1.双子の神秘 双子というものは、不思議である。同じ顔の人が二人もいるのだから。生まれたときから一緒で、同じ環境でずっと生きている。実際に自分とそっくりな人がもう1人いて、一緒に暮らしていると想像してみてほしい。なんだか不思議な感じがしてくるし、楽しそうとも思えるであろう。双子に出会った人が、たずねることは大体決まっている。「同じこと考えていたりするの?」、「間違われたりしない?」、「入れ替わったことはあるの?」、「同じ人を好きになったりする?」などだ。テレビで見られるマナカナのように、しゃべり出すのも同時なほど息がぴったりな双子を見ると、多くの双子は何もかも同じなのかもしれないという印象になるかもしれない。そして、双子という存在が神秘的なものに思えるようになるかもしれない。 幼児期の双子は言語の発達が遅れがちであるといわれる。これは、双子の間だけでコミュニケーションができる「双子言語」というものが原因とされている。双子同士で秘密に会話することができたとしても、言語の発達への影響はとても少ないらしい。双子はテレパシーが通じるのだという発想は、双子言語の存在があるからかもしれない。相手が何を思っているのか分かるなどということは、全くないとは言い切れない。そして、同じものを好きになったり嫌いになったり、趣味や思考が似ているということは、他の兄弟に比べると多いかもしれない。もちろん双子によっても差はあるだろう。仲の良い双子もいれば仲の悪い双子もいるために、一概に双子の思考が似ているとは言えない。しかし、私の場合は、相手の気持ちが割と分かるタイプの双子である。 たくさんの友人といても、双子同士で楽しそうに盛り上がることがある。二人にとっては面白いことなのに、多くの人にとってはその面白さが分からなかったりする。そして二人だけに分かる仕草や行動、二人にしか通じないような笑いもある。しかしそれは、双子だからというわけではないと私は思う。二人は同じ環境でずっと同じ育てられ方をしたのだ。だから、物事をとらえる感覚、考え方などが似てくるのは当たり前のように思われる。もし、双子でも別々の人生を歩んでいけば、同じように考え、同じようなことを言うことは少ないだろう。そして、顔つきまでも変わってくるのではないだろうか。もし、双子でなくても、ずっと同じ環境で同じ育てられ方をした二人がいれば、彼らも性格の違いはあれ、双子のようにお互いが何を考えているのか分かるようになるだろう。双子の神秘などは存在しないように思われる。 (画像1) 同じ方向を向いて寝る双子 <ミシェル>と<セシル> ![]() |