10.女性向け「恋愛シミュレーションゲーム」の不思議 「遙かなる時の中で」、通称「遙か」と略される人気ゲームに、先日ついに手を出してしまった。同作品は既に5シリーズ以上を世に送り出し、声優を招いて関連商品のイベントまで開催している、人気ゲームである。個人的に好きな声優さんが出ていたり、キャラクターデザインが可愛かったので、ハマるのに時間はそんなにかからなかった。やりおえてみてから、既にプレイ済みの友人に聞いてみた質問がある。「主人公の名前を変えているか?」この質問を3人ほどぶつけてみたところ、3人中3人が、「変えていない」と答えた。私はてっきり、このゲームの趣旨は、自分と登場キャラクターの疑似恋愛のような感覚を体験するためのゲームかと思っていたが、彼女たちの楽しみ方は、どうやら違うような気がしてしまった。 恋愛シミュレーションゲームとは、なんだろうか。辞書的な意味で言えば、シミュレーションゲーム=「現実または架空のシステムをモデル化し、そのモデルにのっとって行うゲームのこと」(スーパー大辞林)だそうだ。てっきり恋愛シミュレーションゲームとは、恋愛を「疑似体験する」ゲームだと思っていたが、言葉で調べてみると、どうやらそれだけではないらしい。男性向けならば、「ラブプラス」の様に自分が相手と恋愛するゲームもあるが、女性向けでは正直聞いたことがない。やってみて持った印象として、ヒロインが世界を救う中で誰かと恋に落ちたとき、攻略対象キャラクターに「良い言葉をかけてあげたいな…」と思いながら選びながらやるのが楽しいと思った。まるで、誰かの恋愛を、応援してあげているような気分になった。それが上がると仲が深まる、という「好感度」というのは、まるで攻略キャラの恋愛の背中を押しているようにも思えた。これは、あくまで私の主観である。 先日、バイト先の仲の良い女性社員が店舗移動になり、その卒業祝いで久々にゲームの話をした。彼女はこのシリーズが好きで、先日もイベントに行ってきたばかりだという。その彼女にこのゲームの魅力は?と聞いたところ、「鈴村健一がやっている坂本龍馬が良い!」と即答。キャラクターだけではなく、声優が好きでやる人もいるのか。なんだか、乙女ゲームに乙女たちが何を求めているのか、分からなくなってしまった。 |