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最終戦 VS上智!!

「明日はボールを俺に集めてください!」

「どのポジションでも出られる準備をしてるので、死んできてください!」
「相手をぶっころします!」

前日の練習後 
ジャージを受け取り土佐コーチの手を強く握る22人の言葉には
一人一人の本気が込められていました。

「悔いの残らないように」
主将の坂田の言葉が私達の頭の中を巡っていました。
毎年誰かが言うセリフ。だけど本当の本当にこれが最後なんだ。
そう思うと私達は緊張で眠れない夜を過ごしました。

当日の朝。黎明館の土のグラウンドは太陽に照らされてキラキラしていました。
リラックスした雰囲気ではあったけど、同時に緊張も伝わってきました。
本当に最後なんだ・・
これまでの日々が脳裏を駆け巡ります。
今まではずっと送る立場だった私たち。
四年間当たり前のように過ごしてきたラグビー部での日々。
どんなに終りたくないと思っていてもこの日がやってきました。
四年間で28回目、最後の公式戦です。

それぞれの想いを胸に、校舎に移動して準備をしました。
テーピングを巻く手にも自然と力が入りました。
キックが成功しますように。足をかいたタックルができますように。
暑い日も寒い日も選手達は弱音ひとつこぼさずテーピングを巻いて練習に取り組んできた。
その姿に励まされ、支えられてここまで来られた私たち。

集大成は今日。

「たとえ1点の差でもいい。とにかく勝て。勝たなあかん!」
土佐コーチの言葉。
とにかく、とにかく勝って欲しい。
全員の願い。

ウォーミングアップが始まると、グラウンドの階段にも少しずつ人が増えてきました。
保護者の方々、OB・OGの方々、選手の友人達、
トレーニングルームのトレーナーさん、校門の守衛さん。
明学ラグビー部を心から応援してくれてる人達がぞくぞくと集まってきました。

そんな中、いつもと同じように円陣を組みます。
私達マネージャーも選手と心を一つにして部歌を歌いました。
これまでの全てがつまった歌声が高らかにグラウンドに響き、
本当にチームが一つになった気がしました。

そして14:00晴天のヘボンフィールドでキックオフ

『全員ラグビー』
横断幕の言葉どおり、今日は全員で勝ちに行く!!
黄色と黒のジャージを着た15人は勢いよくフィールドへ走っていきました。


しかし開始わずか6分、上智がモールより押し込みトライ。コンバージョンも成功。
引き続き14分、上智のラインアウトより、モールとなりそのまま押し込みトライ。
コンバージョンは外しますが、いきなり12点の差をつけられます。
同じく1勝で最終戦を迎えた相手からも本気が伝わってきました。

悔いの残らないように・・
負けで終わるのか・・?

不安がよぎりました。 しかしあきらめるのは早すぎる。
「焦るな!ちゃんと立ち向かえばディフェンスできるだろ!?逃げるな!」
10番の鉾田が叫びます。
「切り替えろ!!」15人は声を掛け合い、自陣へ戻ります。
そこから選手達の中で何かが変わったのが伝わりました。
そして少しずつ、流れは明学に向き始めます。
「起きろ!」「受けるな!」
いつも以上に四年生の声が聞こえてきました。

そしてついに19分。
明学のラインアウトより6番主将の坂田が飛び出し、左中間に渾身のトライ!
私達は全力でグラウンドの真ん中へ水を運びました。
10番鉾田がキックを決め、スコアは7-12。
まだ大丈夫。絶対勝てる!
そう信じてグラウンドの外に出ました。

1トライ決めて勢いのついた明学はとにかく攻めます。
23分、明学のラックより9-12とつなぎ14番上尾が右中間トライ!コンバージョンも成功!
引き続き33分、明学のラックより9番岩井が飛び出し右中間トライ!
キックは外しますが、19-12とリードします!!

