10.天然

昔からこの言葉が嫌いである。「天然の性格」というのが小学校高学年くらいの時にはやって(?)いて、私は友達からよく「天然だよね」と言われていた。その次に「悩みなさそうだよね」とも。天然というと、そのまんま、なにもつくろわずにいることだと思う。その時は特に考えていなかったが、今思うとその言葉が嫌いだった。わたしは何も考えずに生きているわけではない。私なりに考え、その場でどのようにふるまえばみんなが楽しくなるか考えて行動していた。その私の気持ちを理解してもらいたい、というのは高慢かもしれない。しかし、中学に上がって「ちえみは天然なんかじゃない、いろんなこと考えてるんだよね」と言われた時、とても安心したことを覚えている。

私は天然という性格は実際ないと思う。何も考えないで生きている人がいるわけはないからである。そもそもなぜ天然という言葉がはやったのだろう。天然、というとなんだかふんわりしていて、周りとは違う空気が流れていて、マイペースというイメージがある。そしてそれをありのままにさらけ出している人のことを天然という、のだと思う。間違った言葉や論点がずれた事を言うと「天然だねー」と言われた時期があった。あの頃はそのイメージにしがみついていたように思う。天然、というと周りに嫌われないことが多いためである。私は天然ではない。しかし、そう言うと「気づいてないとこが天然なんだよ―」と言われた。なんだか言っている意味がよくわからなかった。

性格を表す言葉は多くある。しっかりもの、ムードメーカー、ぶりっこ、やさしい、おもしろいなどなど。どれも抽象的だが中でも天然は私の中で断トツで抽象的である。天然とは何か。何をもって天然なのか。そもそも天然という性格はこの世に存在するのか…

そこまで考えるとよくわからなくなってしまうが、私はこの天然について多くの人の意見を聞きたい。そして天然とは何かをはっきりさせたいと思う。