私が住んでいる南フランスもずいぶん寒くなってきた。しかし、寒い冬は、グルメにとって楽しみな季節でもある。さすがにジビエ(キジやウサギなど野生の禽獣類)は当地でも高価で、なかなか食する機会がないが、ワインは気軽に楽しむことができる。
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11月はプリムール(新酒)の出荷シーズンにあたる。日本でもすっかり有名になったボジョレー地区のプリムール(いわゆるボジョレー・ヌーヴォー)が酒屋に並ぶのは11月の第3木曜日である。毎年、日本では派手なキャンペーンが展開されていたが、南仏ではほとんど広告を見かけないし、そもそも話題にもならない。それでも、解禁当日には、無料日刊紙「モンペリエ・プリュス」が数ページにわたって特集を組んだ。記事の目玉は、ボジョレーとラングドック(いうまでもなく当地はラングドックの中心都市である)のプリムール対決である。多くの専門家を招いて行われた票決の結果は、同紙の第1面トップのとおり、「ラングドック=3、ボジョレー=2」で、当地の新酒が勝利。何故か元法学部長のポール・アリエス教授(政治学)も参加しており、「私は考えを変えた!」(J'ai change d'avis)とラングドックの新酒を絶賛するコメントが記事になっていた。
日本では1本2000円ぐらいするボジョレーのプリムールも、当地のスーパーでは3〜4ユーロ(500〜700円)で売ってある。ためしに1本買ってみたが、価格とのバランスは?である。
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モンペリエの町もすっかりノエルの飾り付けになり、さまざまなイベントがおこなわれている。12月2〜3日には、町の中心に位置するコメディー広場で「ワイン祭り」があった。2ユーロのグラスを購入して、数十軒の生産者の出店でモンペリエ周辺のワインを試飲し、消費者と生産者の交流をはかるという企画。フランスでは、飲酒運転取り締まりの強化や若者のワイン離れ、さらには健康志向もあって、消費量が激減している。そのうえ、国民の10人に1人がアルコールが原因で病気になっていることが報道され、消費者がますますワインから離れていきそうである。数か月前には、ワインの売れ行きが良くないことに怒った一部の生産者が行政機関を襲撃したり、スーパーや酒屋が生産者に襲われ、ワインの瓶が割られるという事件が毎日のように起こっていた。
今回のワイン祭りでは、ソムリエによる無料講習会が2日間で4回も開かれたが、いずれも年輩者ばかりで、若者はあまりワインには興味がないようであった。ある生産者は、「日本のみなさんが、俺たちのワインを1日1杯飲んでくれれば、こんなに苦しまなくてすむんだ!」と私に語ってくれた。生産者や農家の方との交流は楽しく、ワインはもちろん、生産者の熱意、田舎の方言に接する貴重な機会となった。
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おそらく今回が年内最後の「モンペリエだより」になることでしょう。みなさんも、適量(avec moderation)のワインを楽しみながら、よいクリスマスとお正月をお迎えください。
では、JOYEUX NOEL !
(2005年12月4日)

【写真1】プリムール対決の新聞記事。

【写真2】ワイン祭りのデギュスタシオン(試飲)講座。

【写真3】コメディーのイルミネーション。