2011年度演習1
社会的相互行為の構造: 会話データの利用法
時間: 月曜日 14時45分から16時15分まで
教室: 本館1504室
担当: 西阪 仰
研究室: 71111(ヘボン館11F)
Tel: 5421-5366
Fax: 5421-5202/5697
E-mail: augnish(α)soc.meijigakuin.ac.jp
オフィスアワー:月曜日13時30分から14時15分
この演習では、いわゆる「エスノメソドロジー」に方向づけられた相互行為分析の基本的な構えと考え方について考えてみたい。
エスノメソドロジー的相互行為分析は、わたしたちが日々出会う様々な事柄を、非常に強いいみでの「社会現象」として、厳密にかつ経験的にみる態度である。社会学は、たとえばどうして都市では農村より自殺率が高いのかを説明しようとしてきた。しかし、そのような説明をこころみる以前に、そもそもそこで説明されようとしている事実がどのようにして、そのような「事実」としてそこにあるのか、ということ自体、ひとつの「社会現象」として探求することができる。つまり、そもそも特定の死が「自殺」であるのはいかにしてかを探求できるはずだ。そもそも、ある特定の死に「自殺」という概念が当てはめられるのは、どのような手続きによってなのか。その死にその概念を当てはめることで、わたしたちは何をやっているのか。このような探求はすぐれて「社会学的」な探求である。
具体的には、「会話分析 Conversation Analysis」と呼ばれる技法を学ぶことを通して、人間は行為をどのように組み立てているのか、周囲のものごとをどう知覚し理解しているのか、などを1年間じっくり考えていきたい。
- E・ゴッフマン『集まりの構造』(誠心書房)
- G・サーサス他『日常性の解剖学』 (マルジュ社)
- H・サックス他『会話分析基本論集』(世界思想社)
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』(金子書房)
- 西阪 仰『心と行為』(岩波書店)
- 西阪・串田・熊谷編「特集 相互行為における言語使用」『社会言語科学』10巻2号(2008年)
- (参考)西阪 仰『分散する身体』(勁草書房)
- (参考)G・サーサス『会話分析の手法』(マルジュ社)
- (参考)H・ガーフィンケル他 『エスノメソドロジー』 (せりか書房)
- (参考)好井・山田・西阪編『会話分析への招待』(世界思想社)
- (参考)J・クルター『心の社会的構成』(新曜社)
- (参考)山崎・西阪編『語る身体・見る身体』(ハーベスト社)
- (参考)上野 直樹『仕事場の中での学習』(東大出版会)
- (参考)串田 秀也『相互行為秩序と会話分析』(世界思想社)
- (参考)好井・串田編『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』(世界思想社)
(*が付された文献は大学院生用のテキスト。)
第1週〜第2週
テーマ
テキスト
参考文献
- ゴッフマン『行為と演技』第三章(「さまざまな局域」)および第六章(「印象操作の技法」)
- 西阪仰『分散する身体』1章・2章
- *Goffman, Neglected situation
- *Goffman, On footing. In Forms of Talk. U Penn Press, 1982.
- *Goodwin, C., 1979. The interactive construction of a sentence in natural conversation. In Psathas (ed.), Everyday Language. 1979. pp. 97-121.
小レポート締切 第1週
ゴッフマンについての小レポート
宿題1(出題 第1週; 提出 第2週)
『心と行為』1章の読書ノートを持ち寄る.(最低限,
30ページから47ページまでを読むこと.が,余力があれば,ぜひ最初から読んでほしい.)
第3週〜第5週
テーマ
方法の中の「理論」: どうして細かい会話のトランスクリプション(転写)が必要なのか。
テキスト
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』第1章
- シェグロフ「開始連鎖」
- *Jefferson, G., 1979. Invitation to laughter. In G. Psathas (ed.) Everyday Language: Studies in Ethnomethodology. Irvington.
- *Schegloff, E. A., 1968. Sequencing in conversational openings. In J. J. Gumperz and D. Hymes, 1972. Directions in Sociolinguistics. New York: Holt, Rinehart and Winston, pp. 346-380.
宿題2a(出題 第3週; 提出 第4週)
トランスクリプトを作る練習(CDのTrack08の冒頭をトランスクライブする)
宿題2b(出題 第3週; 提出 第4週)
会話を観察する練習(自分で作ったトランスクリプトから,興味を持った2〜3の発話を選び,何が起きているか,できるだけ細かく観察する)
第6週〜第8週
テーマ
テキスト
- サックス,シェグロフ,ジェファソン「会話のための順番交替の組織」『会話分析基本論集』
宿題 3-1(出題 第5週; 提出 第6週)
「順番構成単位」を特定する練習 (1)
宿題 3-2(出題 第6週; 提出 第7週)
「順番構成単位」を特定する練習 (2)
宿題 3-3(出題 第7週; 提出 第8週)
実際に会話の中でどのように順番の交代が行なわれているかを観察する練習
第9週〜第12週
テーマ
テキスト
- シェグロフ+サックス「会話はいかにして終了されるか」『日常性の解剖学』
- S・レビンソン『英語語用論』第6章(「会話の構造」)
- *Schegloff, E. A. 1980. Preliminaries to preliminary. Sociological Inquiry.
