7.大人っぽい子供服 最近のこども服は非常におしゃれに見える。どのようにおしゃれかというと、大人が着てもおかしくないデザイン、流行りの大人服がそのまま小さくなっただけのように見えるデザインである。もちろん洋服だけでなく、足元にも気をつかっている。ブーツやヒールのついた靴。まだ歩きはじめたばかりのこどもでさえ、おしゃれなブーツをはいて歩いているのだ。私の子どもの頃の写真で、ブーツを履いている姿など見かけない。 こどもといっても、おしゃれな洋服は探せばベビー服からたくさんある。友だちの赤ちゃんの出産祝いを探しているときに、一着一万円弱する値段のベビー服を見つけた。有名なブランドのお洋服でとても可愛らしいデザインだ。若い女性に人気のファッションブランドでもあり、大人用の洋服とともに、ベビー服・子供服のスペースがお店のなかに設けられている。赤ちゃんにそのような高い服を何着も買える人は少ないだろう。それらは、たいていプレゼント用とか特別なものとして買われていくのではないだろうか。多くの若いお母様たちは、こども服をもっと安い値段で、しかし可愛いものを買っていくのだ。 最近の子役ブームも、こどものおしゃれ傾向に強く影響しているだろう。芦田愛菜ちゃん(画像1)の着ていたこども服には問い合わせが殺到しているらしい。自分のこどもにおしゃれをさせてあげたい、周囲からかわいいと言われたいという欲求は、多くの親が持っているものだろう。また、小・中学生は大人のおしゃれに憧れる年齢なのである。こどもが「おしゃれをしたい」と思う気持ちは当然の欲求であろう。私も小学校低学年のときには、母親の化粧品をこっそりとつけてみたことがある。小・中学生向けのファッション誌をのぞくと、大人顔負けのおしゃれをするこどもモデルがポーズを決めている。テレビで、小学生モデルのこどもたちがインタビューされているシーンがあった。彼女たちは、大人の女性と同様に美意識が高く、肌の手入れ、ダイエットなど、こどもには必要ないのではと思われることまで気をつかっている。また、そんな小学生モデルのこどもたちに憧れる同年代のこどもたちはたくさんいる。ファッションショーやイベントにかけつける小学生のこどもたちは、モデルのこどもたちと同様にハイセンスでかわいい洋服に身を包まれている。 こども服が大人っぽくなっていることに、少し違和感を覚える。赤ちゃんに着せている内は、親の自己満足かもしれない。しかし、小学生ともなると自分の意志で着る洋服を選ぶようになる。私が小学生の時は、まだこどもらしさがある可愛らしい服を着ていた。いまのこどもたちにとって、こどもらしさの基準が段々大人らしいものに変わってきているのではないかと感じる。 (画像1) 芦田愛菜(VOGUE JAPAN 5月号 別冊付録『VOGUE Angels』表紙) ![]() |