8.セレクトショップ

 私はセレクトショップが大好きである。もともとは原宿にあるLamp Harajyukuというお店の存在を雑誌で知ったことから始まった。Lampには、1万円以下の手が出る洋服から、15万円もするコートまで、国内外さまざまにセレクトされた洋服、アクセサリー、CD、本などが売られている。(たまに足を運んでも、ほぼ何も買わないか、手が出る範囲でのお買い物しかできないので、果たしてLampが好きと言っていいのかどうかは疑問だが…)Lamp以外にも惹かれる店はあるが、惹かれる店はだいたいセレクトショップであることが多い。

 私はもともと古着が好きで、古着の買い付けに行った古着屋のオーナーさんに、選んできた洋服の魅力について力説されるのが大好きだった。「この服は、ヨーロッパのアンティークで、部屋着として着られていたのよ」と説明されると、自分の知らない世界がその服に詰まっている気がしてわくわくした。同じようにして、小さなギャラリー兼ショップに足を運ぶのも好きだった。私がよく行くギャラリーでは、陶器、アクセサリー、絵画などの展示会や受注会が行われており、例えばマグカップを「かわいい!」と思って手にとっていると、ギャラリーのオーナーさんが「そのカップにはこんな裏話があって…」と教えてくれるのだ。自分がかわいいと思ったもの、魅力を感じたもののことを一緒になって話せる時間はとても楽しい。どんなふうに使ったらより魅力的かをあれこれ話すのもとても楽しい。また、自分が選んだものを自信を持って紹介しているオーナーさんに憧れも抱いている。わざわざ足を運んだからこそ得られるコミュニケーションであるということと、身近にそのように話せる人が少なかったということが、そういう場所によく足を運んだ理由であると思う。思い返せば古着屋に行くときも一人で行くことが多かったし、ギャラリーにも一人で行くことが多かったように思う。

 また、それらのものに共通するのが、「特別感」かも知れないと最近思う。セレクトショップに置いてあるものはどれも厳選されていてそれぞれ魅力的だし、オーナーさんが思いを込めて買いつけたり紹介したりしている商品も、ただその商品だけを見る以上に価値のあるものに見えたりする。そこで見る商品は、手作りで思いがこもったものだったり、生産量が少なかったりするのも特別感を高めている。私にとってセレクトショップとは、そういった誰かの思いに触れることができる場所なのかも知れない。