7.空を飛ぶ 幼稚園の頃だったか、ある風の強い日に私は傘を持って外に出ていった。傘を開き、風を受ける。私はそれで空を飛べると思っていた。傘を開いたまま外を走り回るも結局飛べず、風で骨が曲がってしまった傘を見た母親に叱られたことを覚えている。 はじめて空を飛ぶことにあこがれたのは「天空の城ラピュタ」を見た時だったように思う。あんなふうに空に街が浮かぶのか、プロペラをつければ島は浮くのか、海に大陸は浮いているのだから空に島を浮かべることも可能なのかもしれない、と思っていた。考えてみるとジブリ、特に宮崎駿監督作品は空を飛ぶシーンが必ずと言っていいほどある。空を飛ぶことは解放、自由を意味すると聞いたことがある。小学校の頃、私はあまり学校が好きではなかった。ジブリ映画の空を飛ぶ場面を見て解放感を無意識に求めていたのかもしれない。ドラえもん映画の中でも一番好きなものは「ドラえもん のび太と雲の王国」で、空の上に雲で王国をつくるものであった。 テレビ番組で「鳥人間コンテスト」が毎年やっている。最近は見ないが、私はあの番組が大好きであった。空を飛ぶために飛行機作りに全力をかける人々、海へと飛び出していく飛行機を見て歓声をあげていた。 近所にあった駄菓子屋では安っぽい飛行機のおもちゃを買い占め、飛ばして遊んでいた。 魔法の力で空を飛ぶものも好きだが様々な試行錯誤があって飛ぶことができたり、今よりはるかに進んだテクノロジーがあって空を飛ぶことができたなど、人間の高い技術力によって空を飛ぶことができた、という話のほうが好きだと思う。私はそのような機械工学や科学については全く知識がないが、そのような技術にロマンを感じる。ちなみに飛行機であれば現代の飛行機やジェット機よりも、「紅の豚」に出てくるような木でできた飛行艇のほうに惹かれる。あの映画でポルコの飛行艇をみんなで修理するシーンも大好きである。修理した飛行艇でポルコとフィオが川から空に飛び出していくシーンは何度見ても感動してしまう。 |