5.乙女ゲームのヒロインは女に「愛される」

 先日初挑戦した乙女ゲーム、「遙かなる時空の中で5」。少し前に「遙かなる時空の中で4」というひとつ前の作品をプレイしていたので、この作品にも興味が湧いたのがきっかけである。そう、ここでいう「ヒロイン」とは、女性向け恋愛シミュレーションゲーム、すなわち乙女ゲームにおけるヒロインのことである。

 ヒロインと攻略キャラクターの恋愛をプレイするときの気分は、学生時代に、友人の恋路を応援しているときのハイな気分に似ている。友人から「~くんが好き」という話を聞くと、やたらと応援したがる女の子は、クラスに一人は必ずいなかっただろうか。私の友人にも何人かいたが、彼女たちにはある共通点があった。それは「協力するよ!」という一言を発する子である。誰かと誰かをカップルになってもらおうと動き回る、これはまるで恋愛ゲームにおいて選択肢を選ぶ行動に似ている…ような気がする。

 さて、私が今までやった乙女ゲームは、(ヒロイン別に数えて)前述のものに加えて、別の会社の「薄桜鬼」、全部で3つである。やってみた感想として、その3つのゲームの中のヒロインは、まずそれぞれ、恋愛とは別に、自分のやらなければいけない「行動目的」を持っている。恋愛シミュレーションゲームなのに、ゲーム開始から恋愛を第一に持ってきている女の子はいないのだ(その後のストーリー分岐に寄って見方も変わるのだが)。恋愛ばかりしていてはストーリーが続かないからだろうか。
例えば、薄桜鬼のヒロインの「千鶴」である。「千鶴」が描かれたイラストの中には、刀を持った姿が描かれているものもあり、彼女自身も戦うような勇ましいイメージを抱く。

 まだ3種類しかやったことのない私が言える話ではないのかもしれないが、乙女ゲームのヒロインには、「庇護欲」をそそられるキャラクターが多いと思う。重い使命をその身ひとつに背負っていたり、また、その辛さを人に簡単に見せなかったりする。やっていて、「こんな良い子、現実にはいないな…」と、そもそも世界観が違うのに、周りとつなげて思ってしまったりする。自分が応援したくなるような女の子の要素を、乙女ゲームのヒロインは持っていると思う。