- *Schegloff, E. A. 2007. Sequence organization in interaction: A primer in Conversation Analysis, vol. 1. Cambridge University Press.
参考文献
宿題 4-1(出題 第9週; 提出 第10週の前日)
隣接ペアを見分ける練習
宿題 4-1a-b(出題 第11週; 提出 第12週の前日)
先行連鎖を見分ける練習
宿題 4-2(出題 第12週; 提出 合宿前)
行為の連鎖を見分ける練習
宿題 4-3(出題 第12週; 提出 合宿時)
実際に会話の中でどのように行為が達成されているかを観察する練習
宿題 5-1(出題 第10週; 提出 第11週)
会話終了の分析の練習
宿題 5-2(出題 第12週; 提出 合宿前)
会話の開始と終了の分析の練習
夏期合宿(演習1・演習2合同)
日程: 未定
集合: 未定
スケジュール: 未定
(*が付された文献は大学院生用のテキスト。)
第1週〜第3週
テーマ
テキスト
- S・レビンソン『英語語用論』第6章(「会話の構造」)
- 西阪「会話分析について」
- *Pomerantz, A. 1984. Agreeing and disagreeing with assessments: Some features of preferred/dispreferred turn shapes, In J. M. Atkinson and J. Heritage (eds.), Structures of Social Action. 1984.
- *Sacks, H. 1982. On the preferences for agreement and contiguity in sequences in conversation. In Button and Lee (eds.), Talk and Social Organisation. 1987.
参考文献
宿題 5-3(配布 第1週; 提出 第2週)
優先組織の記述の練習
宿題 5-4(配布 第2週; 提出 第3週前日18時まで)
優先組織の記述の練習(続き)
第4週〜第6週
テーマ
テキスト
- シェグロフ,ジェファソン,サックス「会話における修復の組織」『会話分析基本論集』
- 西阪 仰「会話分析の練習」『会話分析への招待』
- 西阪 仰 未発表草稿
参考文献
- 西阪 仰「発言順番内において分散する文」『社会言語科学』10(2): 83-95
- 西阪 仰 「反応機会場と連続子」
- *Emanuel A. Schegloff: "The Relevance of Repair to Syntax-for-Conversation,"
in T. Givon (ed.), Syntax and Semantics, Volume 12: Discourse and Syntax
(New York: Academic Press, 1979) 261-286.
- *Emanuel A. Schegloff: "Repair After Next Turn: The Last Structurally
Provided Defense of Intersubjectivity in Conversation." American Journal of
Sociology 97:5 (1992), 1295-1345.
- *Emanuel A. Schegloff: "Third Turn Repair," in G. R. Guy, C. Feagin, D. Schiffrin
and J. Baugh (eds.), Towards a Social Science of Language: Papers in honor
of William Labov. Volume 2: Social Interaction and Discourse Structures
(Amsterdam: John Benjamins, 1997), 31-40.
- *Emanuel A. Schegloff: "When 'Others' Initiate Repair," Applied Linguistics,
21:2, 205-243, 2000.
宿題 6a(配布 第5週; 提出 第6週)
同じ順番内での修復の開始の例を見つける練習
宿題 6b(配布 第5週; 提出 第6週)
次の順番における修復の開始の例を見つける練習
宿題 6c(配布 第6週; 提出 第7週 前日
第三の順番、第三の位置における修復の開始の例を見つける練習
宿題 6d(配布 第6週; 提出 第7週)
その他の修復組織について考える練習
第7週〜第10週
テーマ
「成員カテゴリー」「カテゴリーに結びついた活動」
テキスト
- サックス「ホットロダー」『エスノメソドロジー』
- 西阪 仰『心と行為』序章
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』第二章(「異文化性」)
- *サックス「会話データの利用法」『日常性の解剖学』
- *Sacks, H. The analyzability of children's story. In J. J. Gumperz and D. Hymes, 1972. Directions in Sociolinguistics. New York: Holt, Rinehart and Winston.
