大野 武 准教授

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  • 早稲田大学社会科学部助手、民間の研究所や大学の非常勤講師、高崎経済大学地域政策学部専任講師・助教授を経て、2007年4月より本学法学部消費情報環境法学科准教授。
  • メールアドレス:大野 武 准教授のメールアドレス

専門分野とその概要

主たる専門分野は不動産法である。不動産は、民法においても、売買、賃貸借、建設請負、担保物権などのところで度々登場してくる。しかし、不動産に関して生ずる問題は、民法だけでは捉えきれないほど多様であり、複合的である。不動産に関してこれまで生じてきた問題を列挙すれば、日照阻害や景観破壊に関する問題、耐震強度偽装問題、老朽マンションの建替え問題、不適正な不動産取引に関する問題など様々な問題が存在する。こうした問題を解決するためには、民法などの私法の知識がとりわけ重要ではあるが、それだけでは不十分であり、都市計画法や建築基準法などの公法の知識も踏まえたトータルなアプローチが必要となってくる。このように不動産法の研究においては、私法の法解釈と公法の適用という総合的な考察が必要とされており、現在その体系的な研究を試みている。

担当授業とその概要

  • 契約法の基礎/民法の基礎:民法は、法律学の中で最も基本となる科目の一つであり、それゆえその後の専門科目を学んでいく上でも特に重要である。しかし、民法はそれ自体、体系的で、複雑で、分量も多いので、ここでくじけてしまう学生が多いのも事実である。そこで、本講義では、まず、民法とはどのような法律で、何のために、誰のために作られた法律なのかを学ぶ。その上で、個別的なテーマごとに、具体的な事例を通じて、各テーマの内容と考え方を学ぶ。
  • 物権法1:本講義では、物権的請求権、不動産物権変動、動産物権変動を主たる対象領域とする。とりわけ、不動産物権変動については、基本原則や判例理論に関する重要論点が多数存在するので、特に重点的に考察する。この分野は、比較的難しい分野であると言われているが、講義においては具体的な事例に即しつつ、物権法の全体像とその基本的な考え方が理解できるよう、できるだけ分かりやすい講義を行いたい。
  • 契約法1:契約は、私たちの社会生活や経済生活と密接な関係を持つだけでなく、民法の基礎的理解には必要不可欠な領域であるため、特に重要な法分野であるといえる。本講義では、契約各論と呼ばれる領域について学習する。この領域は、所有権移転型の契約、賃貸借型の契約、労務提供型の契約、その他の契約に大別することができる。本講義では、これらのうち特に重要な分野(売買、消費貸借、賃貸借、請負、委任)を中心に講義を行う。
  • 不動産特別法:本講義では、不動産法の中でも特に重要なテーマである売買と賃貸借に焦点を当てて検討することとしたい。売買と賃貸借については民法の各講義で履修されるので、本講義では、民法の講義で十分に検討されないような最近の判例や特別法(不動産登記法、借地借家法、区分所有法、宅建業法、住宅品質確保法など)に関わる論点について、さらに掘り下げて検討する。
  • 消費者取引特別法3(マンション法):今日、マンションは活発な開発と停滞を繰り返しつつも、都市部における不可欠な居住形態となっている。しかし、郊外の大規模団地では建物の老朽化が進み、管理や建替えをめぐる問題を発生させている。果たして、マンションの所有者は、どのような権利を有し、義務を負っているのだろうか。また、マンションは大きな建物であるが、それは地域社会にどのような影響を与えているのだろうか。このように、マンションが今日の都市生活において大きな影響を与えていることは明らかである。そこで本講義では、そのようなマンションの特質を明らかにするため、まず区分所有法について考察する。その上でマンションに関わる様々な法律問題(不適正な取引問題、耐震強度偽装問題、景観破壊問題など)について考察する。

最近の業績

【主要学術論文】

  • 「営業用建物賃貸借における法的課題」『丸山英気先生古希記念論文集 マンション学の構築と都市法の新展開』所収(2009年1月・プログレス)
  • 「欠陥マンションに対する買主保護をめぐる最近の動向」(2009年1月・不動産研究51巻1号)
  • 「都市景観をめぐる紛争と法―私法と公法の役割と限界」『借地借家法の改正・新景観法』(土地問題双書37)所収(2006年4月・有斐閣)
  • 「イギリス区分所有法の管理制度の考察『稲本洋之助先生古稀記念論文集 都市と土地利用』所収(2006年3月・日本評論社)
  • 「都市景観の保全と法システム―国立マンション訴訟を契機として―」(2003年10月・松山大学論集第15巻第4号)
  • 「区分所有建物の法律構成に関する一考察―イギリス法との比較法的考察―」(2001年11月・マンション学第12号)
  • 「区分所有建物の再生に関する法的課題―イギリス法との比較法的考察―」(2001年10月・不動産研究第43巻第4号)
  • 「イギリス定期借地制度の基本問題と現代的展開(一)(ニ・完)」(1999年8月・民商法雑 誌第120巻第4・5号)(1999年9月・民商法雑誌第120巻第6号)
  • 「イギリス建物区分所有法の法的課題と改革」(1998年3月・ソシオサイエンス第4号)
  • 「19世紀末ロンドンにおける都市問題の法学的考察」(1997年3月・ソシオサイエンス第3号)
  • 「イギリスの都市における不動産賃借法の史的展開」(1997年3月・社会科学研究科紀要別冊創刊号)

【主要判例研究】

  • 「都市景観の私法的救済―国立の高層マンション訴訟控訴審判決―」(2005年8月・マンション学第22号)
  • 「地代自動改定特約と賃料減額請求権の行使の可否」(2004年12月・市民と法第30号)
  • 「住宅・都市整備公団値下げ販売事件」(2004年4月・マンション学第18号)
  • 「管理費等の滞納につき、「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するが、専有部分の使用禁止請求は認められないとされた事例」(2003年1月・ 不動産研究第45巻第1号)
  • 「老朽マンションにおける区分所有法62条所定の建替え決議の要件」(2002年1月・不動産研究第44巻第1号)

【その他】

  • 学界回顧「土地法」(2008年12月・法律時報80巻13号)
  • 学界回顧「土地法」(2007年12月・法律時報79巻13号)
  • 学界回顧「土地法」(2006年12月・法律時報78巻13号)