご協力くださり、ありがとうございました。

FEN放送ではもう何年も前から意味もわからず聞かされておりましたセクハラという言葉が、実際にハーバード大学やドイツの大学、あるいはその他の職場で問題になっていることを聞かされ、驚いて帰国したことを今更のように想いだします。

何気なく示した親愛の情をこめた行為、ほめたつもりの言葉や、半ば冗談まじりの会話が、知らず知らずのうちに相手を傷つけることがあるとすれば、やはり考え直さなければならないと思います。

かといって、随分せちがらい世の中になったなと、窮屈にばかり考える必要はありません。まさに、二一世紀を見据えて、明るいキャンパス環境実現を目指し、セクハラの背景にあると考えられる性差別の慣行の存在をこの機会に問い直し、教職員、学生相互の尊重の中に、新たな尊敬、友情の念を育てあげることが、私共「セクシュアル・ハラスメント人権委員会」の願いなのです。


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