No.02 ITパスポート試験(IP)
1.ITパスポート試験とは何か
ITパスポート試験(略号:IP、通称:iパス)は、経済産業省認定
の情報処理技術者分野の国家試験の一種です。
国家資格であることから、多くの情報処理関係の資格の中でも、
最も権威と信頼性のあるものに部類されます。
情報処理技術者の試験制度は、平成21年度春に改訂され、
「共通キャリア・スキルフレームワーク」という、ビジネスの現場で
高度なIT活用をしながら働く人材の育成や評価の枠組みに基づいて、
4つのレベルに分けて試験が行われるようになりました。
このうち、レベル1の「ITパスポート試験」は、予備知識がない人でも
数ヶ月間学習するだけで充分合格できるレベルの試験内容です。
この試験に合格することで、職業人として共通に求められる情報技術(IT)
と経営全般に関する総合的知識を持っていることを公的に証明できます。
就職活動の際、履歴書やエントリーシートに書いて、自己の能力をアピール
することにも役立つので、文系の学生の方にはたいへんお勧めの国家試験です。
ITパスポート試験は、以前は1年に2回、全国一斉試験として、
マークシート方式による筆記試験として実施されていましたが、
2011年末頃からCBT(Computer Based Testing)方式による試験として、
随時受験できるようになりました。
CBT方式とは、試験会場に置かれたパソコン上で受験する方式のことです。
ITパスポート試験の公式サイトから、自分に都合の良い日時・会場を
選んで受験申込みができ、受験後すぐに試験得点が確認できるという
便利さがあります。
2.ITパスポート試験に合格した人材の役割
企業などの組織では、近年、コンピュータを中心とする情報システムが
普及し、それを日常の業務に利用することは当然のことであるばかりか、
いっそうの業務改善・効率化・省力化の努力が絶えず行われています。
こうした中で、管理・開発部門の少数の専門家だけでなく、
一般部門に属する末端の利用者(エンドユーザ)達にも、情報システム
の管理・運営・開発に寄与することが求められています。
ITパスポート試験に合格した人材には、一般部門で働くエンドユーザ達の
代表格として情報化推進を担う役割が期待されています。
例えば、所属する部門内のパソコンやネットワークに関するちょっとした
トラブルを解決したり、情報システムを用いた業務を効率化するための提案
を行ったり、管理・開発部門が新しく導入した情報システムをテスト運用
することに協力したり、といったことを行います。
専門家ほどではないものの、情報処理に関する一定レベルの知識や技術を持ち、
他のエンドユーザ達を指導し、管理・開発部門との橋渡し役をします。
現在、企業で最も求められている人材の1つだといえるでしょう。
3.ITパスポート試験の出題内容
「共通キャリア・スキルフレームワーク」とは、情報技術(IT)を中心
とする高度な専門知識を実際のビジネスの現場で活用することにより、
課題解決、付加価値の創造、ビジネスの改革などを実現できる創造的な
実務能力を発揮できる人材について、能力や役割の観点から整理を行った
共通の人材育成と評価の枠組みのことです。
ITパスポート試験では、そのレベル1の試験として、
以下のような3つの分野についての知識が要求されます。
- ストラテジ系知識(出題数約35%)
- 情報化と企業活動に関する分析を行うために必要な基礎的な用語・概念などの知識
- 高等学校の情報科目や一般的な新聞・書籍・雑誌などに掲載されている基礎的な用語・概念などの知識
- 身近な業務を把握・分析して課題を解決する手法に関する基礎的な知識
- データ分析および問題解決へのオフィスツールの活用に関する基礎的な知識
- マネジメント系知識(出題数約25%)
- システム開発やプロジェクトマネジメントのプロセスに関する基礎的な用語・概念などの知識
- コンピュータ・ネットワーク・オフィスツールなどを使った業務環境の整備を考えるための基本的な知識
- テクノロジ系知識(出題数約40%)
- 基礎的な用語・概念などの知識や論理的な思考力
- 身近なシステムの安全な利用に関する基礎的な知識
4.ITパスポート試験の受験対策
情報科学の基礎知識を一通り学習するには、大学の情報科学の授業を履修
することが望ましいでしょう。
明治学院大学の情報科学の授業のうち、「情報科学3・4」は、
ITパスポート試験の教本を教科書とし、ITパスポート試験の出題範囲を
1年間かけて一通り学習する内容になっています。
在学中にITパスポート試験に合格することを目指すなら、お勧めの授業です。
どうせなら、就職活動が始まる前に合格することを目指して、
できるだけ1・2年生のうちに履修することをお勧めします。
また、春休み期間中に学内で開講される課外講座として、
「ITパスポート試験対策講座」というものがあります。
こちらは、短期集中して、ITパスポート試験の過去問題をできるだけ
多数解く授業内容になっています。
この講座は、国家試験対策室で受講申し込みができます。
コンピュータやネットワークに関する知識を身につけるには、実際に自分で
パソコンをどんどん使ってみることが大切です。
パソコンをどのように操作するか、ネットワークをどのように接続するか、
どのようなハードウェアやソフトウェアがあるか、それらをどのように
使うかなど、実体験してみることです。「習うより慣れろ」です。
ITパスポート試験では、情報科学の基礎知識だけでなく、職場(主として企業)
での業務に必要な実務的知識や技能も要求されます。
後者は、大学生の皆さんにとって少し不利な部分と言えるかもしれませんが、
ITパスポート試験の教本と問題集をちょっと勉強すれば、何とかなります。
表計算ソフトを活用する技能については、明治学院大学では、表計算ソフト
Excelの使い方を教える授業(コンピュータリテラシー2・情報処理2など)
や情報センターが開催する無料のパソコン講習会(Excel1・2など)が
用意されていますから、いずれかを受講し、実践的に身につけるのがよいでしょう。
また、どんなプログラム言語でも構いませんから(C言語、Java言語、Perl言語、BASIC言語など)、
プログラミングを教える情報処理演習の授業(コンピュータリテラシー研究1AB・情報処理3など)
を受講し、基礎的なプログラミングについての知識も持っていた方がよいでしょう。
以下に、ITパスポート試験の受験対策のポイントを挙げておきます。
- 情報科学の授業を受講し、情報科学の基礎知識を一通り身につける
- ITパスポート試験の教本を読み、試験範囲の知識を一通り学習する
- ITパスポート試験の過去問題集または予想問題集に取り組み、出題形式に慣れておく
- パソコンを自分でどんどん使い、コンピュータやネットワークに慣れ親しんでおく
- 表計算ソフトExcelを教える授業または講習会を受講し、表計算ソフトの使い方を実践的に身につける
- プログラミングを教える情報処理演習の授業を受講し、プログラミングの基本を知っておく
5.ITパスポート試験の受験情報
- 試験形式
- 試験時間 165分
- 出題形式 四岐択一
- 出題数 100問 小問形式84問(1つの小問に1問)と中問形式16問(1つの中問に4問)
- 満点 1000点
- 合格基準
- 総合得点が満点の60%以上
- 3つの分野それぞれが満点の30%以上
- 上記の条件を両方満たした場合、合格とする
- 試験時期
- 筆記試験 春期(4月第3日曜日)と秋期(10月第3日曜日)
- CBT試験 試験日時と試験会場を選んで随時受験可
- 受験料
- 受験者数・合格率
- 受験者数 累計約43万人(2012年末時点)
- 合格率 非公開だが、50%前後だと推測されている
- 主催団体
- 財団法人 日本情報処理開発協会 情報処理技術者試験センター
- ホームページ・受験申込先
文責 高橋 順子 (著作権あり、転載不許可)