参考文献
- D・スミス「Kは精神病だ」『エスノメソドロジー』
- シャロック「知識を所有することについて」
- 串田秀也「指示者が開始する認識探索」『社会言語科学』10(2): 96-108
宿題 7(配布 第7週; 提出 第8週[一部前日提出])
成員カテゴリーがどのように使われているかを観察する練習
宿題 7(続き)(配布 第9週; 提出 第10週[一部前日提出])
表現の選択と物語を語ること
第11週〜第12週
テーマ
テキスト
- 西阪 仰「会話分析になにができるか」奥村編『社会学になにができるか』
- *Sacks, H. An analysis of the course of a joke's telling in conversation. In R. Bauman and J. Sherzer (eds.), Explorations in the Ethnography of Speaking. Cambridge: Cambridge University Press, pp. 135-144.
参考文献
宿題 8(配布 第12週; 提出 第13週[前日])
物語の始まり・終わり、物語の展開がどう組織されているかを観察する練習
課題: ゼミ論文
トランスクリプトの記号
レポートを書くに当たっては、トランスクリプトの約束事がありますので、そちらを参考にしてください。(より詳しい約束事は、Emanuel Schegloff氏のサイトにあります。こちらもご参照ください。
- 成績評価は、平常点(出席・発言・口頭発表)、宿題、小テスト、学期末のレポートによりおこなう。
- 卒論執筆を希望する者は、12月中に,卒論につながるよう,ゼミ論のテーマの候補をいくつか決め,担当教員と面談すること.とくに,学科で,1月中に指導を希望する教員との面談を求められているので,注意すること.
- オフィスアワーでは、授業・勉強に関するどんな質問でも受け付けるので、積極的に活用すること。指定の時間に都合のつかない場合は、Eメール(augnish(α)soc.meijigakuin.ac.jp)、もしくは指定の時間帯に電話(5421-5366)で面会の約束をすること。
- この演習に関する問い合わせは、augnish(α)soc.meijigakuin.ac.jpまで(なんなりとお気軽にどうぞ)。
ここでは、私が相互行為分析を行なうにあたり重宝している(というより、いまや不可欠となっている)道具をご紹介します。いずれもフリーです。
- SndPlay
私の著書『心と行為』でもご紹介したトランスクリプション用のソフト。エディター/ワープロをアクティベートしたまま(つまりこの再生ソフトは他のソフトのウィンドウの背後に入っていても)キーの操作で再生・停止・戻し・送りができます。しかも、戻しを1000分の1秒単位で設定できます。私は、2秒に設定しています。waveでもmp3でも再生できます。
- APlayer
ムービー再生ソフト。音声付のスロー再生ができます。スローにすると声のピッチが低くなるので、それだけは何を言っているのかわかりませんが、言葉のトランスリプトをあらかじめ作っておけば、かなりの精度で動作・身振り・手振りなどを言葉と関係づけていくことが可能です。
- ぷっちでここ NEW
ビデオデータを処理するとき、最近はMPEG2で1時間以上のデータを丸ごとデジタル化することがあります。そのとき、たとえば上のSndPlayでトランスクリプトを作るためには、そのためのオーディオファイルを作らなければなりません。このプログラムは、MPEG1および2の音声を、MP3もしくはWAVに簡単に変換してくれます。解凍後、必ず、install.batファイルをダブルクリックしてください。そうしないと作動しません。
- Lhasa
lzhとzipファイルの解凍ソフトです。上の三つもlzh形式の圧縮ファイルになっているので、まずは、これをダウンロードしてください。
- GodCreator
ついでに、などと言っては失礼ですが、プライバシーの露出度の高いトランスクリプトをやりとりするときは、必ず、パスワードつきの圧縮ファイルでやりとりしてください。簡単に添付ファイルを送るなど、もってのほかです。理想は、ウェブサイト上にパスワードつきの共有フォルダ等をつくり、必要な人が各自アクセスして、パスワードつきの圧縮ファイルをアップロード/ダウンロードするべきでしょう。このGodCreatorは、パスワードつきのzipファイルを作るためのソフトです。
- トランスクリプトの記号
エマニュエル・シェグロフ(Emanuel A. Schegloff)氏のサイトです。英語ですが、現在もっとも標準的な会話分析用のトランスクリプションのための記号の説明です。
- 日本語会話のためのトラくスクリプトの記号 NEW
日本語の会話のトランスクリプションのための記号を整理しました。
- 依頼書サンプル: ワード文書 31kb[授業参加者のみアクセス可]
- 承諾書: ワード文書 28kb(承諾書は両面コピーで署名を裏面にもらうようにしてください。)[授業参加者のみアクセス可]
- トランスクリプト・アーカイブ[授業参加者のみアクセス可]
- 社会学部生のための文献挙示法
ゼミ論・卒論・修論の執筆において,文献引用のさいに参考にしてください.
- 実習用書類箱: 実習用の文書交換のためのページです。[授業参加者のみアクセス可]
以上は、基本的な道具です。が、もちろんなによりも、あなた自身の分析技術を磨くことがもっとも重要です。この点をお忘れなきよう。