資料受入報告


藤田正典資料を受贈

 昨年十月一九日、作曲家故藤田正典氏(一九四六−二〇〇九)の作品資料を受贈した。

 栃木県に生まれ、入野義朗に学んで、一九七〇年、「フルート、ヴィオラ、チェロとピアノのための音楽」で日独現代音楽祭作曲コンクール一位を受賞した藤田氏は、同年ベルリン市の奨学金を得て渡独し、ベルリン芸術大学で尹伊桑に師事。「ムジークプロジェクテ・ベルリン」「バンジャールグルッペ・ベルリン」「TOKKアンサンブル」に参加して、作品は、ヨーロッパ各地の音楽祭などで広く演奏された。帰国後は邦楽器、打楽器のための作品を多く手がけ、独自のスタイルによる斬新な響きの追求で、高く評価されている。

 今回受け入れた資料は、最初期の「しぐれに寄する抒情」(佐藤春夫詞 一九六七)から「打楽器のための〈デフェンシオン〉」(一九七八)、「オーロラ」シリーズ(Ⅰ、Ⅱ 一九七八、Ⅲ 一九八一、Ⅳ 一九八二)、「凪」シリーズ(Ⅰ 一九八〇、Ⅱ 一九八七、Ⅲ 一九九〇)、「オーケストラのための〈輪廻〉」(一九九三)を経て、最晩年の「波紋の彼方より」(二〇〇五)に至る八七点の自筆譜(複写を含む)、作品を収録したテープ十一点などである。


「平吉毅州資料」を新設

 二月九日、作曲家故平吉毅州氏(一九三六−一九九八)の資料を受贈、記念文庫「平吉毅州資料」を新設した。

 平吉氏は長谷川良夫に師事して東京藝術大学、同大学院に学び、一九六二年、「管弦楽のためのコンポジション」で音楽コンクール第一位、六九年、「交響変奏曲」で第一八回尾高賞を受賞した。管弦楽曲「ヴァイオリンとオーケストラのためのレクイエム」(一九七五)「ギター協奏曲」(一九八〇)、室内楽曲「五つの管楽器のためのエスキス」(一九七〇)「弦楽合奏のためのエピタフ」(一九七一)「八重奏曲」(一九七二)「風の歌」シリーズ(一九七三−八五)などを世に送り、「混声合唱組曲〈ひとつの朝〉」(一九七八)をはじめとする多くの合唱曲で親しまれた。また、合唱曲「気球にのってどこまでも」(一九七四)やピアノ曲集「虹のリズム」(一九七九)「南の風」(一九八四)など、子供のために書かれた作品によって音楽教育の分野における貢献も大きい。長く桐朋学園大学で後進の指導にあたり、門下から多くの優秀な才能が巣立っている。

 受入資料には、代表作「交響変奏曲」をはじめとする管弦楽曲、室内楽曲、合唱曲、独唱曲などの自筆譜およそ六〇〇のほか、出版譜、録音資料、記事掲載誌などが含まれている。


松村禎三資料を返却

 昨年一〇月二四日、ご遺族からのお申し出により寄託契約を解除、資料を返却した(二〇一七年三月一六日付)。