5.ぶりっ子

 ぶりっ子は、世間的にあまり好意的に受け取られない言葉だと思う。しかし私はちょっと違う。どちらかといえば好きの部類に入る言葉だ。それは私が女性アイドル好きだから、というのが一番の理由かもしれない。女性アイドルと呼ばれる人々の多くが何かに媚びているような性格を含んでいる。これが世間的には「うざい」と思わせる要因だと考えているが、私にはそのキャラクターはあくまで商業用のものに見えるのだ。こうした素振りを見せるのは仕事の時だけで、普段から甘ったるい声で話しているわけではないのだろうと思っている。マスメディアで見せる彼女らのぶりっ子な素振りも、彼女自身が意識して作っているもののはずだ。そう考えると、私にはぶりっ子な彼女らが「アイドル像を守るためにキャラクターまで作り上げて健気に頑張っている女の子」に見えるのである。ようするに「ぶりっ子=がんばり屋」のような方程式が私の中で成り立っているのである。

 更に、彼女らはぶりっ子を仕事の為に作り上げている。アイドルは職業であり、お金を稼ぐ為の立派な仕事だ。その仕事を勝ち取る為に、芸能界で生き残る為に彼女らは自分の身をもってキャラクターを作り、戦っているように見える。そのキャラクターが上手く作られているように見えるほど、仕事が出来る人間に見えるのだ。しかもそういう人に限ってライブでは全く違う面が見られることが多く、そのギャップがカッコいいと思わされることも多々ある。

 しかし、私はこれになりたいわけではない。というかできない。自分の性格を曲げられないとも思っているし、世間では居て欲しくない存在だと思うからだ。正直、居たら扱いづらいし面倒くさいだろうと思う。あくまで芸能人、あこがれ(るだけ)の存在として居て欲しいのである。

 私にはできないことができている、仕事が出来る頑張り屋の女性。これこそ私の抱いているぶりっ子のイメージであり、求めているアイドル像がそこにはあるのである。