そしてハーフタイム。
6試合を終えた選手達の中にはもう走ることさえ厳しい状態の選手もいました。
しかし、勝利へのこだわりや厳しい練習を重ねてきた自分達のプライド、
そして自分達を支えてくれた人々への想いが彼らをつき動かしていました。

前半から主将坂田の様子がおかしいことには気づいていました。
長谷川コーチに肩をたたかれ、涙を流す姿が目に入ります。

どんなに辛くてもどんなに苦しくても、「まだいけます!」絶対あきらめなかった。
そんな坂田の有志は18番小泉に託されます。


迎えた後半。15人は最後の力を振り絞ります。
前半流れに乗った明学は後半8分、明学のスクラムより8-9とつなぎ
11番後藤が左中間に独走トライを決めます。

「サンキュー!」後藤の肩をたたき選手の表情も明るくなります。
10番鉾田もプレッシャーの中コンバージョンを成功させます。スコアは26-12に。
しかし「まだ試合は終わってない。絶対油断するな!今日は絶対勝つぞ!!」と
引き締める四年生。

後半16分、7番の畑に代わり19番森が入ります。

「坂田さんと畑さんの分も頑張るぞ!!」下級生の声が聞こえました。

『人任せにしすぎる。』
その瞬間その課題を乗り越えた気がしました。
One for all ,All for one
ラグビーの精神。

負けた方が最下位になってしまうこの試合。上智も最後をかけた試合で黙ってはいません。
敵陣まで攻めてはまた攻められ…激しい攻防が続きます。
そしてついに後半18分上智のラインアウトよりトライを許してしまいます。
キックも成功し、スコアは26-19に。
このトライを皮切りに上智の反撃が始まりました。
攻められてはなんとか守り続ける明学。
上智は押し込みつづけ、明学は足をかきつづけました。

しかし34分、上智のラインアウトよりモールとなりそのまま押し込まれ、トライ。
スコアは26-24に。追い込まれる明学。近づきつつある点差。
その差はわずか2点。残り時間は5分。
もし、逆転されてしまったら…

どうか明学に勝利を!激しい攻防。明学がボールを手にする度に、
観客席からは今シーズン一番の声援が聞こえてきました。
主将坂田をはじめ、ライン際に立つマネージャーやメンバー外の選手達も声を張り上げます。 あと1トライをとった方が勝つという意地の張り合い。
とにかく倒されても倒されても立ち上がりディフェンスを続けます。

全員がグラウンドの15人を信じ、勝利を祈りました。

そして

ノーサイドの笛がグラウンドに響き渡りました。


勝った!勝ったんだ!!
よかった… とたんに体中の力が抜けて涙が止まりませんでした。

一列に並んで挨拶をする選手達。その表情は達成感でキラキラと輝いていました。
大きな拍手に包まれ、私たち4年生は下級生達から花束を受け取りました。

土佐コーチ「結果は残せなかったが、来年につながる種を蒔くことができた。」

坂田「明学のラグビー部であることにプライドを持ってこれからもやっていってほしい」



グラウンドまで足を運んでくださった方々、いつも明学ラグビー部を応援してくださった
父母の皆様、OBの方々、本当にありがとうございました。
会場の大きな大きな声援を聞いて、改めて私達明学ラグビー部が
本当に多くの方々に支えられてきたんだということを実感しました。
私たち明学ラグビー部が毎日練習に励んでこられたのも、
皆様の暖かいご声援があったからこそです。そして皆様の力があっての勝利です!

11月25日をもちまして坂田主将のチームは終わりました。
結果は皆様のご期待に満足に沿うことができませんでした。
しかし来年度への足がかりはしっかり刻むことができたと思います。
また私たち四年生は結果以上に得る物の大きいラグビー部での日々を送ることができました。
私達は残された下級生達に志を託して
ラグビー部での宝物のような日々と思い出を胸に、
また新しい道を突き進んでいきたいと思います。

改めて、ここに、皆様に感謝の意を捧げたいと思います。


四年間本当にありがとうございました。
これからも何卒明学ラグビー部をよろしくお願い致します!!

4年 原川恵理・小西 咲

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